563 【水島編】知らない間に!?
五百六十三話 【水島編】知らない間に!?
「あ、お姉さん! 魔獣そっち行ったよー!」
「ううん、その魔獣は怒ったときUターンするから多分ダイキの方に行くよ」
「そうなんだー! あ、ほんとだ!! ごしゅ……福田くん! そっち来てるよ!!」
優香の部屋で3人で魔獣ハンター。 オレはちゃんと真面目にプレイしようとしているのだが、どうしても視線が外れちゃうんだよなぁ。
もちろんオレの目線は水島の股から生えているオレの相棒・白鳥さん。
水島はゲームしながら体を動かせるクセがある子だからな……あいつが揺れるたびに白鳥さんも揺れるんだよ。 右に左にブランブランて。
あとは白鳥さんのおかげで服が捲れ上がり水島の脚が付け根まで見えてしまっていて……実にエロい。
「福田くんっ!」
「ダイキ!」
「え、あ……」
2人の声でやっと我に返り画面に視線を戻すも、魔獣の攻撃が先にオレに当たったことでオレのキャラは死亡。 オレだけクエスト開始地点にまで戻される。
うん、これはマズいな。 このままでは狩りに集中できないどころか下半身までムズムズしてやがるぜ。
ということでオレは2人に「そろそろ眠さが限界」と伝えて1人自室へ。
優香の部屋から聞こえてくる「きゃー!! お姉さん、すごーい!!」やら「花江ちゃん、今のファインプレーだったよ!」などの声を耳にしながら1人果てて先に眠りについた。
◆◇◆◇
翌日の放課後。
「水島ー、帰ろうぜ」
「あ、ご主さまー。 うん、でも途中までになるけどいいかなー」
「なんで?」
「花ちゃん、昼休みにお姉さんとメールしてたんだけど、一緒にお買い物することになったんだぁー」
水島が満面の笑みで優香とのやりとりをオレに見せながら話す。
向けられた画面に目を向けてみると確かに優香とのメール……内容は下着やら何やら足りないものを一緒に買いに行こうというものだったのだが……
「いや、お前お姉ちゃんとどんだけ仲良くなってんだよ」
会話の雰囲気もさることながら、ざっとみたところで10通くらい。 しかもお互いに会話を終わらせる気配がないといった具合だ。
「え、じゃあなんだ? お店とかで待ち合わせるわけ?」
「ううん、お姉さんまだ授業あるっぽいし、花ちゃんが直接お姉さんの学校まで行くんだよー」
「え、マジ?」
「うんマジ!」
ちなみにオレが「流石に学校まで行くのは迷惑なんじゃないか」と尋ねてみたのだが、どうやらそこも優香は許可をしたらしく向こうの教師にも話を通してあるとのこと。 しかも外で待つのは寒いし危険だからって、優香の授業が終わるまでは空き教室で待たせてもらう手筈まで整っているというではないか。
なんということ。 そこまで考えて話を進めておくとはさすがは優香……さしづめ優香国の民でもある校長に頼んでOKをもらったのだろう。
しかしオレが衝撃を受けたのはそこではない。
優香と一緒に高校から帰るってことは……JKたちの下校姿を見放題ってことじゃないか?
今ならちょうど寒くて風も強いことだし、運が良ければパンチラなんかも見れちゃったりしちゃったりなんかしてグヘヘへへ……!
そうと決まれば話は早い。
オレはすぐに水島へと擦り寄り「ひ、ひとりだと道に迷うのも心配だろう。 オレが連れてってやるよ!」と提案してみる。
なのに答えはまさかの「ううん、大丈夫ー。 ありがとー」。
ガーーーーーーーン!!!
「え、なんで?」
「だってパンツとか買うだけだしご主人さま面白くないよー? それに男の子に見られたくないのも買うしー」
「ん? 男の子に見られたくないもの……? それって一体……」
「そこまで花ちゃんも言えないよー。 ご主人さまのエッチー」
「ええええええ!?!?!?」
この時のオレはJKの下校姿に魅力を感じていたためか本当に何も思い浮かばず。
そしてこれは水島が優香の高校へと向かってから気づいたんだが……おそらくあれだ、水島は女の子の日的な用品を買うって言いたかったんだろうな。
まぁ実際どんなものを買うのかはオレには分からないが。
こうしてオレは結局1人で家に帰ることになったのだが家に帰っても何もすることがなく、優香や水島の帰りも遅くなることも知っているので少し寄り道をすることに。
となれば一番時間を潰せるのは駅前の本屋や小さめのゲームセンターくらいかなと思い寄ってみたのだが……
◆◇◆◇
ゲームセンターが思ったよりもタバコ臭かったためオレはすぐに本屋に行き先を決定。
中に入って何か面白そうな漫画ないかなーなどと物色していると、レジ前のフリーペーパーエリアで見覚えのある女性の姿を発見した。
あれは……水島の母だよな。
水島母がその美人な顔に似合わず眉間にシワを寄せながら何やらフリーペーパーとにらめっこをしている。
あの表紙と見開きのレイアウト的に……求人募集系か?
なんだかんだで気になっていたオレは少しずつ水島母との距離を縮めてみることに。 そしてお互いの距離が大体5メートルになった頃だろうか。
水島母はおもむろにスマートフォンを取り出すと誰かに電話をかけだしたのだが、その内容を聞いたオレは思わず目を大きく見開いてしまった。
「あ、すみません。 求人のフリーペーパーを見て電話させて頂いたんですけれど……はい、それってまだ空きは……あ、そうですか。 いえ、私ではないんですけど知り合いに20代の男性がいましてどうなのかなって思ったので……はい、はい。 あ、はい分かりました連絡して後ほどかけさせます。 はい、失礼いたします」
20代男性……もしかして。
いや、もしかしなくてもあの人だよな。 てか親にここまでやらせている20代男性って一体……。
ぶっちゃけ水島家の現状を水島本人に伝えるためにも話しかけたかったところはあるのだが、今の水島母にそんな余裕はなさそうだ。
オレはできればもう少し漫画物色したかったという欲望を理性で押し殺し、水島母に見つかってしまっては意味がないということで気配を消してそこから退散……誰もいない家へと帰ったのであった。
「さっきのことは優香にこっそり教えるとして、水島兄がああなった原因って親にも問題あるんじゃないか? とりあえず白鳥さんパンツでも被っておこう」
またやってしまった……更新ボタン押し忘れ罠。




