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620 【ギャルJK星編】対策会議!?【挿絵有】


 六百二十話  【ギャルJK星編】対策会議!?



 授業中。 オレは教師の言葉など全く耳に入らず、ずっと今朝小畑から受け取ったストーカー野郎からの手紙の内容について考えていた。



 なんで……どうしてだ?

 どうしてギャルJK星と電話をしている相手がオレだと分かった?



 考えれるとしたらオレかギャルJK星の部屋……そのどちらかに盗聴器が仕掛けられているという線が濃厚か。

 オレの家も特定されてるわけだしな。 おそらくはあれだ、オレが優香とともにギャルJK星の家を訪ねた日の帰り道にでもつけられていたのだろう。



 とりあえずオレはこの件を優香にもメールで報告。

 すると向こうも授業中のはずだったのだが、すぐに返信が返ってきた。


 

【受信・お姉ちゃん】ダイキ、教えてくれてありがとう。 とりあえずこの件が片付くまでは1人での行動はなるべく避けて。 


【送信・お姉ちゃん】分かった。


【受信・お姉ちゃん】それでもしかしたらエマちゃんたちも同じマンションってことで狙われるかもしれないから伝えておいてくれるかな。 詳しいことは昼休みにまた連絡入れるね。


【送信・お姉ちゃん】はい。


【受信・お姉ちゃん】あ、それとこのことはまだ美咲には教えないで。 余計に怖がらせちゃってもあれだから。



 もちろんだ。

 2・3日毎晩徹夜で電話して、ようやく簡単な冗談も言えるようになったんだからな。

 ここで振り出しに戻すようなバカな真似はしないさ。



 それからオレはすぐに隣の席のエマにこの件を伝えることに。

 エマは「ええ……それ大丈夫なの?」とギャルJK星のことを心配してくれつつも、単独行動をしばらく控えることを了承してくれたのだった。



「それにしてもあれね、ストーカーなんて……ほんとに最低よね」


「なんだ? めっちゃ怒ってくれてるじゃないか」


「そりゃあそうよ。 ほら、エマって小山楓だった頃はあっちでモデルしてたじゃない? その時にもたまーにいたのよね。 ちょっと優しく接しただけで自分に気があるって勘違いしてた頭の痛い男が」


「えええ、そうなのか」


「うん。 まぁでもそのほとんどの人は鬼マネに蹴り飛ばされて逃げ帰ってたけど」



 お、鬼マネつえぇ……。



 そんなこんなで放課後、オレはエマ・エルシィちゃんとともに優香が呼んでくれたタクシーに乗り込み家へ。

 階段を上っている際もエマとともに協力をして付近に誰もいないことを確認しながら慎重に帰る。



「あ、そういやダイキ、今日マユカが来るのよね?」


「あぁ、多田がそのストーカー野郎の見た目を一番詳しく知ってるかもしれないからな。 お姉ちゃんが帰ってくる時間に合わせて親が送ってくれる予定だけど……なんでだ?」


「そこにエマたちも話に加わってもいいかしら」


「なんで」


「特徴とか知ってた方が自衛しやすいじゃない」


「ーー……確かに」



 ◆◇◆◇

 


 盗聴の可能性が一番低い優香の部屋に集まったオレたち。

 改めて全員でストーカー男からの手紙を見終えると多田が驚きの声をあげた。



「えーーー!!! それめっちゃピンチじゃん!! 福田もエマもエルシィも……もちろん福田のお姉さんも大丈夫なわけ!?」



 多田が優香お気に入りのネコクッションに体重を乗せながら前のめりでオレたちを見回す。



挿絵(By みてみん)



「大丈夫なわけねーだろ。 だからこうして話し合いの場を設けたんだから」


「あ、そっか。 そうだよね、だからウチの証言とか大事になってくるんだもんね」



 まぁこういう問題って小学生には難しいよな。 多田の場合は大人である親と同居しているから最低限の安全の保証はある……だけどオレや優香、エマ、エルシィちゃんは未成年での2人暮らし……何かがあってからでは遅いのだ。

