64 JSの絆
六十四話 JSの絆
放課後。 図工室前の女子トイレ内。
「んあーーーっ!! やっぱムカつく!!!」
壁にもたれかかった小畑がイライラしながらコンコンと便器を蹴る。
「確かにねー。 でもなんでそんなことしてきたのかな」
多田が首を傾げながら考える。
「知らないよ! どうせ私の可愛さに嫉妬でもしたんじゃないの!? 堀田さんブスだし!」
おぉ、はっきり言いよった。
将来の夢がアイドルだったか……小畑は自分の美貌に確固たる自信を持っているな。
「まぁまぁ美波、落ち着きなよ。 ーー…それで福田、なんか私らに話したいことあったんだよね?」
三好が小畑をなだめながらオレに視線を向ける。
「うん。 もしかしたら今朝の小畑さんへの悪戯と関係があるかもしれないんだけど……」
「なに!? じゃあ早く言って!?」
小畑がオレの下半身を蹴り上げる。
「はぃい!!!!」
キンモチイイイイイイイ!!!!!
◆◇◆◇
「ーー……というわけなんだよね」
オレは堀田のいる4組にラブカツオーディションに出る人たちがいることを話した。
「でさ、前に見せたあの手紙……覚えてる?」
オレは多田に尋ねる。
「あ、前にウチに見せてくれたやつだよね。 ラブカツオーディション出たらウチらをいじめる、みたいな」
「そう。 で、あれ書いた犯人は堀田さんと野村さんなんだけど、それで今朝堀田さんが小畑さんの上履きに悪戯をしようとしていた……ということは?」
「オーディション出るの堀田さんたちってことか!」
多田が人差し指を立てながらオレを見る。
「その通り。 だからオーディションまでの間、もしかしたら今朝と同じことが繰り返されるかもしれないね。 次はこの3人のうち誰かかもしれないし、オレかもしれないし」
可能ならオレに来て欲しいんだけどなぁ。
「それでさ、この上履き悪戯の回避方法なんだけど……」
オレが提案しようとするところで小畑が手を前に出しそれを止める。
「え?」
「福田さ、何さっきから出しゃばってんの?」
小畑が上から目線でオレを見下す。
「ーー……!!!」
ずきゅううううん!!!!
養殖ではなく天然のドSワードが槍となりオレにハートを射抜く。
このグサッと容赦無く突き抜ける感じ……そしてオレを完全に下に見ているこの女王様感……最高なんじゃあああああああ!!!!
「え、でも……じゃあどうするの?」
オレは精神的快感に溺れながらもポーカーフェイスで尋ねる。
「とりあえずオーディションは絶対出る。 んで圧倒的な差であいつらに勝利するの! 顔や声では勝ってんだから、あとはダンスで屈辱を味わわせてやる」
小畑は拳を強く握りしめながらニヤリと笑う。
「え、でも美波、それまではどうすんの? また堀田さんに何かされるかもよ?」
三好が小畑の上履きに視線を向けながら尋ねる。
「その時はまたやり返せばいいじゃん」
「でもさ、どこかで先生に見つかりそうじゃん? そしたら面倒くない?」
「じゃあ影でやり返すよ。 どうせアッチが先にやってきてるんだから悪く言えないっしょ」
「あー、まぁ確かに」
「ウチも堀田さんたちにはオーディションで勝ちたいかも!」
多田が大きく頷きながらオレたちを見渡す。
「麻由香、勝ちたいんじゃなくて勝つの! それも圧倒的な差をつけて!」
小畑がガシッと多田の手を握る。
「そーだね! 私らに突っかかってきたこと後悔させてやろうよ!」
三好もその上に手を置く。
「よし、ブスなんかに負けないぞー!! 優勝するぞーー!」
小畑が熱意のこもった声で叫ぶ。
三好と小畑はそれに応えるように『おー!!』と叫んだ。
ーー……JS同士の絆か。
尊い。
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