610 【優香編】親友、動く
六百十話 【優香編】親友、動く
どうやらギャルJK星曰く、もともとこの春休み中に遊びにくる予定だったとのこと。
それで優香とメールで話し合った結果、今日がお祭りだったということもありまずは委員長JK七瀬とインキャJK早乙女に紹介するためお祭り会場へサプライズ登場……その後にギャルJK星とともに家へ帰り、オレを驚かせようというプランだったらしい。
そのことを話してくれたギャルJK星は「あーあ、本当ならもっとダイキが驚きそうなサプライズ考えてたのになー!」と笑いながらオレのおでこを指先で突いた。
「ち、ちなみに星さん、どんなサプライズをオレに?」
「んなもん言うわけねーだろー? ダイキが一人でお風呂入ってる時に乱入しようと思ってたなんてよー」
「な、なんだってぇーーーー!?!?」
オレはもし仮にそうなっていた場合のことを考えて激しく興奮。
しかし今日から数日ギャルJK星が滞在するってことはまだそのチャンスはあるかもしれない……オレは心の中で小さく神に祈り、どのくらいの期間ギャルJK星が泊まってくれるのか聞こうとしたのだが……
「あの、星さんちなみに何日……」
「そ、そんなことより!!」
オレが話している途中だというのに委員長JK七瀬がオレとギャルJK星の間に割って入り会話を中断させる。
そしてすぐに視線をギャルJK星と優香へ。 真剣な表情で口を開いた。
「あのさ、ずっと教えてくれないからもう聞いちゃうんやけど……あんなにたくさんいたヤンキーに怯えず助けに来てくれた美咲さんって一体何者なん……? それとあの時のユカちん、なんかいつもと違ったやんね?」
あー、そこやっぱ気になるよな。
「え」
「あ」
委員長JK七瀬の問いかけに優香とギャルJK星は互いに顔を見つめ合う。
「どーするゆーちゃん。 教えるべ?」
「え、えーと……タマちんとサッちゃん、それ気になる?」
優香の言葉に委員長JK七瀬とインキャJK早乙女の2人は同時に首を縦に振る。
それを見た優香とギャルJK星は簡潔に説明を始めたのだった。
「タマちんたちはさ、数年前に一部で流行ってた優香姫って配信者知ってる?」
◆◇◆◇
どれくらい経っただろう。
優香たちの話を聞いた委員長JK七瀬たちは言葉を詰まらせていた。
「え、そういや最近全然配信しないなーって思っとったけど、ユカちんがあの姫だったん……?」
インキャJK早乙女が目を光らせながら優香をジッと見つめる。
「えええ、サッちゃん知ってたん? 私あんまりそういう配信見たことないけん知らんのやけど」
「うん。 ウチ、採用されんかったけど昔悩み相談したことあったけん」
「そうなんや……、でもそうならそうでユカちんも教えてくれたらよかったのに。 そしたらユカちんも学校であんな扱いされずに……あっ」
思わず口を滑らせてしまい本音が漏れたのだろう。
委員長JK七瀬は『言ってしまった』的な表情をしながら気まずい表情を優香に向ける。
「ご、ごめんユカちん」
「ううん大丈夫。 気にしてないよ」
「ん? あんな扱い? なにそれ?」
先ほどの委員長JK七瀬の言葉にギャルJK星が反応。
目を大きく見開かせながら委員長JK七瀬に尋ねた。
「え、美咲さん……知らなかったん?」
「えええ、なんの話なんの話?」
「ちょ、ちょっとタマちん、それ以上言っちゃダメ……」
優香が焦って止めに入ろうとしたのだがもう遅い。
ギャルJK星はすぐに会話を中断させようとしてきた優香を背後から抱きしめ口に手を当て無力化すると、「ちょっと今の詳しく教えてくんない?」と真剣ボイスで委員長JK七瀬にお願いする。
「え、でも今ユカちんが言わない方がいいみたいなことを……」
「もしかしてゆーちゃん、辛い思いしてた?」
「ーー……う、うん」
「話して」
「あ……じ、実は……」
ギャルJK星のまっすぐな瞳に逆らえなかったのか委員長JK七瀬は現在優香が置かれているクラス・学年の状況について詳しく話すことに。
当時イジメられていた男子を助けようとしたことで加害者男子組からいじられはじめたことや、その繋がりから女子グループにも目をつけられクラスから孤立したこと、他にも陰湿な嫌がらせを周囲から受けていたことを次々と話していく。
そして一通り話を聞き終えたギャルJK星は静かに「なるほど」と呟くと、その後少しの間を置き……委員長JK七瀬・インキャJK早乙女の2人を交互に見据えた。
「じゃあ……てことは、ゆーちゃんの友達ってタマちんちゃんとサッちゃんの2人だけってこと?」
「う、うん」
「そう……」
「なるほどにゃー。 わかった」
大きく頷いたギャルJK星はようやく優香を解放。 その場でゆっくりと立ち上がると、「ふぅーー」と長い息を吐く。
「み、美咲さん?」
「ねぇタマちんちゃん、そっちの新学期っていつから?」
「確か4月5日からやけど……」
「それまでに学校行く予定あるべ?」
「う、うん」
「いつ?」
「明後日……月末やよ。 3年生に必要な教科書とか貰いに行かんとダメやけん」
「オーケ、わかった」
一体何に関して分かったのかは分からないが、ギャルJK星はおもむろにスマートフォンを取り出すと誰かにメールでも送っているのかカタカタと文字を打ち出し「よし」と小さく呟いてポケットに戻す。
「え、星さん何かするの?」
「んー? ダイキにも内緒ー」
これ以上はオレが何を尋ねても教えてくれず。
ギャルJK星は「まぁあんま心配すんな」とニコリと笑うと、4月1日までここに滞在することを宣言。 許可を貰いに福田祖父母にいる1階居間へと向かったのだった。
「ね、ねぇお姉ちゃん……星さん何するつもりなの?」
「お姉ちゃんにも分かんない。 でもまぁ美咲ももう中学生じゃないんだから校内で乱闘とかはない……とは思うけど」
「「「え」」」
お読みいただきましてありがとうございます!!
●本日更新する際、『あれ、なんか話数ズレてね?』と思いまして見直したところ、604話が抜けてたことに今更気づきました……。
なので先ほど第604話『特別編・珠子とひかりの放課後』を挿入したのでよろしければそこもお読みいただければと思います!!
と、特別編でよかった……!




