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60 ギャップいぇす!!【挿絵有】


 六十話  ギャップいぇす!!



 「んん……なんかチャイムなった気がしたけどお客さん?」


 

 優香が重たそうな目を擦りながら、まだ半分寝ぼけた状態でこちらへ向かってくる。



 「しーーーっ!!」



 オレは優香の口を塞いで静かにリビングへ。 扉を閉めて少しでも音が外に漏れないように工夫する。



 「だ、ダイキ? どうしたの??」


 「ーー……前にウチに来たオレのクラスの杉浦ってやつの親がまた来た」


 「えぇ!?」



 優香が玄関の方に視線を向けながら驚く。



 「ど、どうしよう。 とりあえずお姉ちゃんが話をしに行った方がいいかな。 このままだと……」


 「いや、オレが学校に連絡して引き剥がしてもらうからそのままあいつらは放置しといた方がいいと思う」


 

 オレはスマートフォンを手に取り学校の名前を検索。 その後表示された電話番号を優香に見せる。



 「いや、あのねダイキ、そうじゃなくて……」


 「ーー……?」


 「ダイキ、今何時?」


 「もうすぐ7時だけどーー…」


 「あちゃあ……」



 優香が諦めた様子でおでこに手を当てながらしゃがみこむ。



 「え、どうしたの?」



 オレが優香に尋ねようとしたところで再びあのけたたましい音が。



 ピンポンピンポンピンポーン!!!



 うっせええええええ!!!!


 オレはイラつきながら学校の電話番号をタップ。

 誰か職員室にいることを期待してスマートフォンを耳に当てた。



 「ゆーちゃああん!! きーたよーー!!!」



 ーー……え!?



 今の声は紛れもなくギャルJK星の声。

 オレは意味がわからず優香に視線を向ける。



 「ーー…うん。 ダイキの思ってる通り、今のは美咲の声だよ」


 「え、なんで星さんが!?」


 「えっと……色々あってね」



 優香は覚悟を決めたのかゆっくりと立ち上がり玄関へ向かう。

 流石に優香1人では心配だったのでオレもその後ろに続いた。




 ◆◇◆◇



 

 ガチャリと優香が玄関の扉を開けると陽気なギャルJK星がその隙間から顔を出す。



 「やほー! ゆーちゃんにダイキ! 美咲ちゃんだよーん!!」



 朝からすごいテンションだな。 後ろに並ぶ杉浦の両親も少し引いている。



 「あ……おはよ、美咲」


 「うんおはよー!! ちょっと早めに着いちゃったけどまぁ待っとくからさ、ゆーちゃんたちも準備するべ!? とりまお邪魔しまーす」



 ギャルJK星が鼻歌を口ずさみながら中へ。



 「え、どこか行くの?」


 

 オレはギャルJK星に尋ねる。


 

 「ふふふーん!! そう! みんなで行くべさー! でもどこに行くのかはまだ秘密だよー! ほらほらダイキも着替えた着替えた!」



 ギャルJK星がオレと優香の背中を奥へと押し込んでいく。

 


 「ちょっと待ちなさい!!!」


 「!!」



 振り返るとさっきまで空気となっていた杉浦ババァがギャルJK星の腕を掴んでいる。



 「んあ? おばちゃん誰?」


 「おばーー……!! 私たちはそこの2人に話があって来たの。 あなたには関係ないから席を外してくれないかしら」



 杉浦ババァが少しキツめの声のトーンでギャルJKを睨みつける。



 「ーー……とか言ってるけどそうなの?」



 ギャルJK星が優香に尋ねる。



 「いや、私も何が何だか分からなくて……」


 「だーってさ。 今日約束してたのアタシだからごめんねバイバーイ」



 優香の言葉を聞いたギャルJK星は陽気に杉浦ババァの手を払いのけてオレたちに早く支度をするよう促す。

 


 「え、でも……」


 「いいからいいから。 だってあの人たち何の連絡もなく来てんでしょ? そんなの相手にする必要ないない!」



 おおおお……本人たちを目の前にして一切物怖じせずに毒吐くじゃねえか。 さすがギャル……!!

 ここはギャルJK星の勢いに身を委ねるか。



 「ほ、ほらお姉ちゃん、星さんもそう言ってるんだから……オレまだよく分からないけど準備しよ」


 「お、わかってるねダイキ! あ、そうだ。 えーと桜子ちゃん……だっけ? その子も起こして準備させてね!」


 「結城さんも?」


 「そりゃそうだよ! みんなで出かけるんだから!!」



 ギャルJK星は満面の笑みでオレにVサインを向ける。

 こうして先に優香は部屋に戻って行ったのだが、杉浦ババァはまだ諦めてはいなかった。



 「待ちなさいって言ってるでしょ!!! ここで私たちの話し合いに応じないんだったらこっちにも考えがあります!」



 杉浦ババァがヒステリックに叫ぶ。


 オレが一瞬振り返るもギャルJK星がオレにウインク。

 「早く行きな」と口パクて伝えたのちに視線をオレの部屋へと向ける。


 「え、でも……」


 「いいのいいの気にすんなー。 それよりあんまり女の子を待たしたらメッだぞ?」



 ギャルJKが杉浦ババァの姿を遮りながらオレに微笑みかける。



 「わ、わかった」



 オレは部屋に向かったふりをしてリビングへ。

 もしギャルJK星に何かあったときのためにスマートフォンを手に取り録音モードを起動させ、ドア越しに2人の会話を盗み聞きすることにした……のだが。



 「どきなさい! あなたには関係ないことでしょ! さっさと言うこと聞かないとあなたの学校にも電話して……!!」



 バンッ!!!



