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580 【水島編】兄と妹


 五百八十話 【水島編】兄と妹



 オレが前世でかなりハマっていた育成型R18ゲーム【幼女開発魔法】の激レアアップデートソフトの入ったパッケージをボコボコにし、さらに中に入っていたディスクすらも破壊した水島にオレは激しく憤怒。

 実際アニメやそういうものに関心がない者からしたら仕方のないことではあるのだが、流石に許せん!!!!


 しかも……オレも手にできなかったあの数量500個限定のアップデート版だぞ!!!

 全国のエロゲーマーたちが喉から手が出るほどに欲しがっていた貴重な1つが消滅……なんという悲劇なんだ!!!



 オレは何も知らない水島が部屋に入ってくるなり肩に腕を回して「おい水島よ、なんだコレは」とボロボロになった箱を指差した。



「え、これ? 花ちゃんが潰したんだよ? だってお兄ちゃんにムカついたんだもん。 今日のカラオケでも福田くんのお姉さんは『気にしてないから大丈夫だよ』って言ってくれたけど花ちゃんまだ気にしてるし」



 水島がフンと鼻から息を吐きながら水島兄を睨みつける。



「いやまぁムカつく気持ちも分かるしオレのお姉ちゃんの件で怒ってくれてるのも嬉しいんだけどな。 それでも壊す必要はないだろう」


「そう? でもお兄ちゃんだって花ちゃんの大事なもの壊したんだから同じ目にあって当然じゃない?」


「ーー……大事なもの?」


「うんそうだよ。 さっきも言ったけど福田くんのお姉さんの心やパパママの心、花ちゃんの心、そして花ちゃん家の空気。 お兄ちゃんは全部壊したんだもん。 本当ならその箱に入ってるもの全部壊したいくらいだよ」


「んーー、なるほど」



 なんも言えねえええええええ!!!!!



 当初の予定では水島に『お前貴重なゲームに何酷いことしてんだこら』と首根っこ掴みながら水島兄に謝らせようとしていたのだが、水島の理由を聞くと確かにそれなら仕方ないなと思ってしまっている自分がいる。



 だったら……まぁ、後はこうするしかねぇよなぁ。



「はい、んじゃあこれでおしまいにしよう」



 オレは両手をパンと鳴らしながら水島と水島兄を交互に見た。



「え」

「え?」



「水島はお兄さんのグッズを壊したし、お兄さんは水島の大切にしてたものを壊した。 これでおあいこ、何もなしでいいんじゃないか?」



 オレの発言が理解できないのか水島が口をポカンと開けながらオレを見つめてくる。



「え、なんで? だったらお兄ちゃんにダメージないんじゃないの? そうしたらまたお兄ちゃんクズになっちゃうよ?」



 おいおい、やっぱりすげえ言われようだな兄よ。

 そして一応まだオレの奴隷でもある水島がご主人様であるオレに口答え……よっぽど水島兄を懲らしめたいんだな。 その態度からガチさがひしひしと伝わってくるぜ。


 確かにこれでおあいこにして全て解決とすれば、水島の言うとおり兄にとってはノーダメージになるかもしれない。

 しかしだな……どこかで誰かが折れてあげない限り、話し合いってのはうまく進まないのが社会ってもんなんだよ。



「あのな水島、そこはあれだ……お兄さんにはリビングでも話した通り、大学にちゃんと行くとかの約束は守ってもらえばいい。 ただなんだかんだでこの人はお前の兄なんだ。 今ちょうどおあいこになったんだから、お互いにこれ以上相手を刺激しない……これでよくないか?」


「で、でも……」


「じゃあこうしよう。 とりあえず今回で全てリセットということで、そこにあるグッズは全て売却。 お兄さんが今後買うものはお手伝いの報酬で貰うお小遣いか自分でアルバイトをして稼いだお金限定で、親や水島にせびった瞬間この家からバイバイ……これでどうだ?」



 このオレの提案に水島は「んー、それだったら家の空気も変にならなさそうだし、パパやママに迷惑がかからないんだったらいいんだけど……」と小さく頷く。

 


「そうか。 じゃあそれで決まりでいいか?」


「でもママがなんて言うか分からないよ?」



 え、ママ……水島母が?



 水島が母の待つ一階へと視線を落とす。



「お母さんが? なんで」


「だってママが一番お兄ちゃんのことで疲れてたし、今日のことでもとっても怒ってたもん。 そう簡単に許すとは思えないなー」



 なるほど、水島母は優香国の民だったんだもんな。 そう言うことなー。



「よしちょっと待ってろ、交渉してくる」


「「え」」



 オレは2人を部屋に残したまま今度は水島母のいるリビングへ。

 まぁオレには秘策があるからな。 これを使えば水島母もおそらくはーー……



 ◆◇◆◇



「待たせたな」



 数分後。 水島母との話し合いを終えたオレは再度水島兄の部屋へ。

 オレが部屋に入るやいなや2人はずっと気になっていたのかオレの方へ視線を向けてきた。



「それで福田くん、どうだったの? ママ、まだお兄ちゃんに怒ってたでしょ?」

「ど、どうだった? ダイキ……くん」



「ううん、『それでいいよー』って」



「「ええええええええええええええ!?!?!?!?!」」



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