585 【水島編】心にタッチ
五百八十五話 【水島編】心にタッチ
あぁ……楽しみにしていた【幼女開発魔法】が。
オレのテンションはご飯の時間になっても一向に上がらず。
次また工藤にインストールしてもらえば済む話なのだが今度はいつ予定が合うのだろうな。 そんなことを考えながら食後ソファーで呆けていると、水島が「あのねご主人さま……」とオレの隣に腰掛けてきた。
「ん、なんだ?」
「本当にごめんね。 花ちゃん勘違いしちゃって」
「あーそのことな。 それならもういいって言ったろ」
「でも……」
そう、実はあの後水島はすぐにオレの『ゲーム消しといて』の意味を【アンインストール】ではなく【終了させる】であったことを理解。 慌てふためきながらオレに謝ってきていたのだ。
ーー……まぁでもオレも伝え方も悪かったからな。
そういうこともありオレはその時に水島に『いや、お前は悪くない。 原因は伝え方をミスったオレだ』と伝えたのだが水島は納得していないのだろうな。 だから今もこうしてオレを気にしながら謝りに来ているわけだ。
「あのな水島、ご飯前にも言ったけど本当にお前は悪くないんだ。 だからそう自分を責めるな」
オレが改めてそう諭すも水島は全力で首を左右に振る。
「ううん! 花ちゃんが悪いの!! ご主人さまに少しでもいいところ見せようって張り切っちゃって……でもその結果こんなになってしまって本当にごめんなさい!!」
ったく本当に頑固だよなこいつは。
もういいって言ってんだから素直に受け入れろっつんだよな。 さすがにオレもその態度にイライラしてきそうだぜ。
「水島、これが最後だ……もう謝るな。 謝ったところで消したゲームは戻ってこない。 そしてオレも全然怒っていない。 だけどこれ以上お前がクドクド謝るようならオレにも考えがあるぞ」
オレはこめかみにイライラマークを数個浮かばせながら水島を見据えると、水島が首を傾げながらオレを見つめてくる。
「どうした。 これで謝る気もなくなっただろ?」
「ううん、その考えってどんなのなのかなーって」
ーー……マジか。
「え、聞きてーの?」
「うん」
ち、ちくしょう。 普通ならそこで終わるはずじゃねえのかよ。
何でいちいち聞こうとしてくるんだお前は。
ぶっちゃけ今のは口から出まかせに言ってみただけだったのだが聞かれた以上はオレもそれなりのペナルティを考えなくてはならない。 しばらくの沈黙の間オレはどうしようかと考えていたのだが、ここでオレの変態脳が覚醒……素晴らしい案が思い浮かんだ。
ーー……うん、そうだな。 確かにそれなら中々のペナルティ……誰も進んでそれをやろうとはしないだろう。
オレは自信を持って口を開く。
「水島……お前はあのゲームのアップデートソフトで何が出来るようになるのか知ってるか?」
「え? う、うん……ちょっとなら分かるよ。 お兄ちゃんとやってたし。 現実妹モードだよね」
そう、現実妹モード。 それは育成した幼女を現実の妹という設定で日常生活を共に過ごし、いろんなシチュエーションでエッチッチなことが出来るモードなのだ。
だからこそオレはこう告げる。
「よくわかったな。 それでオレの考えたペナルティだが……水島」
「はい」
「もしこれ以上オレに謝ったりした場合は……」
水島がゴクリと息を飲みながら真剣な表情でオレの声に耳を傾ける。
さぁ……心して聞くがよい!!!
「現実妹モードのように全身全霊を持って、【奴隷】ではなく……【妹嫁】としてオレにご奉仕することじゃあああああ!!!! お風呂でオレの体を洗ったりオレの体を拭いたり……オレが寝るまで膝枕をしたりスッキリさせたりとかなああああああ!!!!」
「ええええええええええええ!?!?!? そんなことでいいのー!?!? 花ちゃん、全然やるーー!!!」
「エエエエエエエエエエエ!?!?!?」
◆◇◆◇
えー、今ですね、水島母と優香は優香のお部屋で絶賛お話で大盛り上がりしておりまして、オレはこれからお風呂に入ろうとしているわけなのですが……
「ほーら、あなた、今度はズボン脱がすわよー」
水島はまさかのオレの冗談で言った妹嫁の刑を自ら志願。
呼び名を【ご主人さま】から【あなた】へと変更し、早速ここ脱衣所でオレをお風呂に入れるためにの準備をしているわけだ。
「あ、あのー……水島? さすがに母親もいるんだしバレたらヤバくね?」
「だいじょーぶだよー。 それよりに今花ちゃんは【妹嫁】なんだよ? だから花ちゃんのことは【水島】じゃなくて【花江】って呼んでほしいな」
「お、おう……。 じゃ、じゃあ花……は、は、花江……」
「はーい、あなたー♪」
グッハアアアアアア!!! なんじゃこりゃあああ!!!!
オレが水島を辱しめるはずが何故かオレが恥ずかしがっている謎の現象……クッソ恥ずかしいんですけどおおおおおおお!!!!
オレは心臓をバクバク言わせながらも水島の行為……服脱がしに身を任せることにしていたのだが、ズボンに手をかけ下ろそうとしていた水島が「あれー?」とわざとらしい声をあげた。
「な、なんだどうした」
「何かが引っかかってズボン下に下がらないんだー。 なんでだろー」
水島が不思議そうにオレのズボンにゴム紐等が付いていないのかを確認し始める。
「いや……その原因は決まってるだろ」
「あ、やっぱりそこ?」
「しかねえだろ。 目の前に素っ裸の女の子がいて、なおかつ服を脱がされてたらそりゃあこうなる」
「あはは、恥ずかしいけど花ちゃんでこんなにしてくれるの嬉しいなー。 じゃあちょっと待ってね、引っかかってるところ手で押さえながらズボン下ろすから」
「え」
引っかかってるところを……手で押さえる……だって……?
呼吸を止めて0.5秒。 水島が一瞬真剣な目をしたから。
そこから何も言えなくなるの目線は下半身。
「み、水島……お前まさか今の本気で……!」
「ちょっと失礼するよー」
水島の手がどこをとは言わないがとある布と地肌との境にある隙間を掻い潜りながら入ってきて……そして……
Touch☆
「う、うわあああああああああああああ!!!!!!」
水島も今までちゃんと触ったことはないのだろう。 どこをどう押さえていいのか分からないようで色んな箇所を抑えたり掴んだりしながらタッチしていく。
「ここかな……」
「うおお!!!」
「あー、でもそれだとここ痛いかな? じゃあこっちがいいかな」
「ヒギイイイイ!!!」
水島の指先や手のひら……気持ち……EEEEEEEEEEEEE!!!!
もちろんオレの理性が保たれるわけもなく、お風呂前でよかったぜ……オレは水島が触った数だけクシャミを放つはめに。
その後はガチでお風呂に入れてもらい、体を洗ったり拭いたりしてもらったのだが……
「あははー、まだ元気なんだねー。 痛くならないのー? 花ちゃんにはないから不思議ー」
「ーー……」
オレ……どうしちまったんだ?
オレの目の前には無邪気に笑う水島。 もちろんそれは今まで何度も見たことのある水島の表情なのだが何故だろう……ドキドキするぜ。
このドキドキはエロい展開の時になるものとはまったくの別物……この感覚、かなり前に味わったことのあるような……
え、なんだっけこれ。
お読みいただきましてありがとうございます!!
ま、間に合った……笑
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