590 【夏までNOルート限定】特別編・希の夏休み④・以心伝心
五百九十話 【夏までNOルート限定】特別編・希の夏休み④・以心伝心
ダイキと佳奈を誘ったこの一泊二日のキャンプイベントの夜。 罰ゲームを賭けたミニゲーム第2ラウンドは神経衰弱で、既に今は4試合目に突入しているのだが何故だろう……先の3試合全てをダイキが圧倒的な差を付けて勝利しているのだ。
「ククク……あははははああああーー!!! またオレの勝ちじゃああああ!!!!」
4試合目の勝敗がつき、1位はダイキで3位は佳奈。 ダイキが「シャッハアアアアア!!!」と体を反らしながら発狂すると、ニヤニヤとした表情で佳奈に近寄っていく。
「な、なにさ」
「これで三好は負け3回目だなァー。 さて次はどこを脱ぐぅー?」
そう、今やっている罰ゲームは1回負けるごとに何か1つ身につけている物を脱ぐという『脱衣神経衰弱』。 希も1回は負けたものの他2回は佳奈が負け続けており、佳奈は念のためにと履いておいた右靴下・左靴下を失っているのだ。
「ほーら三好ちゃーん。 もうその薄いワンピースを脱ぐしかないんじゃないのかなあー?」
ダイキが両手をいやらしくワシワシしながら佳奈の胸部を見つめる。
「そ、そんなジッと見ないでよ変態!!」
「変態結構!! しかし罰ゲームは罰ゲーム……早く脱ぐがいい!! そしてその内側に隠されたブラやパンツをオレに見せんるんダアアアア!!」
佳奈はダイキの煽りを受け「うぅ……っ」と顔を真っ赤にさせながらも指先で胸元のボタンをゆっくりと外していく。
……もしかして佳奈、気づいてないのかな。
流石に可哀想だと思った希は佳奈に助け舟を出してあげることにした。
「ねぇ佳奈」
「な、なに希。 ちょっと待ってね、私マジで今自分の羞恥心と戦ってるから」
「ううん、服じゃなくて、それよりも先にその髪ゴム外したら? それだって身につけてる物なんだからカウントされるでしょ?」
「え」
佳奈はボタンから手を離すと、可愛らしいポニーテールを揺らしながらそれを留めている太陽のキャラクターのついた髪ゴムに触れた。
「あ、ほんとだ。 確かにそうじゃん! ナイス希!」
「んなっ! こら西園寺!! なに助言してんだよ!!」
「へへー、残念でしたぁー!! はい、これで成立ー!!」
悔しがるダイキをよそに佳奈はと髪ゴムを外して下着姿を回避。 「やっと私も頭温まってきたかんねー! ここから巻き返してやるんだから!!」と5試合目の開始をダイキと希……2人に急かしたのだった。
そしてその結果……
「ーー……え、どういうこと?」
思いもしなかった展開に希は思わず本音を漏らす。
それもそのはず。 何故なら今の希は……
「さぁ西園寺、こうなることはお前も予想外だっただろう……そしてお前まで念を入れて靴下を履いていたのに残念だったな。 しかしもう左右の靴下はおろか髪留めも腕に通していた髪ゴムもない。 残された選択肢はそのTシャツを脱ぐか短パンを脱ぐかの2択……どちらを選ぶ?」
ダイキが息を荒げながら希の胸部と下半身を交互に見比べる。
「ーー……っ!!」
まさかの結果だ。
少し前に佳奈が言っていた言葉……『やっと私も頭回ってきたかんねー!』が本当だったなんて。
そこからの佳奈の勢いは目を見張るほどに凄まじく、ターン経過を重ねるごとに実力を発揮。 ダイキにも数回勝つほどの暗記力……いわゆるゾーンに到達していたのだ。
「西園寺選ぶんだ!! 上か……下か!!!」
「し、下……」
「FOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!」
希はその場で膝立ちすると履いていた短パンに手を掛ける。
そしてそれをゆっくりと下へ……履いていた灰色の布地に黒の星マークが散りばめられた柄のパンツがダイキや佳奈の視界に入った。
「の、希……マジで脱ぐの!? 別に棄権しても……」
「っしゃあああああああ!!!! ナイスアングル!! ナイスパンツ!! ナイス脚の付け根YEAHHHHH!!!!!!」
◆◇◆◇
短パンを脱いだ希は女の子座りで「じゃ、じゃあ次やろっか」とトランプを混ぜ用意を始める。
ーー……福田くんが見てる。 見られてる。
ダイキが座っている位置はちょうど希の対面。
