651 【真・結城編】ここに来た理由
六百五十一話 【真・結城編】ここに来た理由
見回りの神というピンク髪のロリに拘束された神様から話を聞いて、なんとなくではあるが理解した。
簡潔に説明するとこんな感じだ。
神様は茜に嫌がらせをしていた悪しきメスガキをすぐに特定。
軽く怪奇現象で脅して『もうあんなことしない』と宣言させた後、なんとなくそのメスガキに神様のドS本能が刺激されたからちょっかいを続けることに。 そして最後の仕上げ……公共の場所でお漏らし作戦を実行しようと企て公衆トイレの個室内に先回りして隠れていたところをこのロリ天使……見回りの神という上位神に捕まってしまったとのことだった。
神様が一通りオレに経緯を話し終えるとロリっ子……見回りの神が大きくため息をついた。
『まったく、「ちょっと現世出てくる」って言ってたから見に来てみれば、何をしてるかや』
『じゃ、じゃって……茜ちゃんが呼んでくれたんじゃもん。 助けたかったんじゃもん』
『それはまぁ古の縁でもあるかやな。 そこはワッチも大目に見る……許すかや。 じゃけど、娘をそこまでいたぶる必要はなかったんじゃないかや?』
『いいや、あれは神のワシにこそ出来るシツケですじゃ。 最初こそムラムラしましたが途中からは神である自覚を持って裁いておりましたのじゃ』
『何を言うかや。 さっきドS本能刺激されて遊んでたって言ってたかや』
『ーー……そ、そうじゃったかのぉ?』
『ほんっとオニュシは昔から言い訳が多いのや……』
2人の話し方的に、あのロリ天使の方が神様よりも上司的な位置みたいだな。
それで日頃から部下である神様の行動には色々思っていたことがあるのだろう。 ロリ天使は目の前にオレがいることも忘れ『大体オニュシはいつもいつも……!』と説教を開始する。
これは……長くなるやつやん。
時間的にもそろそろ買い出しに出た高槻さんやエルシィちゃんが戻ってくる頃だ。 当初の予定では神様に結城母を助けるための助言でももらおうと考えていたのだが……
「ーー……この状況ではどうにもならなさそうだな」
神様に頼ることを諦めたオレは結城のもとへ戻ることに。
2人の邪魔にならないよう静かに背を向け歩き出したオレだったのだが、まだ何かあるのだろうか……再びあのロリが『あああ、ちょっと待つかや』と声をかけてきた。
「なんですか。 オレそろそろ戻らないといけないんで説教聞いてる時間ないんですよ」
軽く苛立ちながら答えるとロリ天使が『本当にそれでいいのかや?』と尋ねてくる。
「ーー……それはどういう意味です?」
『なんでワッチがオニュシに会いにきたと思っておるのや?』
「え、そりゃああれでしょ。 神様を捕まえたから今後助けを呼んでも来てくれないよってことを伝えるために……とかじゃないんですか?」
そう答えてみるとどうだろう。 ロリは『そんなわけあるかや』と今度はオレに向けてため息。
神様を縛る紐をクイっと引っ張り、オレに説明するよう促してきた。
『えええ、ワシが言うんですか?』
『当然かや。 なんのためにワッチがオニュシを引き連れてわざわざここへ来たと思ってるかや。 それにこれは自分で言ったらカッコよくないかや』
『ーー……仕方ないですじゃ、ではワシの口から』
ん? なんだなんだ?
神様はゆっくりとオレの目の前に立つと静かにオレを見つめてくる。
このロリ天使……性格がメスガキだけに、神様を捕まえたことをオレに報告するためにわざわざ来ただけじゃないのか?
そんなことを考えていると神様が口を開き、オレの予想とは全く違ったことを言い出したのだった。
『ダイキ』
「な、なんだ?」
『実はワシ、トイレで捕まった際にこの見回りの神に結城ちゃんの母親の様子を見に行かせてくれと頼んだのじゃが……』
「うん」
『この御方……結城ちゃんの母親や結城ちゃんが不幸な運命を背負っている理由を知ってるようなのじゃ』
「え」
ロリに視線を移すと、ロリは待ってましたと言わんばかりに『フンッ!』と鼻息を鳴らし、偉そうに身体を反りながら笑みを浮かべる。
このロリの様子……本当っぽいぞおおおおおおおおおおお!!!!!
オレは興奮気味に「そ、それは本当なんですかロリ天使さん!」と問いかけた。
『本当かや。 ていうかなんなのや、そのロリ天使って名前は』
「てことは結城もその母親も救われる方法があるってことなんですよね!?」
『そうなるかや』
「おおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
まさに絶望からの希望。
どうやら神様たちは一旦天界へ戻らなければならないらしく、今日はオレにそのことを伝えに来たとのこと。
結城や結城母の話はまた後日話してくれるらしい。
「てか今話すのはダメなんですか!?」
『無理かや。 ワッチも上に報告しなければならぬかやな。 この愚か者の愚行を』
ロリがかなり面倒くさそうな顔で神様を見上げる。
『ワシ……怒られとうないんじゃが……、お手柔らかにしてほしいのじゃ』
『だったらなんで人間の身体でやらないのかや。 神体のまま動き回ってたらそりゃあ近くの神社の神に目を付けられるのも仕方のないことなのや』
『なるほど此度のワシの行いがバレたのは告げ口ですか。 どこの神社ですじゃ? ワシよりも歴の浅い神ならとっちめてやりますのじゃ』
『阿呆!!! 敵を作ってどうするかや!! 今から見間違いだったと証言して貰うためにお願いに行くかや!!』
『え』
『そうせねばワッチの査定にも響くかや!! いいかや!? 何が何でも見間違いだったと言わせるのやよ!!!』
こうして神様はロリに紐で引きづられながら姿を消失。
オレも結城のもとへと戻ることにしたのだった。
ーー……神の世界も大変なんだな。
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挿絵を描く時間がないなんということだー!!