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616 【ギャルJK星編】ホラー!?


 六百十六話  【ギャルJK星編】ホラー!?



 それがオレが6年生になった年の夏休み後半。 家に泊まりにきていたギャルJK星が突然口にしたことから全てが始まった。



「なー、ゆーちゃんにダイキ」


「なに?」

「どーしたの美咲」



「なんかさ、若いうちにしか出来なさそうなこと……やりたくね?」



 ◆◇◆◇



「どうしたの美咲いきなりだね。 若いうちにしか出来ないこと?」



 優香が大きく瞬きをしながら首を傾げると、ギャルJK星は「んー。 やっぱり夏休みが終わる寂しさもあるのかねー。 一発ドカンとやりたいわけよ」と優香の柔らかそうな胸部をツンツン突いて頷いた。



「一発ドカン?」


「そーそー。 やっぱこういうのってJKのうちに一回はやっておきたいわけ!」



 いやいや優香、まずは突っ込むところ、そこじゃないと思うぞ?

 ていうか『一発ドカンとヤりたい』……だと?



「ま、まさか星さん、それってオレやお姉ちゃんを入れた3人でエッtt……!!!!!!」



「ということで限界までかき氷……お家で無限かき氷とかどーだい!?!?!?」



 ーー……え、無限かき氷?



 言葉的には魅力的ではあるが、残念なことにウチにはかき氷を作る機械は置いていない。

 もしここで「うん」と答えれば明日、暑い中買いに行かなければならないことは明白なのだが……ギャルJK星の期待に満ちた表情。 断りづれーー。



「どうかねダイキ!!!」


「え、オレ?」


「うん! ゆーちゃんはダイキがやりたいならいいよって!」


「んーーーーーー!!!!」



 ここでオレが答えるべき選択は……



 ◆◇◆◇



 そんなこんなで翌日。


 無限かき氷祭り祭りは今夜開催とのことで、オレはギャルJK星とともに家庭用かき氷製造機を購入するべく隣町の大型ショッピングモールへ。 家電量販店に展示されていた数多くのかき氷製造機を眺めながらどれにしようかと吟味していた。



「んー、どれにするか悩むね星さん。 こうなるんだったらお姉ちゃんも連れてくるんだった」


「まぁまぁダイキ。 ゆーちゃんは夏休みといえど家事とかで大変じゃろ? 買い出しくらいアタシらで済ませて楽させてやろーぜ」


「あ、だから星さんお姉ちゃんに『ゆっくりしてていいよ』って言ってたんだ」


「だべ。 それに外は暑いしな。 外に出なくていいのならそれがベストに決まってんで」



 ちくしょうなんて心の中までイケメンなんだこの人は。 オレが女だったら確実に同性相手とはいえ惚れている自信があるぜ。

 オレたちはなんとか話し合いを重ねながら中々に良いお値段のかき氷製造機を購入。 あとは削られた氷の上にかけるシロップを買うのみということで早速下の階にある食品売り場へと向かった……のだが。



「そーいや夏休み前に変態に襲われてた多田ちゃん、あれからどーなん?」


「あー、前に「メールきたんだけどあれ以来遭遇してないって」


「そうかそうか。 それなら安心さな」


「うん」



 他愛ない会話をしながらエスカレーターで下っている途中、オレの前に立っていたギャルJK星は突然「えっ」と声を漏らす。

 


「ん、どうしたの星さん」


「え、え、アタシなんか言った?」



 ギャルJK星が若干焦った様子でオレの方を振り返る。



「うん。 さっき星さん突然『え』って……どうかした?」


「そ、そう? それはおかしいな、アタシそんなこと言ったか? 覚えてないなーあははは」



 なんだ? 笑ってるとはいえ顔がまだ引きつってるような感じがするぞ?



「なにー? もしかして幽霊みたとか言わないでよ?」


「あはは、そうだな! あれはそう……多分幽霊だ! あはははは!!」


「ーー……エ」



 まじか。

 なんでそんな平然と幽霊見たと言えるんだ?


 もし本当にいたんだとしても、せめてそいつはクヒヒさんであってくれ……!!!


