598 【優香編】接触!!【挿絵有】
五百九十八話 【優香編】接触!!
聞くタイミングが今しかないと判断したオレはアルバイト中に申し訳ないなとは思いつつも委員長JKに軽く話を振ってみることに。 『オレ……お姉さんと同じ高校で多分同じ学年の姉を持つ弟なんですけど、ちょっと聞きたいことあるんです。 一瞬いいですか? 時間的にあれでしたら連絡先教えるんで、バイト終わってからでも連絡欲しいんですが』と尋ねてみたのだが、委員長JKの反応は想定外のものとなっていた。
「ちょっ……え! 待って、キミ……!! しぃーーっ!!」
突然委員長JKは人差し指を自身の唇に当てながら焦った様子でオレの隣に座ってくる。
「え、えええ!? なんですか!?」
「声が大きい……! お願いだらか静かにして……他のお客さんにバレたら大変やけん!」
「ンンンン??」
委員長JKは静かのオレのテーブルから顔を出して周囲を見渡すと、誰もこちらの会話など聞こえていなかったようなのでホッと安堵のため息をつく。
その後再びオレの方へと視線を戻すと、ゆっくりと顔を近づけてきた。
「あのね、キミも同じ高校のお姉ちゃんいるんだったら私らの学校ってバイト禁止なん知っとるでしょ?」
「え、そうなんですか」
「そうやよ。 もしこれが学校にバレたら本気で親とか呼び出し案件やけん……お願いやからこのことは君のお姉ちゃんにも黙っといてくれん?」
「え、あ、はい、わかりました」
なるほどな、だからこいつは焦ってたのか。
オレが1人で納得していると委員長JKが「ちなみにキミのお姉ちゃんは何年生なん?」と尋ねてくる。
「二年です」
「そしたら一緒やね。 じゃあ特に黙っといてもらえるかな」
この委員長JKの話し方からして、おそらく通っている高校は公立ながらもかなり校則が厳しいのだろう。 内緒でバイトをしていることがかなり危険な行為だということが見てとれる。
学校にバレたら親呼び出し……ということは親にも内緒にしている可能性も高そうだな。
これを利用しない手はない。
さぁ……交渉の時間だ。
委員長JKが再び「えーと……黙っててくれるやんね?」と念を押してきたところでオレはニヤリと口角を上げた。
「さぁ、どうしましょうかねぇ」
「え」
委員長JKの動きがピタッと止まる。
「ん、んんん? 黙ってて……くれない……ん?」
「それはお姉さんがオレのお願いを聞いてくれるかどうかによりますねぇ」
そう答えるとどうだろう。
委員長JKの顔がみるみる赤くなっていき、それと同時に後ろの席からガタッと大きな音が……振り返ってみると1人で勉強をしていたらしきJKまでもが顔を赤らめながらこちらを覗き込んできているではないか。
そういやさっきまではノートに顔を向けてたからちゃんと確認出来てなかったけど、こいつあれだ……さっきまで委員長JKの隣にいた前髪の長いインキャJKじゃねえか。
気づいたオレが「あ、さっきこのお姉さんの隣にいた人ですよね」と軽く会釈をするとインキャJKは素早く顔を引っ込めオレとの会話を回避。 仕方なくオレは委員長JKと話をするため視線を戻した。
「わ、私がキミのお願いを聞くかどうか……?」
委員長JKが声を震わせながら聞き返してくる。
「はい」
「そ、それって……エッチなお願いやんね?」
ーー……え?
◆◇◆◇
あれからすぐに他の客席からオーダーの声が入り委員長JKはあたふたしながらその客席の方へ。
席を立った際に「詳しくは後で聞くけん、連絡先は後ろのサッちゃんに渡しといて」とのことでオレは自分の電話番号とメールアドレスを後ろの席のサッちゃん……インキャJKに教えて家に帰ることにしたのだった。
家に帰ってる途中、オレはあのインキャJKとメールをしていたのだが……なんかサクサクと話が進んだぞ。
【受信・早乙女ひかり】私が早乙女ひかりで、バイトをしてたメガネの子が七瀬珠子だよ。
なるほどな、サッちゃんことインキャJKが早乙女ひかりで、委員長JKが七瀬珠子か。
オレが脳の中で2人の見た目と名前を当てはめていると、続けて『タマちんのバイトのこと、お願いだから言わんでね』といったメールがインキャJK早乙女から送られてくる。
ーー……ていうかタマちんって。 なんかもう色々とオレの変態脳が反応しちまうじゃねえか。
【送信・早乙女ひかり】まぁそこは早乙女さんも聞いたと思いますけど、お返事次第になりますね。
【受信・早乙女ひかり】そっか。 じゃあウチは聞く。 それでいい?
「ーー……え、マジで」
【送信・早乙女ひかり】それ本当ですか?
【受信・早乙女ひかり】うん。 でもウチらその辺知識はあるけど未経験だから過度な期待はせんでね。
【送信・早乙女ひかり】か、過度な期待とは。
【受信・早乙女ひかり】え? エッチなことやよね?
なんで2人ともそうなるんだよこの変態がああああああああああああ!!!!!!!!!
委員長JKから電話がかかってきたのはオレがそろそろ寝ようかなと考えていた夜。
オレが優香の弟だということを伝え、優香の学校での立ち位置を教えて欲しいと聞いてみたところ、『ええええ!?!? キミ、福田さんの弟だったんーーー!?!?』とかなりの大声がスピーカーから流れてくる。
「えええ、どうしたんですか。 そんなに驚くことですか」
『そりゃあそうやよ!! でもなんで福田さん……お姉さんのこと気になるん?』
オレはそこから優香が嫌がらせを受けているのではないかという旨を委員長JK七瀬に伝えることに。
すると……やはりだな。
委員長JK七瀬は少し言いづらそうにしながらも『まぁ……そうやね。 私やサッちゃんは仲良くしたいんやけど……』と言葉を濁した。
「何かそうなるに至ったきっかけとかあったんですか?」
『うん。 ただこれは直接話した方がスムーズやと思うけん、明日の放課後とか空いてる?』
「え、まぁはい」
『ならさ、サッちゃんも呼ぶからウチに来てよ。 そこで話したげる』
なんか結構な闇がありそうな予感はするが……え、オレ見知らぬJKのお部屋行けちゃうの!?!?
お読みいただきましてありがとうございます!!
挿絵ダッシュで仕上げてたので少し遅れました……!!
近々ちゃんと描いたVERの2人をどこかで挿れます!!




