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641 【真・結城編】オレが守る!!


 六百四十一話  【真・結城編】オレが守る!!



 まさか茜が嫌がらせを……イジメられていたなんて。



 神様と茜の2人の会話に割って入り問い詰めると、どうやら茜は最近になって上履きに度々砂を入れられるようになったとのこと。

「今の所それくらいしかされてないから別に気にしてないんだけどね」と苦笑いをする茜だったのだが、見過ごすわけにはいかないよな。 お互いの合意がない限りそれはイジメ……現に茜は嫌な想いをしているのだから。



 話を聞いたオレはすぐに茜に視線を向け「任せろ、オレがなんとかしてその犯人を見つけ出して地獄を見せてやる」と宣言。 しかしそんなオレの言葉に神様は「いや、それはやめておけダイキ」と返し、首を左右振った。



「なんでだよ」


「ダイキは今、己のことに集中していればよい。 茜の件はワシなら一瞬で解決出来る。 少なくとも明日……いや明後日には茜への嫌がらせは無くなってるはずじゃ」


「ーー……そうなのか」


「うむ。 それにほら、ダイキお主は……あの子のことを一番気にかけてやるべきでだと思うぞ?」


 

 え。



 先ほど神様の口にした『あの子』……それを聞いたオレはとある人物の姿が脳内に浮かび上がる。

 みんなももしかしたらそうなんじゃないか? 黒髪クラゲヘアーで人見知り、だけど心の優しい母親が大好きな……



「もしかして……結城のことか?」


「そうじゃ」



 オレの問いかけに神様は小さく頷く。

 神様がわざわざそう言ってくるってことは今後結城に相当な何かがあるとでもいうのか? オレは過去に神様から言われたとある言葉を思い出した。



「それってあれか? 結城にはまだ多くのデスルートが用意されてるっていう……」


「んーー、まぁ、大まかに言えばそうじゃな。 それもある」



 マジか。



 おそらく今の結城は高槻さんと同居してるため、家を追い出されることで引き起こされる熱中症や寒さで凍える系のデスルートはないだろう。 他に思いつくとすれば以前の優香のような車との事故か、エマの前世……小山楓のような水の事故。

 あとは火の事故も無きにしも非ずだが……流石に優香と一緒に料理してる時にも散々『火には気をつけるんだよ』って言われてたから可能性は低いだろう。



 となればオレがそれらから結城を守るためにはどう気にかけてやればいいんだ?



 オレは神様との会話も忘れ無言で考え始める。

 すると神様はそんなオレの心の声を読んだのか、「あーー、結城ちゃんの死相は以前に比べてかなり薄くなっておるよ」と付け加えた。



 え。



「そうなのか!?」


「うむ!」



 おお、おおおおおおおお!!!!!



 そういや神様、以前オレがなんだかんだで結城のデスルートを回避させてきたって言ってたし、もしかしたら今回結城の死相が薄まったことにも無意識のオレの行動が関係していたりして!?



 それすなわち愛の力!!!

 オレの愛で結城のデスエンドを打ち消すなんて……ロマンの塊でしかないじゃないかあああああああ!!!



 気になったオレはすぐに神様に尋ねることに。

 しかし神様の口からでた答えはそんな都合のいいものではなく、更にオレを驚かせる事となった。



「いや、それにはダイキはあまり関係しておらん。 強いて言うならばそうじゃな……お主の姉・優香ちゃんと、結城ちゃんの実の母親か。 2人のおかげで結城ちゃんが一人で背負いこんでいた数多の負が分散され薄まったのじゃ」


「優香と……結城のお母さん?」


「そう。 優香ちゃんは結城ちゃんと姉妹の契りを結んだその日から結城ちゃんの持つ不幸体質を僅かではあるが引き受けることとなり、実の母親とも仲直り……関係を改善したその日から結城ちゃんへ押し寄せてきていた負のエネルギーがまるで津波のように母親へと流れ込んだのじゃ」


「ーー……」



 なんだ、理解に苦しむぞ。

 優香が不幸体質を受け継いで、結城母には結城の負のエネルギーが押し寄せた?



 急にそんなことを言われて「あぁ、なるほどな」とスマートに返せるほどオレの精神が強靭なわけもなく、オレはただ口を半開きにしながら神様を見つめる。

 そして神様もオレがまだ実感が湧いていないと悟ったのか、「例えば……ほれ、思い出さんか?」といくつか例を出してきた。



「1つはお主の記憶にも新しい優香ちゃんの車の事故。 思い出してみよ、その時近くに結城ちゃんがいたはずじゃ」


「確かに。 言われてみれば結城と姉妹の約束を交わしてから数日間、優香の体調も悪くなってた気がする。 いやでもそれは単なる偶然とも……」


「もう1つは結城ちゃんの実の母親の現在患っておる病……以前お主が会った時よりも悪化しておるように見えなかったか?」



「!!!!!」



 あれも……あの骨のような細さに痩せこけた結城母の姿も結城の影響だというのか。

 あまりの衝撃にオレの頭の中は一気に真っ白に。 その後のことはあまり覚えていないのだが……なんとなく記憶の隅にあるのは結城の一件を隣で聞いていた茜と神様との会話の一部。


 ショックで声を失ったオレを元気付けようと、茜が「でも結城さんのお母さん、私が映ってる写真を飾ってくれてから症状も落ち着いてるんでしょ?」とフォローを入れてくれていたのだが、それを神様は非情にもバッサリと切り捨てたんだ。



 確か……こんな感じだったか。



『茜、それは違うぞ。 茜も気づいたようじゃが、確かにその体には神聖な力だ備わっているため周囲の運気や調子を上げることができる。 しかし病は別じゃ。 それは治せぬ』


『で、でも実際にダイきちくんからも聞いたんですけど、それで結城さんのお母さんの症状よくなったって……』


『一時的に進行が遅まっただけじゃ。 病が消えていっているわけではない』


『そ、そうなんですか? でもまだそれに関しては信じられないんですけど……』


『うむ。 茜も実際に体験したはずじゃぞ? ワシがその美香の身体で入院中のお主に会ってからお主の調子は良くなったはずじゃ。 じゃが……思い出させるのも酷だとは思うが、最終的にどうなった?』


『ーー……!!!』



 この一言により茜は沈黙。

『た、確かにそうでした』と会話が終了したんだっけ。



 うわあああああああ!!! どうすればいいんだよおおおおおおお!!!!!



 気づけばオレは1人で家の前まで帰宅しており、スマートフォンを見ると茜から大量の『期待させちゃってごめんなさい』のメール。

 オレは茜に『気にするな、症状を和らげてくれてるだけでもありがたい。 そのおかげで結城さんは親子仲良く会話出来てるんだから』と返信し、これからオレはどう行動するべきかを考える。 



「あ、そういや優香にも不幸体質が引き継がれているとか言ってたよな。 てことはもしかしたらストーカーやら痴漢やらに遭遇する可能性もある……周囲に目を光らせておかねば」



 結城も心配だが不幸体質を引き継いだ優香ももちろん心配だ。

 オレはなんとなくマンションの下へと視線を向けると、何やらフードを深く被った高身長の男が不気味にウロウロしている姿を発見。



 見るからに怪しい……早速なのか?



 オレはそいつの写真を静かに撮ると夕食時に優香に報告。 軽く注意喚起を促し、優香も「確かにこんなに暖かくなってきたのに気持ち悪いね」と近隣の優香国の民に連絡していたのだった。

 


お読みいただきましてありがとうございます!!

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