625 【ギャルJK星編】やはりきっかけは……!!【挿絵有】
六百二十五話 【ギャルJK星編】やはりきっかけは……!!
噂には聞いたことがあったんだけど、足を踏み外したりして高いところから落ちた時って途中で気絶して落下時の痛みとか感じないらしいな。
もちろんオレも100パーセント信じてたわけではなかったのだが実際に空中に放り出されてすぐに気絶。
そしてそんなオレの意識が途切れる瞬間になんとなく視界に映った光景、それは……
『ダイキーー!!!!!!』
ギャルJK……星?
いや、そんなわけはない。 ギャルJK星は現在今世紀最大と言っても過言ではないくらいの絶不調で、そんなギャルJK星が……しかも自らの危険を顧みずに3階という高さから飛び出すなんて。
◆◇◆◇
ーー……痛っ。
「いたたたたたたたあああああああああ!!!!!!!」
顔面から股間あたりにかけての激痛でオレは目を覚ます。
周囲を見渡してみると、どうやら病室のよう。 オレは一瞬事態が飲み込めずに何があったかを必死に思い出していたのだが……
「ちょっとダイキ、うるさいぞー」
ーー……ん?
カーテン越しで仕切られた隣から声が聞こえてくる。
この声は……ギャルJK星?
確認しようにも身体が激痛で動けないため声のした方を見つめているとゆっくりカーテンが開かれていき、オレほど重症には見えないのだが、片腕にギプスをはめたギャルJK星が「よっ!」と顔を覗かせてきた。
「よかった目が覚めたんだなー」
「ほ、ほほほほほ星さん!?!?!? どうしたのその腕ええええ!?!? ていうかもう元気になったの!?」
「あー、なるほどにゃ。 ダイキはすぐ気を失っちゃったんだもんにゃー?」
ギャルJK星がオレの横になっているベッドにポスンと腰掛ける。
「んんん? 気を失っ……オレが?」
「実はねー」
ギャルJK星が口を開いたのと同じタイミング。
今度は……一体何が起きたというんだ!? 右足にギプスをした優香が「あ、ダイキ目を覚ましたんだ!!!」と松葉杖をつきながら部屋へ入ってくる。
「お、おおおお姉ちゃんまでえええええええええ!?!?!?」
オレの脳はもう何が何だかわからず混乱状態。
両手で頭を抱えながら「グアアあああー!!!」と唸っていると、ギャルJK星が「あははは、なんだ!? それ数時間前のアタシの真似かー!?」と笑いながらオレの背中を叩いてきた。
しかしオレの体は絶賛負傷中。 主に体前面が痛いとはいえ背中を叩かれては振動が伝わってくるわけで……
「いた……いたたたたたたた!!!!!!!!」
まさに痛みの連鎖。
背中から伝わった振動はまず胸部へ。 そこからお腹、腰、股間へ連鎖していき、最終的にオレは足をギュッと閉じて股間を抑えるようにしながら悶絶し始める。
「あーごめんごめん。 そういやダイキ、体の前面強打したんだもんね」
「前面を……強打?」
「あー、そこもあんま覚えてない感じか。 んじゃちょっと教えたげるわー」
優香も腰掛けたことを確認したギャルJK星は改めてオレのベッドの上に深く座り直し、オレが意識を失うまで何があったのかを話し出した。
◆◇◆◇
「ーー……てなことなのよ」
「ーー……」
ギャルJK星が話し終わるとオレは絶句。 その後一気に記憶を思い出していき恐怖のあまり身体を震わせる。
「そ、そうだった。 確かにオレあのストーカー野郎に一泡吹かせてやろうと煽り散らかして……それで手すりの外に放り投げられたんだったあああああああ!!!」
あのフワッと宙に投げられた際の感覚が再びオレの脳を支配していく。
う、うおおおおお!!! 高いとこと怖い……ん、てか待てよ? じゃあオレ、奇跡的に死ななかったのか。
3階から落ちたにしてはかなり軽症すぎる。
最悪の場合またあの天界へ行く羽目になっていたかと思うとゾッとするが、でもどうしてこんな軽い打撲程度で済んだんだ?
オレが首を傾げながら自分の体に視線を落としているとギャルJK星が「ん、どしたのダイキ」と顔を覗かせてくる。
そこでオレは先ほど思ったことをそのまま伝えてみたのだが、その答えを聞いたオレは我が耳を疑った。
「そうだなー。 とりま、間に合ってよかったぜ」
「だね、美咲には感謝だよ。 美咲が動いてくれなかったら私今頃どうしてるか」
ーー……え。
話によると、オレがストーカー男に持ち上げられた瞬間危険を感じた優香が勢いよく扉を開けオレのもとへ駆け出すもその隣から優香よりも早くギャルJK星が追い越して先行。
オレの身体が投げ出されたと同時にギャルJK星はストーカー男の股間を蹴り上げそのまま手すりの上へとジャンプし、何の躊躇もなく手すりを蹴ってオレの方へと飛んだらしい。
「えええええええええええ!?!? そうだったのおおおおお!?!?」
そしてギャルJK星は何とかオレの脚を掴んだのはいいもののそのままギャルJK星自体も下へと落下。 しかし優香がギリギリギャルJK星の足を掴めたため、オレやギャルJK星の体は手すりの外壁に強く打ち付けられた……とのことだった。
なるほど、オレの身体前面が痛いのはそれが理由だったのか。
オレが1人で納得しているとギャルJK星が「いやー、マジであれはゆーちゃんが助けてくれなかったらアタシまで落ちてたわ」と優香に話を振る。
「だろうね。 私も必死だったし」
「それにしてもゆーちゃん、案外筋肉あるんだにゃー。 アタシやダイキの体重を合わせたらそれなりにあると思うのにー」
「ううん、私も実際力が足りなくて落ちそうだったんだよ? でもね、ちょうど足元にパンツが落ちてたの。 それでパンツの左足を通すところに私の足が偶然にも入ってて、私も落ちそうになった時に反対側の右足を通すところが運よく消火器を設置してる金具にひかかったんだ。 それで私落ちないで済んで……まぁそれで強めの捻挫しちゃったけどね」
ーー……マジ?
「え、それってつまりはパンツが落ちてなかったらオレも星さんもお姉ちゃんも、もしかしたらそのまま落ちて死んじゃってたってこと?」
「そうだにゃ」
「だね」
「えええええええええええええ!?!!?」
ナイスパンツ!!! いちご柄ではなかったとはいえ、今回もパンツにオレの人生を助けてもらうことになろうとは!!!
あの時は『女の子が着用してたパンツではないゆえ貴様はいらん!!』とか言ってゴミ箱にぶち込んですみませんでしたああああああ!!!!!!!
その後医者が検査に来たためオレたちの会話は一旦中断。
オレがレントゲン等の検査から戻ってきた時にはすでに窓の外は真っ暗で、優香やギャルJK星ももちろん部屋にいたのだが……そこには新たに人が増えており、夜逃げ屋さんや刑事さんたちが優香たちと何やら話をしていた。
「あ、ダイキおかえり。 ちょうど今回の詳細聞いてたんだけど、ダイキも一緒に聞く?」
オレに気づいた優香が話をストップさせて話しかけてくる。
そうだ、その後ストーカー男がどうなったとか……何で地方の遊園地に向かってたはずなのにこっちにいたのか謎が多かったんだもんな。
そしてこれからオレたちは聞くこととなる。 今回の事件の真相を。
お読みいただきましてありがとうございます!!!
感想やブクマ・レビュー・いいね等、お待ちしておりますーー!!!!




