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597 【優香編】とんでもない事実!?


 五百九十七話  【優香編】とんでもない事実!?



 それは2月中旬のある日の朝。

 オレはとんでもない事実を知ることになる。



 いつものように学校へ行く準備を済ませたオレが居間で時間を潰していると、優香が「じゃあお姉ちゃん、今日は日直だから先に行くね」と扉越しから軽く手を振ってくる。

 もちろんオレはそれに対して「あ、うん。 いってらっしゃい」と返事をしながら視線を向けたのだが……



 ーー……ん、あれ?



 去年のクリスマスイブ……オレは優香に新しく赤い腕時計をプレゼントしたのだが、今朝に限って優香はそれを着けていない。

 いつもなら右手首に着けてくれているはずなのに。

 

 オレが優香の右手首へと視線を固定しているとそれに気づいた優香が「うん? どうしたのダイキ。 お姉ちゃん、寝癖でもついてる?」と尋ねてくる。



「いや、今日は腕時計つけていかないのかなーって」


「あー、そうだね。 今日から着けていくのやめておこうかなって思ってさ」


「え、なんで?」


「最近お姉ちゃんのこと敵視してくる子がいてね。 何されるか分からないから念のためって感じかなー」



 え。



 いきなりの衝撃的発言に固まってしまうオレ。

 その後優香が「あ、でも別に暴力振るわれたりとか……そんなことはされてないから安心してね」と謎のフォローを入れてきてはいたのだが、オレの耳にはほとんど入ってこず。

 


 優香を敵視してる不届き者がいる……だと? 



 許せん!!!!!



 もしかしたら優香が勉強に集中できないのにはそこも影響しているのかもしれない。

 オレはすぐに行動を開始……その日の授業が終わるとすぐに学校を飛び出し、優香の通っている高校の近くに身を潜め偵察することにした。



 ◆◇◆◇



 ぶっちゃけ大人数の生徒がいる中で優香1人を見つけられるのか不安だったのだが、そんな不安は一瞬で空の彼方へ。

 やはり優香が一番可愛い……有象無象の中に光る一等星。 周囲の雑草モブたちの中で一際眩しく光る優香が1人で校門から出てくるのを発見する。



 ーー……1人で下校か。



「優香のやつ、見た感じあまり気にしてるようには見えないけど……友達とかはどうなんだ?」



 どうやらそのまま最近通い出した塾へと向かうようでオレは一定の距離を保ちながら優香のあとをつけていくことに。

 するとちょうどオレの近くをJK2人組が歩いていたのだが、気になる会話が聞こえてきた。



「でもさ、あの福田さんも可哀想やねー」


「ほんとに。 あの1件がなかったらって思う」


「私、友達になって都会のこととか色々聞きたかったんやけどなー。 あと春休みにあるお祭りとか一緒に行きたかったわー」


「それは……ウチも。 でも仕方ない。 そんなことしたらウチらもどうなるか分からんけん」


「やんねー」



 ーー……ふむ。



 優香の話をしていたJK2人組……一人は暗い茶色の長髪に黒縁眼鏡をかけたいかにも真面目そうな委員長タイプの高身長JKと、前髪が長すぎて顔があまり確認できなかった寝癖だらけの低身長インキャJK。 見た所優香ほど可愛くはないのだが、先ほどの会話を聞く限り同級生……もしかしたら同じクラスなのだろうか。


 オレは追尾対象を優香からこのJK2人組に変更した。



 ◆◇◆◇



 あとをつけていると2人は小さな喫茶店へ。

 しかし……やはりそこまで上手くいくはずもないよな。 オレも時間を空けて入ったのだが、背もたれが高いタイプの席だったためどこにあの2人組が座っているのか見つけられず。

 しかも自分で席を選ぶタイプではなく店員さんに案内されるタイプだったことから、オレは隅っこの4人席へと通されてしまう。



「ちくしょう、端っこだから普通なら見渡せるのにどこにあいつらがいるか分からねえじゃねえか。 しかも案内されてる途中集中して周り見てみたけど、2人組のJKはいなかったしよお……!」



 もはやここに案内されるまでの道中、覚えているのはオレの後ろの席でノートを広げて1人集中して勉強していたJKのみ。

 このまま長居しても時間の無駄だと感じたオレは適当に飲み物だけ頼んですぐに店から立ち去ろうと考えていたのだが……



「ご注文はお決まりでしょうかー?」



 なるほど、ここはボタン呼び出し式ではないタイプの喫茶店なのか。

 唐突な店員さんに登場によりオレは「え、あーっと……こコ、コーラを1つお願いします」と焦りながら顔を店員さんの方へ向けた。



 ーー……あ、いた。



 なんという偶然。 オレの目の前にいたのはバイト服に身を包んだ茶髪ロング・黒縁メガネの委員長JK。

 ここには雑談目的じゃなくてバイトするためだったのか。 オレがなるほどなと納得しながら委員長JKを見ていると、オレの視線に気づいた委員長JKが「ん? 他にご注文ありますかー?」と尋ねてくる。



 うん、ここしかチャンスはなさそうだ。



 オレは早速小声で「あの、お仕事中に申し訳ないんですけど……」と委員長JKに話を振った。



「なんですか?」



「オレ……お姉さんと同じ高校で多分同じ学年の姉を持つ弟なんですけど、ちょっと聞きたいことあるんです。 一瞬いいですか? 時間的にあれでしたら連絡先教えるんで、バイト終わってからでも連絡欲しいんですが」



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