 オレが顔を青ざめながら周囲を見渡しているとギャルJK星が真顔で「いやダイキ、マジで目があったら危険だからやめとけ?」とオレの顔の向きを強制的に固定させてくる。



「ちょ、ちょっと星さん、冗談……だよね?」


「いんや、ガチ」


「み、見た目は?」


「言わねー。 言ったら呪われるべ?」


「えええ!?!?」



 おいおいめちゃくちゃ怖いんですけどおおおおおお!!!!!



 それからオレはかき氷製造機の入った段ボールを持ちながらも出来るだけ体をギャルJK星にくっつけながら歩くことに。

 でもあれだよな、オレは実際幽霊の姿を見たわけではないからおそらくオレには実害はない……あるとしたらギャルJK星か。


 だったらオレよりも今はギャルJK星の方が怖がってるはず……少しでも安心させてあげたほうがいいよな。

 そう感じたオレは買い物かごを手にしながらシロップを選んでいるギャルJK星の腕を軽く引っ張った。



「ん、どーしたダイキ。 とうとう幽霊見えちゃったか?」


「いや……まだだけど、もし本当に怖いことになった時には頼ってくれていいからね」



 そう伝えてみるとどうだろう。

 オレの予想的に、次の展開は『なーにカッコつけてんの』みたいな感じで軽くあしらわれると思っていたのだが……



「あーー……そうだね。 そんときは頼る……かも。 サンキューなダイキ」



 え。



 なにこのフラグめいた発言。

 オレは一瞬困惑するも、先ほどみたいな弱い姿を見せたギャルJK星はその1回のみ。 数分後にはなぜかいつも通りハイテンションなキャラに戻っており、「さぁーー!!! 晩御飯の後はフローズンパーティーじゃあああ!!!」と盛り上がりながら帰路に着いたのであった。



 そんな帰り道の途中。



「なーダイキ、せっかくの無限かき氷祭りなんだしさ、夏っぽい格好で食べるってルールどうよ!!」


「夏っぽい格好?」


「そうそう!! 水着着て食べんの!! めっちゃ夏っぽくね!?」


「ーー……ありですねぇ」


「っしゃあ!! でもダイキあれだぞ!! アタシらの水着見て一部分だけ熱くすんのなしなー」


「そんな難しいことを」


「あはは、冗談だって! 夏なんだからどんどん熱くなれ!!」



 こうして実際に夜は3人とも水着姿で無限かき氷を楽しむことに。

 そしてやはり結局は水だからだろうか……あまりのリッチさにオレたちはかなりの量を食べ、その翌日は全員腹痛で倒れ込んでしまったのだった。



「あー……お腹いてー。 ゆーちゃんもダイキも大丈夫かー?」


「う、うん。 私はなんとか」

「オレきついっす」


「ったく誰だよなー、無限かき氷しようって言い出したの」



「美咲だよ!!!!」

「星さんだよ!!!」



「あははははは!!!」



 小学生生活最後の夏休み、なんだかんだで西園寺や三好とのキャンプ以外にも忘れられない思い出ができたぜ。

 ギャルJK星も優香も本当に楽しそうで……なのになぜだろう。 夏休みを過ぎたあたりからギャルJK星がぱったり家に来なくなったんだよな。



「ねぇお姉ちゃん、最近星さん来ないけどどうしたの?」


「分かんない。 学校も遅刻したり休んだりが増えててさ。 ちょっと様子がおかしいんだよね」


「えええ、大丈夫なの!?」


「うん……どうかしたって聞いてもはぐらかされるだけだからさ。 お姉ちゃんもどうしようか悩んでるんだよね」


「なるほど」



 一体なにがあったというんだギャルJK星。


 あの陽気なキャラクターかつ優香の親友ってことでイジメとかの線はなさそうだが……これはオレが足を踏み入れてもいい問題なのか?

 ていうか優香にも教えてくれてないんだし、オレに教えてくれるわけがないよな。



 オレはそんな自問自答を繰り返しながらもギャルJK星宛にメール文を作成。

 送るべきか送らざるべきか……チキンゆえに半日くらい悩んでいたのだった。

 


お読みいただきましてありがとうございます!!

ギャルJK星編始まりました!! 今後の展開、一緒に楽しんでいけたらなと思います!!!

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