63 JSバトル!【挿絵有】
2020/08/22 挿絵入れました!
六十三話 JSバトル!
「あぁ。 ダルみーー」
休日明け。 オレは遊び疲れからの全身倦怠感MAXの状態で学校へと向かう。
とりあえずまずは三好たちにラブカツオーディションに4組の誰かも出るらしい事を教えて、そして……。
そんな事を考えていると学校へと到着。 大きな欠伸をしながら下駄箱のある玄関へと入った。
「いや私見たから!!!」
ーー……ん?
何やら下駄箱の方で誰かが言い争っているぞ。
あれは……小畑か??
その後ろには三好と多田の姿も確認。 何事かと思いながらもとりあえず近づいてみることにした。
◆◇◆◇
どうやら小畑と言い争っている相手は4組の堀田。
ガンガン攻め立てる小畑に対しムスッとした表情で目線をそらしている。
「ーー……どうしたの?」
オレは後ろでその様子を見ていた三好に尋ねる。
「あ、福田。 なんか堀田さんが美波の上履きに砂入れてたんだって」
「砂? なんで?」
「分かんないよ。 それで美波キレてんの」
「へぇ……」
オレと三好は小畑へと視線を向ける。
「ねぇ!! 何か言うことないの!?」
「ーー……」
「ちょっと!!」
小畑が堀田の肩を掴む。
「ぼーりょく反対ー」
「はあああああああ!?!?!? 元はと言えばアンタがっ!!」
「私がやったって証拠あるんですかー?」
「だから見たって言ってるっしょ!!!」
「それ証拠になりませーん」
「ーー……!!!!」
怒りが頂点に達した小畑は上履きに満タンに詰められていた砂を堀田に勢いよくかける。
「!! ちょっと何すんの!? 服汚れちゃったじゃない!!」
堀田が制服についた砂を払いながら小畑を睨みつける。
「うわーお似合い。 砂もきっと喜んでるよー」
小畑は一歩も引かず、もう片方の上履きを掘田の頭の上へ。 そこで上履きを傾けて入れられていた砂を堀田の頭上からサラサラとかける。
さ、さすが将来有望の女王様……!!
おい堀田!! そこを代われこのやろう!!! そこから見る景色は大層素晴らしいものだろうよ!!
「ちょ、ちょっと美波、落ち着きなって!」
「そうだよー!! 先生きたらどうすんのー!」
小畑の次の一手を感じ取ったのか三好と多田がそれを阻止。 小畑の両腕を掴んで必死になだめる。
「いやでもやってきたのアッチじゃん!!」
「ふんっ!!」
三好たちの制止により小畑の隙を見つけた堀田は舌をベーッと出しながらそこから立ち去っていった。
◆◇◆◇
「ちょっと福田ついてきて」
「え」
教室に向かう途中、小畑がオレの腕を掴み教室とは反対方向に歩き出す。
「美波? ウチらも行こっか?」
「いい。 福田に用があるだけだから麻由香たちは教室行ってて」
そう言い残した小畑がオレを連れてきたのは図工室前の女子トイレ。
「ーー……?」
「きて」
「あ、はい」
ーー……え、なになになに!?
もしかして今の一件で溜まった鬱憤をオレで晴らすの!? それはそれで大歓迎なんですけど!!
オレは心臓をバクバクさせながらも女子トイレの中へ。
小畑に促されるまま奥の個室へと入る。
「そこ座って」
「はい」
オレは小畑の指示通り便器の上に腰掛ける。
蹴るの? 蹴るの? 蹴って!!
オレは目をキラキラ光らせながら小畑を見上げる。
すると何故だろう……小畑はその場でくるりと体の向きを反転。 オレに背を向ける。
「?」
「よいしょっと……」
「ええええええええええ!!??」
なんということでしょう!! あろうことかオレの上に小畑が腰掛け他ではありませんか!!!
「お、おおおお小畑さん!?」
小畑の背中がオレの体にくっつく。
軽く汗ばんでいて最高に素晴らしい!!!
それに何と言っても目の前にある小畑のうなじ……!! タマラーン!!!
そんな感じでオレが1人でハッスルしていると小畑がオレの方を振り返る。
「これ、砂出して」
小畑は軽く履いていた上履きを脱いでオレに手渡す。
「……え?」
「だって砂汚いし細かいしで取るの面倒じゃん。 ほら福田ってそういうの得意そうだしさ。 根暗だし」
オレの手には小畑の脱ぎたての上履き。
足が接着していた上履き内部がほんのり湿っていて生温かい。
「お……おおおおおおお!!!!」
「ちょっとなに? 私の上履き掃除できないの?」
「いやします! できます!! ……でもなんでオレの上に?」
「だってトイレで靴下だけで立ってるの汚いじゃん」
ならオレを立たせて小畑が座ってればいいのでは……? と思うのだが、この幸せをもっと感じていたいオレはあえてそのことは言わないことにする。
「分かった。 じゃあちょっと頑張るよ」
「ちょっとじゃなくめっちゃ頑張ってー」
オレは上半身を右によじり、上履きの隙間に挟まった細かい砂をほじくり出していく。
この砂には小畑の汗も染み込んでるってことだよな。
くそ…叶うことならこの砂持って帰りたいぜ!
そんなことを考えながらもオレは着々と上履きに挟まった砂を綺麗に落としていき、綺麗になった上履きを小畑に渡す。
「……ん?」
しかし一向に小畑がオレの上から移動しない。
「小畑……さん?」
「あ、次はこっちね」
「え」
小畑はそう言うと履いていたニーソックスに手をかけ、突然脱ぎ始める。
そして今度はそれをオレの手の上に。
うわあああああい!!! ほっかほかだあああああ!!!
「靴下についた砂よろしく。 上履き出来たんだから出来るよね?」
うわああああ足先ちゃんと湿ってるよーー!! 最高だよおおおお!!!
もちろんオレはこう答えたさ。
「出来ます!!」
その後オレは小畑のニーソに少しでも触れていたいという一心で熱心に砂を除去していったのだった。
ちなみにその手は洗っておらず、授業中……鼻を両手で覆ってずっと染み付いた香りを堪能していたことはオレしか知らない。
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