65 ドSの女王降臨
六十五話 ドSの女王降臨
それはある日の放課後。
「あーごめん手が滑ったああーー!!」
おそらくオレたちの帰りを待っていたのであろう、暇そうな堀田が教室から勢いよく飛び出してきて水泳袋を多田に投げつけてくる。
「いったーーっ!!! 何すんの!!」
水泳袋は見事に多田の顔へと直撃。
多田が堀田をキッと睨みつける。
ーー……まったく飽きないなあいつらも。
実はこういったことを小畑の靴へのいたずら以降、何度もやってきていたのだ。 オレにやれよ。
そういやほとんど対象は三好か多田だったな。
まぁ小畑にやったら倍返しが怖いだろうからやめたのだろうが……。
「もう相手にしなくていいじゃん。 それより早くファミレスに……」
その日は工藤とファミレスで話し合う予定だったのでオレは多田をなだめる。
すると後ろから現れたのだ。 ドSの女王が。
「トイレ待たせちゃってごめーん。 ってあれ、どしたの麻由香」
「また堀田だよ! 見て! あいつ今度は水泳袋投げてきたんだよ!!!」
多田が足下に転がったままの堀田の水泳袋を指差す。
そう、今体育の授業では水泳なのだ。 JSのスク水姿を間近で眺められるなんて最高だぜ?
だって個人の成長が丸分かりなんだからな!!
「だからー、手が滑ったって言ってんじゃーん」
堀田は痛がる多田を指差してケラケラと笑っている。
いつもなら多田や三好はぶつけられたものをぶつけ返していたのだが、ドSの女王・小畑のいる今回は違った。
「あれ? 麻由香、そこに何か落ちてるよ」
小畑が軽くニヤつきながら堀田の水泳袋を手に取る。
そしてそれを持ったままなぜかそれをオレの目の前へ。
ーー……ん?
「美波? 投げ返さないの?」
多田が堀田を指差しながら小畑に尋ねる。
「いやだってこれがあのブスのとは限らないじゃん」
「ーー……? でもその袋、『堀田』って書いてるよ?」
「うん。 でもどこの堀田さんか分かんないでしょ」
そう言いながら小畑は水泳袋を開け、程よく濡れたスクール水着をそこから取り出す。
「ちょっと何を!!」
小畑は堀田の言葉を無視。 そのまま視線をオレへと向ける。
「ねー、福田ぁー」
「は、はい!!」
「これどこの堀田さんの水着が分かんないんだけどさ、福田分かるー?」
「え?」
そう言うとあろうことか小畑はそのスク水をオレの鼻下に力一杯押し付ける。
「ーー……!!!!」
「あははは!!! 福田、どう!?」
すごい!! スク水が顔に押し付けられることによって生地から水がじわっと滲み出している。
こんなの……こうしないと首を伝って下に垂れちゃうじゃないか!!!
ジュルジュルジュルジュル!!!!
オレは口に当たったところを勢いよく吸い込みJS成分たっぷりの水を摂取。 可能な限り飲み込んでいく。
美味い! 美味いぞ!! JS出汁、染み込んでます!!!
わずかに空いた隙間から息を吸うとあのプール独特の香りが鼻を突き抜ける。
「ちょ、ちょっと!!! やめてよ汚い!!」
堀田が慌てて取り返しに来るも小畑はそれをも利用。
「あれー、これブスの堀田さんのだったんだー、ごめん気づかなかったー」
そう言うとオレの顔に押し付けていたスク水を外し、水泳袋の中へ。 それを普通に堀田に渡す。
「ーー……え? あ、ありがとう??」
堀田は混乱しながらも小畑から水泳袋を受け取る。
その時だった。
「福田ごめんねー。 せっかく持ち主を探してもらおうと匂い嗅がせてたのにー。 顔が濡れただけになっちゃったねー」
「え?」
小畑はニヤリとオレに笑うといきなり後頭部を掴み、そのままそれを堀田の体の全面へ。
「濡れたんだからほら、顔ちゃんと吹かないとー!!」
小畑が堀田の制服にオレの顔を上下左右に擦りつける。
フォオオオオオオオオ!!!!
なんかこれオレ第三者から見たら犠牲者だけどめっちゃご褒美じゃねえかああああ!!!
服越しからJSの体の柔らかさがモロに伝わる。
最高じゃああああああああああ!!!!!
「い……いやああああああ!!!!」
これには堀田も絶叫。
顔を真っ赤にしながらその場から逃げ去っていったのだった。
「もー、これからがもっと面白くなるところだったのにー」
小畑が唇を尖らせながら小さく呟く。
な……何をするつもりだったんだああああああ!?!?
その後オレたちは先に校門あたりで待っていた三好と合流。
一緒に工藤の待つファミレスへ向かったのだった。
「なんか堀田さん涙目で走ってったけどなんかあったの?」
三好がオレに尋ねる。
「うん。 まぁ……色々と」
この騒動があって以降、堀田が三好たち3人にちょっかいを出すことはめっきりなくなったのだった。
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