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643 【真・結城編】下ネタは偉大!


 六百四十三話  【真・結城編】下ネタは偉大!



 そういや疑問に思ってたんだけど、いつから結城は三好のことを『佳奈』って呼ぶようになったんだ?

 レストランを出てお土産売り場へと向かっている途中、オレは結城にそのことを尋ねた。



「詳しくは言えないんだけど……最近美波の家に遊びに行ったことがあってね、その時に佳奈や麻由香、美波と仲良くなったんだ」



 結城が嬉しそうにエヘヘと微笑みながら答える。



「そうなんだ、小畑さん家に……って、えええええええええええええええ!?!?!!?」



 これは意外すぎる。 まさか結城が知らない間に三好たちと……それもドSの女王・小畑の家で遊んだことがあったとは。

 オレが目を大きく見開いたまま固まっていると結城が「どうしたの福田……くん」と首を傾げる。



「いや……その、当たり前だけどあれだよな? 別に何か酷いことされた……とか、そういうのじゃないんだよな?」


「それはもちろんだよ。 今までは少ししか話したことなかったんだけど、それがきっかけで仲良くなったんだ」


「そ、そうだったんだ。 それは良かった」



 どうやら本を買って帰っている途中で三好たちと偶然にも遭遇し、流れで小畑の家に一緒に行くことになったとのこと。

 結城もちゃんと息抜きとか出来てたようで安心したぜ。

 


「福田……くん、さっきの私の話、おかしかった?」


「なんで?」


「だって福田……くん、ちょっと笑ってるから」


「そう? それは多分嬉しかったからかな」


「嬉しかった?」


「うん。 結城さんにもいっぱい仲間が出来たなーって」


「ーー……っ!!」



 気づけばお土産売り場はもう目の前。

 中を覗くとまだお昼時ということであまり人はいない様子……これはゆっくり選べそうだ。



「じゃあ行こっか結城さん」


「え、あ……うんっ」



 オレたちは結城の手を引いてお土産売り場へ。 店内をひとまず見て回ることにした。



「ねぇ、福田……くんは、誰に買うの?」


「オレ? そうだなー……」



 オレはパッと脳内に浮かんだ人物の名前を挙げていく。



「お姉ちゃんと星さんと三好……くらいかな。 ちなみに結城さんは?」


「私はね、希、佳奈、麻由香、美波、水島さん、エマ、エルシィ、ママ2人にお姉ちゃんと美咲ちゃん!」



 結城が指折り数えながら「他に誰かいたかなー」と視線を上に向け考え始める。

 じゅ……11人マジか。 



「お、多いね。 まだいるの?」


「あ、あと福田……くんにも買おっかな」


「え」



 突然出たオレの名前にオレは分かりやすく反応。 結城は本当に今思いついたのか、オレに視線を向けエヘヘと笑った。

 や、やっぱり結城は天使なんじゃああああああああ!!!!!



 聞き間違いの可能性を考慮し「お、オレにも?」と再度結城に聞き返すも、結城はニコニコ微笑んだままウンと頷く。

 


 ま、まままマジかあああああああ!!!! やったああああああああああ!!!!!

 一生の宝物にしますーーーーー!!!!!!



「ほ、ほんとにいいの!? 結城さん11人もお土産買う予定なのにオレのまで追加しちゃって!!」


「うん、福田……くんにもいっぱいお世話になってるから。 でも選んでる時にバレるのいやだから、あまり見ないでね。 帰りに渡すから」



 ズッキューーーーーーン!!!!



 ◆◇◆◇



「え……福田も桜子も、なんで戻って来てんの?」



 結城とともにバスに戻って大体1時間後だろうか。

 バスの一番後ろの席。 三好が静かに眠っていたため起こさないよう近くで座っていると、目を覚ました三好が未だ若干顔を火照らせながらオレたちを交互に見てくる。



「おー起きたか三好。 もうちょっと寝てると思ってたぞ」


「え、まぁ……うん。 ちょっと喉乾いたなって思って」


「佳奈、ちょうどよかった。 スポーツドリンク買って来といたよ。 飲んで」


「え……そ、そうなの? ありがと」



 三好は結城からスポーツ飲料を受け取るとそれをゆっくりと口の中へと流し込んでいく。



「おいしい。 てか桜子、私が熱出したってよく分かったね。 福田が言ったの?」


「ううん、バスに戻ってきたときに先生から聞いたんだ。 ごめんね、気づいてあげられなくて」


「そんな、謝るのは私の方だし。 せっかくのデスティニーランドだったのにごめんね水差しちゃって」



 三好は結城に謝るとオレにも視線を移し「福田もごめん」と謝ってくる。



「やめろやめろ、三好らしくもない。 お前にそんな真面目キャラ似合わんぞ」


「う、うるさいなー。 気にしてんだから素直に謝らせてよ」


「だから気にすんなって。 そもそも考えてみろ、インキャなオレは外よりも室内の方が好きなんだよ」


「あーそっか。 そうだったね。 じゃあさっきの福田へのゴメンは取り消し。 桜子だけごめんね」


「いやそこは撤回すんなよ!!!」


「あははは」



 うむ、流石にちょっとはイラっとしたが三好の気が少しでも楽になったのならそれでいい。 今回に限り許してやろう。

 それからオレは三好・結城の2人と涼しい車内で雑談を交わしながら時間を潰すことに。 三好も風邪薬が少しずつ効いてきたのか顔色も若干ではあるが元に戻ってきて……



「ーー……ってことになったんだよ? ありえなくない? 桜子ならどうする?」


「えー、私ならどうするだろ。 あんまり実感が湧かないかな」




 なぁみんな、オレはどうしたらいいんだ?



