581 【水島編】とりあえず解決?
五百八十一話 【水島編】とりあえず解決?
オレが水島母を説得した方法、それは……
『ーー……というわけなんですけど、どう思います? それでいいですか?』
オレは少し前に水島に話したことと同じ話を水島母に提案。
水島兄がここで話した条件を全て飲みつつ今まで集めていたグッズを手放しそのお金を全て渡すことで、今までの水島兄の罪は全て忘れてあげることにする……ということを聞いてみたのだが。
「うーーん、でもそれだとあの子……花江ちゃんの心の傷は治るかな」
水島母が難しそうな顔をしながら首をかしげる。
「というと?」
「だってあれだけ酷いこと言われて、どうしようもなくなって福田くんのお家に避難してたんだよ? それで花江が納得した?」
「はい。 後はお母さん次第って言ってましたよ」
「そ、そうなの……?」
水島母もやはり兄側に有利な条件だと考えているようで言葉を詰まらせる。
まぁさっきの水島の反応を見ててなんとなくそうなるんだろうなーとは思ってたからな。 だからオレはこのチート技を使わせてもらうぜ。
「お母さんの言いたいことも分かりますよ。 それだとお兄さんにあまりダメージがないって仰りたいんですよね」
「まぁ……そうね。 だって今まで私や花江ちゃんが我慢して、あの子だけが長い間好き勝手してたんだから。 だから私や花江ちゃんが素直にあの子……兄を0から受け入れられるかと聞かれたら難しいかな」
「だったらこれならどうですか? さっきの条件を了承してもらえるのならお母さん、娘さんと一緒に一度ウチにお泊りしにきません? 前来られた時に結構お姉ちゃんと盛り上がられてたようですし……それならほぼ制限なくお話できますよ?」
「ヘヴェ!!?!?」
あまりにも衝撃的だったのだろう。
水島母は謎の叫び声を出しながらその場で立ち上がりオレに顔を近づけてくる。
「そ、そそそそれは本当なの福田くん!!!!」
「はい本当です」
「ででで、でもお姉さんに迷惑じゃないかしら!!! ひm……お姉さんだって忙しいでしょうし!!!」
「どうでしょうね。 お姉ちゃんもなんだかんだで嬉しいんじゃないですか? 誰かと料理してる時のお姉ちゃんって本当に楽しそうですし」
やはり自分側にもメリットを感じられるようになると人は考えを改めるものだ。 現にオレの出した新たな提案により水島母は一気に超ご機嫌に。
再度オレが「それでどうでしょう」と尋ねると、「も、もちろん!! そういうことならそれでいいよ……むしろ是非お願い!!!」と固い握手を交わしてきたのだった。
◆◇◆◇
「まぁ詳しくは省くけどそういうことだから、お母さんもあの条件でOKだってさ。 だからお兄さんはそのグッズを売ることにはなるけど、その後ちゃんとあの約束通りに生活すれば今までの行いは帳消し……水島もいいな?」
このオレの言葉に水島兄は大歓喜し水島も未だに若干不服そうではあるが了承。
とりあえず大方の話は決まったことでオレは早々に家へ帰ることに。 しかし水島兄の部屋から出る際、オレは一言だけ水島兄に伝えておくことにする。
「あ、最後にお兄さん、ちょっといいですか」
「なに?」
「そのグッズ……いつ売りに行きます?」
「グッズ? そうだね、もう年末で買取してるところも少なそうだから年明けかな」
「なるほどです分かりました。 ではまた」
「え? うん、また……」
その後オレは駆け足で帰り真っ暗な中帰宅。
家に着くと優香に水島家での出来事を話し、なんとか丸く収まりそうだということを伝えた。
「へー、そうなんだ。 すごいねダイキ」
「まぁ……うん。 でも咄嗟に思いついたこととはいえ向こうの母親と水島をまた泊めることになってごめん」
「ううん、全然いいよ。 お姉ちゃんも長年の主婦に料理のコツとか教えて欲しいし、花江ちゃんも大好きだしね」
あぁ……やっぱり一番の天使はあなただよ優香。
「ありがとうお姉ちゃん」
「うん。 じゃあもうあとはご飯温めるだけだから、すぐ準備してくるね」
と、とりあえず今日は疲れた。
オレはそれから優香とともに晩御飯を食べると、あまりにも強烈な睡魔が襲ってきていたためすぐに部屋へ。
ベッドに入る前にとある筋に連絡をしようとスマートフォンを手に取ったのだが……
「ーー……ん、メール通知?」
そういえば水島家から帰る時から一切スマートフォンを触ってなかったぜ。
そのメールはどうやら水島からのようで、オレは何事かと思いながら通知をタップ……受信したメールに目を通した。
【受信・水島】ご主人さま、今日は遅くまでごめんね。 ママもお兄ちゃんも納得したみたいで久しぶりに2人が仲良くお話してるところみたよ。 でもやっぱり花ちゃんはまだちょっと納得いかないから……なんとかお兄ちゃんを許せるようになるまで頑張るね。
んーー、やはりそこは思春期特有の何かなのだろうか。
まぁでも確かに水島兄と母にはメリットがあったけど水島本人には何もないんだもんな。 水島にも何か嬉しいことしてあげたいんだが……
とりあえずオレは水島に『まぁあれだ、最初は受け入れられないかもしれないけど、その分オレが水島に幸せな思いを味あわせてあげるから慣れるまではすまんが耐えてくれ』と返信。
その後本来メールを送る予定だった相手に連絡を入れると、緊張の糸が切れたのかそのまま気絶したのだった。
◆◇◆◇
なんかあれだよな、かなり疲れてる時ってめちゃくちゃ眠れるか眠りがかなり浅くなるかのどっちかだよな。
今回は後者の方だったオレが目を覚ますとまだ外は真っ暗。 一体何時なのだろうとスマートフォンに手を伸ばすと、メールの受信通知が2件届いていることに気づく。
1件は先ほどのとある筋の者からで、もう1件は水島からのようだ。
とある筋は……まぁ後々説明するとして、水島のメールを見るか。
【受信・水島】え、ご主人さま、花ちゃんに何かしてくれるの!? やったぁー! 幸せな思いを味わえるってどんなのかなー! じゃあ花ちゃん、頑張る!!
うむうむ、元気になってくれたようで本当に良かったぜ。
オレはそれからもう1件のメールに目を通すと再び眠りにつくかと横になってみる。
やっぱりあれだな、ぶっちゃけさっき起きたことで眠気は結構なくなってた感じはしたのだが、安心すると眠気って復活するのな。
その後オレはすぐに2度寝で夢の世界へ……そういや昨日はハッスルタイムをしていなかったからなのかな。 めちゃくちゃエロい夢を見てしまったぜ。
え、どんな夢かって?
それはだな、あの時……優香やギャルJK星、水島と4人でお風呂に入ったときのことが印象深かったんだろうな。 あのメンバーでまたお風呂に入ってる夢を見たんだ。
その4人で湯船に浸かってたんだが、温泉の素を入れていることにより湯船は白濁色。
それをいいことに、もうどこを・何をとは言わないが触りまくったり触られたり……押し付けたり押し付けてきたりともうこの世の幸せが全て詰まった空間になっていたぜ。
もちろんそんな夢を見たもんだから朝起きたらベッドが大変になっていたことは言うまでもない。
これは初めての体験……まさか寝てる間にハックショーン……クシャミをしてしまうなんて。 授業では習ってたけど本当にこういうことってあるんだな。
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