 ーー…!!??


 結構大きな音がしたので顔を覗かせると、ギャルJK星が杉浦ババァの目の前で自身の持っていたカバンを床に叩きつけていた。



 「な、何よいきなり!!」


 「さっきから聞いてたけどさぁ……アンタ何様なわけよ」



 ギャルJK星が静かにと杉浦ババァに詰め寄りメンチを切る。



 「な、何様って……!! 私は大人よ!!」


 「だからなんだぁ? アタシは何様かって聞いてるんですけどー」


 「ほらあなた!! このヤンキーを引き離してよ!!」



 ババァが杉浦夫を振り返りながら叫ぶ。



 「ほ、ほら君……その辺にしておきなさい!!」



 ババァの声に従った杉浦夫がギャルJKの目の前に。

 「これ以上私たちに関わるな」と言いながらギャルJK星の腕を掴む。



 「あー、おっさんそれセクハラー!!」


 「なっ!?」



 ギャルJK星は杉浦夫に掴まれた手をパシンと叩いて跳ね除けさせると、まるで汚い何かが触れたかのような勢いで掴まれた箇所を何度もはらう。



 「今のどう見てもセクハラだよね! アタシと交番いく? この服についたおっさんの皮膚片、証拠になると思うんだけどー!!!」



 ギャルJK星が掴まれた箇所を杉浦夫に見せ付けながら鋭い睨みを効かせている。



 「な……何だと!?」


 「行くのが嫌ならここに呼ぼっか!? いいよ、アタシが呼んだげるから!」



 ギャルJK星のその言葉に杉浦父の顔は真っ青に。

 

 

 「さぁ、どうするのおっさん。 一緒に警察行く? それとも来てもらう?」



 ギャルJK星がスマートフォンに何かを入力。

 おそらくは警察署へと繋がる電話番号を打っているのだろう……その画面を見せ付けながら杉浦夫に歩み寄る。



 「!!」



 これに苛立ちを覚えたっぽい杉浦ババァが「アンタもなんか言い返しなさいよ!!」と杉浦父に騒いでいるが、杉浦父はこの状況……どちらが有利なのかはよくわかっているらしい。



 「ほらお前、今日はもういい! 行くぞ!!」



 ギャーギャー叫ぶババァを引っ張りながら逃げるようにそこから立ち去っていったのだった。



 「まったく……アタシがいなかったらもっと酷いことになってたかもしんないんだから感謝しなよおっさん」



 ギャルJK星が逃げ帰っていく杉浦父に向けてポツリと呟く。

 まぁ確かにそうだよな、このまま騒いでたら誰かが警察に通報……もっと面倒なことになってたかもしれないんだもんな。


 ていうか……何あれカッケェ!!!!


 オレはリビングから飛び出しギャルJK星の前へ。

 目をキラキラと光らせながら邪魔者を追い払ったMVPのギャルJK星を見上げる。



 「ん? どしたダイキ。 まだ着替えてないじゃん」



 ガシッ


 オレはギャルJK星に抱きつく。



 「お? どうしたどうした? 甘えたくなっちゃったのか?」



 「一生ついていきます美咲お姉様ああああ!!」 



 抱きついた時にようやく気づく。

 ギャ……ギャルJK星の私服、初めて見たあああああ!!!


 よく見れば服装は全くギャルギャルしておらず、紺色のオーバーオールの短パンでその下に横ボーダーのTシャツ。

 短パンは限界まで露出されたその足がめちゃめちゃセクシーだ!!

 そして長い髪も後ろでくくっていてギャップがスバラでーーーす!!



挿絵(By みてみん)



 「おーよしよし、ほら、早く用意してお出かけ行くべー?」


 「イェッサーー!!!」



 オレはギャルJK星に敬礼した後に急いで自分の部屋へ。 未だ熟睡していた結城を起こして凄まじいスピードで準備をしたのだった。




下の方に☆マークがあるので評価していってくれると嬉しいです!

感想やブクマ、挿絵リクエストなどお待ちしております♪♪


●ポニテのギャルJK星ちゃん可愛くないですか?笑

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― 新着の感想 ―
[良い点] いやー今回はめちゃくちゃハラハラしましたね。 でも、スカッとするところでした。 星さんありがとう! [気になる点] 特にないですね! えっち要素控えめな回でした。 たまにスカッと回があるの…
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