 雑談は途中から理想の恋の話……そこから完全なガールズトークに切り替わり、三好と結城はオレのことなど完全に忘れて熱い女子専用下ネタトークを繰り広げ始めたんですけどーーー!!!!



 もちろんそれに興味津々のオレは身近なこともあり2人の会話に集中する。



「でさ、お兄ってば私がお風呂入ってんのに気づかないで入ってきちゃって……流石に前隠せって思わない!? お兄のなんか別に見たくもないっての!」



 三好が拳を強く握りしめながら「キーーっ!」とキレていると、結城が顔を赤らめながら「お兄さん隠さなかったの?」と前のめりに尋ねる。



「そう! 逆に堂々とぷらぷらさせちゃってさ……! いや私の裸見てんならちょっとは反応しろって思わない!? そんなに私魅力ないの!?って感じだし!!」


「そ、そうなんだ。 でもさ、高校生のそのオチ……って、やっぱり凄いのかな」


「んー、どうだろ。 私もあんま見たことないから分かんないけど、女の私らだってココ大っきくなるじゃん? それと同じくらいだと思うけど」



 三好が何を例に出しているのかはあえて考えないでおくとするが、三好は両手を胸元に当てながらそう結城に説明する。

 するとどうだろう……三好は若干声を裏返しながら先ほどの三好の言葉に反応した。



「そ、そんなにおっきくなるの!?」


「え、なんで?」


「だってママ……高槻先生とかってめちゃくちゃおっきいじゃない!? あそこまでおっきくなんて……もう私想像出来ないよ!」



 おいおい何を変に興奮しているんだ結城ちゃんよ。

 これには三好もオレと同じ反応で「いやいや流石にそれはないと思うよ」と即座にツッコミを入れる。

 しかし三好も想像してしまったんだろうな。 「いや、もしそうならもうアレじゃん! タヌキの置物並みじゃん!!」とアハハハと笑いながら自身の股間部分をバシバシと叩いた。



「んー、あとはそうだなー。 1つ言えるのは……毛むくじゃらでキモかった」


「毛むくじゃら……?」


「そう、ほんとキモいよ? だから私、お兄の後に湯船とか浸かりたくないんだよねー。 首まで浸かってリラックスしてる時に目の前に毛が浮かんでたら一気に萎えるもん」


「そ、そんなに萎えるの?」


「そだよー。 ただこれも実際に体験しないと分からないんじゃないかなー」



 うわああああ、オレとは完全に真逆じゃねえかああああ!!!!



 優香は何をとは言わないけどツルツルにしてるから湯船でそういう物を発見することがほとんどないけど、もし見つけてみろ……とりあえずゲットしてその日の夜のオトモにするに違いない。

 仮に同い年の女の子のパンツにそういうものが付いているのを発見したとしたら、オレはその成長過程を見れたことに多大なる感謝をしているのだろう。



 毛1本に対する考えだけでもこんなにも違うとは。

 これが男と女の価値観の差……うん、多分オレが特殊ってわけではないことを信じておこう。



 今更ではあるが、2人が話している下ネタはなかなか為になりそうだ。

 オレは自分の価値観と照らし合わせながら2人の女子下ネタトークを聞くことに。 しかし2人のトークの主な内容は先ほどの話題も相まってか動物園シリーズに固定されていき……



「でも悔しいのがあれなんだよね、キモくて見たくないのに目がそっち行っちゃうんだよねー」


「わかる。 私も保健の授業のとき、そこジッと見つめちゃってた」


「あ、桜子もそうだったんだ! あれ謎だよね! 絵なのに!」


「うん。 そこに集中しすぎて授業あんまり聞けなかったこともあるよ」


「あるあるー!! でもなんでかテストでその範囲だけは完璧に覚えてて点取れるんだよね!!」


「私もそうだった。 答え書く時とかちょっと恥ずかしかったけど」


「あははは!!! 桜子めっちゃエッチじゃんーー!!!」


「そ、そんなこと言うなら佳奈もだよぉ」



 2人はそれからも動物園トークを永遠と展開。

 あまりにも熱中しすぎてスカートが太もも上まで上がっていることにもお互い気づかず、更にはそれを見たオレの下半身がとんでもない状況になっていることにすらも気づいていないではないか。



 お昼前は2人ともあんなにも暗かったのにな。

 特に三好は高熱まで出てたってのに、動物園トークになった途端かなり元気じゃねえか。

 


 やはり下ネタは偉大。 オレはそれをまじまじと感じていたのだった。

 


お読みいただきましてありがとうございます!!!

感想や評価・ブクマ・いいね、励みになりますお待ちしておりますーー!!!

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