566 【水島編】 痒いのならば仕方ない!
五百六十六話 【水島編】痒いのならば仕方ない!
みんなは覚えているだろうか。 オレが以前、結城や三好にエロ漫画を読ませていたことを。
今回はまさにあれ以来……普通こんな状況何回も来るはずがあるわけないんだけど、JS……女子小学生と2人きりという密室でエロ漫画を読む日が来るなんて。
「へぇー、ご主人さまは密室系とかが好きなんだね。 お兄ちゃんはどっちかっていうと幼い女の子に色々しちゃう系のが多かったから新鮮かもー」
水島が興味津々でエロ漫画をペラペラとめくっていく。
「い、色々しちゃう系?」
「うん。 例えば1人で学校帰ってる時に急に……とか、たまたま荷物を届けた先が1人でお留守番してて、そこで我慢できなくなって……とか」
「そ、そうなんだ」
「全部そうだったよー。 それで最後は全身ビチョビチョにされてるの」
あぁ……あれだな。 おそらくだけど激しい水遊びでもしてたんだろう。
そりゃあ水で遊んだら全身ビチョビチョにもなるわなぁ……ウン。
その後も水島は他のエロ漫画にも手を伸ばし「へぇー、こんなのもあるんだー」と結構ご満悦。
大きく頷いたり途中で頭にはてなマークを浮かなせながら読んでいたりしていたのだが、ふと水島に目線を向けた時……オレは見てしまったのだ。
頬を赤らめながらも内股で若干モゾモゾしている水島の姿を。
おそらくはあれだ……トイレだな。
思い返してみれば家に帰ってきてから優香も水島もトイレに行ってない。 もしかしたら行くタイミングがわからなくて我慢しているのだろう……そう感じたオレは自分の紳士な部分を前面に押し出すことに。
「水島、我慢してんのならオレのことなんか気にせずに行っちゃっていいんだぞー?」と声をかけてみたのだが……
「ーー……え、ご主人さまを気にせずに?」
水島が大きく目を見開きながらオレをまっすぐ見つめてくる。
あれ、もしかして言い方に問題があったか? 『我慢』って言葉が紳士じゃなかったかな?
オレは自分の言葉選びに配慮が足りなかったのだろうと悟り反省。 すぐに言い方を変えることにした。
「いやすまん水島。 言葉選びがダメだったなもう1度言い直す。 自分の本能のままいけ」
「え」
水島はオレを見つめたまましばらく無言に。
しかし何かを感じ取ったのだろう、水島は少し言葉を詰まらせながらもオレにこう尋ねてきたのだった。
「ご、ご主人さまは……どうなの?」
「え?」
「その……我慢できなくなったらすぐにいくの?」
「そりゃそうだろ」
「お姉さんが前にいても?」
「うん」
「本能のままに?」
「もちろん。 じゃないとスッキリできなくね?」
「ーー……確かに」
水島は小さく頷くと、手に持っていたエロ漫画を静かにパタンと閉じる。
やっとトイレに行く決心がついたのか……オレはどんだけ女の子って恥ずかしがり屋なんだよなどと考えていたのだがどうしてだろう、何故か水島はエロ漫画を床に置くと、そのまま立ち上がらずに右手を下半身の方へと持っていきそして……
「ちょっ、水島、待っ……! えええええええええええええええ!!?!?!?!?!?」
そこで見た光景をオレは一生忘れない。
まぁ健全に伝えると水島のやつ、股のあたりが痒くて我慢してたんだろうな……指先で軽く掻きだしたんだよ。
だからオレはこう言ってやったさ。
「か、かかかか……痒いならお風呂いって洗ってこーーーーーい!!!!!!!」
◆◇◆◇
水島がお風呂に向かってすぐ。
オレは今日の夕方に水島母を見つけたことを思い出しとりあえず優香にメールで知らせておくことに。
するとそこで驚きの事実が発覚することになる。
【送信・お姉ちゃん】ここだけの話ね、今日ちょっと本屋さん行ったんだけどさ、そこで水島のお母さん見つけたんだよね。 それで何してるのかなって近づいたら求人のフリーペーパー見ながら電話してた。 20代男性はどうでしょうかみたいな。
【受信・お姉ちゃん】そうなんだ。 教えてくれてありがと。 実はお姉ちゃんと花江ちゃんはゲーム屋さんでお兄さん見つけたんだよね。 仕事はしない、花江ちゃんのゲーム機譲らせろって言ってた。
「えええ、まじか」
なんというタイミング。 偶然にも水島母や水島兄の近くにオレと優香たちが鉢合わせたなんて。
【送信・お姉ちゃん】ちょ、それヤバいね。
【受信・お姉ちゃん】うん。 これはもしかしたらちょっと長くなりそうかもね。 でもさっきお姉ちゃん花江ちゃんのお母さんと連絡とってたんだけど、明日少し会うことになったから色々と話してくるよ。
色々と話す……? 一体どんなことを話すのだろう。
気にはなったもののその件関しては流石に深くは踏み込めず。 なのでオレは優香にこれだけは心に留めておいて欲しいということで、この文章を送ることにした。
【送信・お姉ちゃん】そうなんだ。 じゃあ明日は家に帰ってからは水島と2人で留守番してるけど……お姉ちゃん、怖くなるのはやめてね。 お姉ちゃんは可愛くて優しいオレの自慢のお姉ちゃんなんだから。
ダーク優香……確かにあれを発動すれば大抵のことは全て圧倒的な力により解決……上手くいくのだと思うのだが、何よりも対象に莫大なトラウマを与えてしまう可能性もある。
それは最終手段に留めておいて、オレも何か良い案を考えなければな。
そう決めたオレは静かにスマートフォンをベッドの上へ。
あの光景が忘れられない……オレは先ほどの水島の光景をはっきりと思い出しながら妄想に耽ったのだった。
ああああああ!!!! あのぎこちない指の動きとかもう……最高なんじゃあああああああ!!!!
ーー……痒いところ掻くってイイヨネ!!!!
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