 エルシィちゃんは「エマおねーたん、ゆかぁのおへや、いいにおい、しゅうねー」と呑気に天使の笑顔を振りまいているし……この笑顔も、守りたい。


 ようやくことの重大さを理解した多田はオレたちにあの時見た覚えている限りの情報を教え始める。

 そしてそのほとんどが写真に写っていた通りの特徴……スラっとした高身長で分厚い唇といったものだったのだが、1つ為になる情報が多田の口から発せられた。



「あ、そうそう。 後は大人にしてはなんかやけにイケメンの声だったよ」


「「「イケメンの声?」」」


「うん。 ほら、よくアニメとかでさ、甘い声のクールキャラっているじゃん? そんな感じ」



 ーー……。



 ぶっちゃけオレはあまりピンと来ていなかったのだが優香とエマはなんとなく想像がついた模様。

 2人揃って「なるほどね……」と頷いていた。



「え、ちなみに多田はなんでそんな例え思いついたの? お前イケメンキャラが出てくるアニメとか見てたんだ」


「うん。 ウチ、ラブカツみたいな可愛い女の子が出てくるアニメも好きだけど、やっぱりイケメンも好きだし」


「なるほど」



 まさか多田がイケメンアニメにも手を出していたなんて。

 勉強にアニメに……色々と大変だなぁ。



「ちなみにどんなアニメなんだ?」


「んとね、戦国時代に実際にいた武将たちをイケメンにしたアニメだよ」


「そ、そんなのあるのか」


「うん。 福田も時間あったら見てみるといいかも。 内容も戦いとか熱いんだけど、武将の名前とかすぐに覚えられるよ」


「あ、うん。 そのうちね」



 それはさておき、注意するべき人物像は大体共有できた。

 次はどうやってストーカー野郎の魔の手から自分たちの身を守るかについてだったのだが……



「ンー」

「うーん……」

「ダメだ、ウチ何にも思いつかない」

「エマもよ」

「エッチー、おなかしゅいたー」



 かれこれ30分だろうか。

 この議題に入ってから誰からも良い案が挙げられず静寂のまま。


 オレの完璧だと思って提案した『お姉ちゃんの知り合いの大人たちに遠くから見ててもらう』も、優香の『うーん、でもそれは難しいかな。 少しの時間なら大丈夫だと思うけど、あっちにもお仕事とかあるし』と一掃されてしまったし……もうどうすりゃ良いんだ。



 そうこうしていると多田のスマートフォンが着信。

 多田の母親からのようで、『そろそろ迎えに行くね』とこと。 なので良い解決案が出されないままそろそろお開きにしようという空気になっていたのだが、やはり純粋な子供の脳……ここで癒しの天使・エルシィちゃんが可愛く左右に揺れながらエマの腕を引っ張った。



「ねー、エマおねーたん」


「どうしたのエルシィ」


「エマおねーたんや、ゆかぁは、わるいひとから、みつかりたくないんー?」


「そうね。 それでさっきからどうすればその悪い人から逃げられるか考えてたのよ。 特に優香さんとダイキはおそらく顔もバレてるからね」


「んー? だったらダイキ、おんなのこに、なればいいのなー」



「「「え」」」



 皆の視線がエルシィちゃんに注がれる。

 


「エ、エルシィ? 何言ってんの? ダイキが女の子に? それはさすがに……」


「でも、そしたらわるいひと、ダイキってわからないのよー?」


「それはそうだけど……」



 エマは視線をエルシィちゃんからオレへ。 「だってさダイキ。 エルシィはあぁ言ってるけど……」と笑いをこらえながら話を振ってくる。



「いーや!! いやいやいや!!! 何言ってんの!!! オレにその……なんつーか、ちょん切れってことか!?」


「そう……なんじゃない? ……ぷぷぷっ」


「ふっざけんな! 想像しただけでも股間ヒュンってなったわ! それにあれだろ、オレがもし仮にちょん切って女の子になっったとしても、お姉ちゃんはどうするんだ! さすがに生やすことは出来ないだろ!!」



 オレが「ねぇお姉ちゃんそうだよね!」とパスを飛ばすと、自分には来ないと思っていたのか優香が「えええ!?」と驚きながら体をビクンと反応。 なぜかは分からないが自身の股のあたりを手で押さえる。



「お、お姉ちゃんも男の子になるの!?」


「さっきのエルシィちゃんの話的にはそういうことでしょ!」


「いやいやさすがにそれは……」


「だよね! ほらエマみたことか!! お姉ちゃんもこの案には反対らしいぞ」



 先ほどの静寂はどこへやら。

 オレの魂をちょん切る話になってから、なぜか皆生き生きとした表情で盛り上がり始めている。

 もしかしてやはり女性は皆アレが好き……メスの本能が刺激されたということなのか?



「でもあれよね、ちょん切る時ってどうやるのかしら。 根本からスパンっていくの?」

「いやウチに聞かないでよ、聞くとしたら一番年上のお姉さんでしょ」

「えー、麻酔して色々するんじゃないの? だってほら、アレだけじゃなくて2つ付いてるのも取らないとなんだし」



 ちょあああああああ!!!! 聞いてるだけでなんか超絶痛くなってきたぜええええええ!!!!



 その後もなぜかそっちの話が永遠に続き、気づけば多田の母親がマンション前に車で到着したと連絡が。

 なのでオレたちは揃って多田を車の止めている場所まで送っていた……その時だった。



「なーダイキ、エマおねーたん、ゆかぁ、マユちゃ。 エッチーがいいたいの、ダイキがシュカート、はくことなのよ?」




「「「え」」」

 

 



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