トランプを裏向けで配置しながらダイキの方をチラッと確認してみると、ダイキの視線は迷うことなく希の脚の間……パンツへと注がれている。 もちろんそれはゲームが開始してからも変わらずで、希が少し体勢を変えたりするたびにダイキは小声で「お……おぉ」やら「フヘヘ……」と正直に反応。
そんな反応を耳にするたびに希は心の奥底から感じるあの懐かしい快感を思い出していった。
「うわああ!! これと……希の目の前のやつがペアだったかー」
佳奈がペアを間違えトランプを裏面に戻すと「はい、次希の番だよー」と希にターンを振ってくる。
なるほど、先ほど佳奈がめくった中心のカードと私の目の前のカードをめくればペア……そして次は元々狙っていたペアをとってその次がアレとアレで……
希は脳内でその後のペアのシミュレーションを計算。
これならこのターンで大量のペアを狙えて2位以上は確定……そう確信したのだが……
で、でもあれだよね。
ここで逃したら私はまた最下位。 次は上を脱いでブラ姿を見せることになる……もしくは上ではなくこのままパンツを脱ぐという選択肢もあるわけだ。
パンツは見られたことはたくさんあるがその先をじっくり観察されたことなど今までない。
もしそうなったら、どれだけ気持ちいいのだろう。
「ーー……ふへっ」
妄想の中で快感に溺れていると隣の佳奈が「ちょ、ちょっと希、大丈夫?」と肩を叩いてくる。
「ひゃいん!?」
「ひゃ、ひゃいん!? どうしたの希……息めっちゃ荒いよ!?」
「え、あっ……ごめんねなんでもないの」
言われてみてようやく気付く。
確かに息が荒い……私、興奮してるんだ。
それにパンツの中も汗をかいてしまったみたいで若干灰色の布地に黒くシミが出来ている。
これは……もう早く決めるしかない。
希はすぐに負けルートを選択。
「っしゃあああ西園寺ハズレーー!!! ここでオレが全部取るからお前は3位確定ええええええ!!!!」
「あー、やっぱ希、その状況じゃ集中出来ないよね。 これ以上はヤバイしそろそろお開きかなー」
ダイキと佳奈は各々自分のとったペアの数を数えあって盛り上がっているが、それよりも早くもっとみてもらいたい……その一心でダイキの催促よりも先に希は自らのパンツに手をかけた。
「じゃあ……今度はパンツ脱ぐねっ」
「ちょ、ちょっと待ちなって希ーーー!!!」
「うおおおおお!!! マジかあああああ!!!」
しかしここで問題が起こる。
ゆっくりとパンツを下げていき後少しで神秘のベールに隠された聖域が顔を出そうとした手前、突然ダイキの様子がおかしく……静かになったのだ。
「ふ、福田くん?」
「福田?」
佳奈とともにダイキに視線を向けてみると、ダイキは股のあたりを押さえながら前のめりになり俯いている。
「ど、どうしたの?」
「大丈夫ー?」
「ーー……」
一体どうしたというのだろう。
佳奈と顔を合わせ首を傾げていると、どこからか生臭い香りが漂ってくる。
「ん? なにこの臭い。 くさぁー」
「確かに……なんの臭いだろ」
外に生ゴミでも置かれてるのかと考えた2人は窓の外を覗き込んでみるも何も置かれておらず。
そして何故か「じゃあこの臭いなんだろ」「さぁ……」と話している間にダイキの姿が消え、メールで『お腹痛いからトイレ籠る』と連絡が来たのだった。
◆◇◆◇
「福田くん遅いね。 大丈夫かな」
ダイキの帰りが遅いことに希が心配していると、佳奈が突然「あああああ!!!」と叫ぶ。
「ど、どうしたの佳奈」
「私、さっきの香りどこかで嗅いだことあったんだけど、やっとなんの臭いだったのか分かった!!!」
「え、そうなの? ちなみにそれってどこで?」
「お兄の部屋!! 借りたままだった漫画を返しに行った時、お兄のベッドの上にエッチな本と丸められたティッシュが置いてあったの!!」
「えええ!?」
「それで私も『お兄もエッチだなー』なんて思いながらティッシュ捨てといてあげたんだけど、その時になんか手にベチャってついて……その時の臭いに似てるかも!!」
エッチな本に丸められたティッシュ……それってもしかして。
「それってあれだよね? 保健の授業でも習ったマスターベー……」
「だからあのさっき嗅いだやつも多分精s……」
2人の声が重なる。
しかしそれがおそらく似たような内容だと察した2人は急に無言に。 顔を真っ赤に染め上げしばらくの間静寂が支配していたのだった。
「ーー……こんな臭いなんだね」
「ーー……うん」
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