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558 【水島編】幸福のゲーム


 五百五十八話  【水島編】幸福のゲーム



 やっぱりマドンナって言われるだけあって、行動とか色々早いのな。



【受信・水島】じゃじゃーん☆ ご主人さま、ゲットしたよ!!



 金曜日の夜。 突然届いた水島のメールには添付ファイルが貼られており、開いてみるとそれは携帯ゲーム機と【魔獣ハンター】のソフトが並んだ写真。

 おそらくは写真に華やかさを加えたかったのか、謎にキラキラとした加工まで施されている。



【送信・水島】おーすげぇ。 買ったのな。


【受信・水島】うん! ご主人さまが一緒にやってくれるって言ってくれた日にネットで頼んどいたんだー。 今日学校から帰ってきたら届いてたの。


【送信・水島】行動力やべーな。 でもこれで出来るじゃん。


【受信・水島】そうだよー! それで早速なんだけど、明日の土曜日空いてるー?



 ◆◇◆◇



 翌日。 ちょうど優香は朝早くからギャルJK星と冬のスイーツ食べ放題に出かけるとのことで家にはオレ1人だけ。

 もうすぐお昼にさしかかろうとしていた時間帯、インターホンが押されたので玄関の扉を開け確認するとそこには水島が「おじゃましまーす」とビニール袋を持ちながら立っていた。



「おういらっしゃい。 てかそれ何持ってんだ?」


「これ? そこのコンビニでご主人さまと花ちゃん用のお弁当を買ってきたんだよー。 ご主人さま、お姉さんが朝から出かけたって教えてくれてたから」


「マジか。 気が利きすぎるだろ」


「へへへー、花ちゃん早速褒められちゃったー」



 こうしてオレたちはリビングに移動し胃を満足させてからゲームをプレイすることに。


 まずは動作やボタンの説明からした方がいいよな。

 オレは水島に「こっち来いよ」とソファーに座ると自分のゲーム機を起動。 すると水島はテーブル下に置いていたリュックからゲーム機を取り出してオレのもとへと小走りで駆け寄ってきたわけだが……



「はーい、それじゃご主人さま、お願いしまーす」



 水島はそういうと、オレの目の前でくるりと体の向きを回転。

 オレに背を向けた状態でオレの足の間にポスンと腰掛けてくる。



「ちょっ……! え、ええええええ!?!? 水島あああああ!?!?」



 突然の出来事にオレは大混乱。

 オレの……どことは言わないが股のあたりには水島のお尻がジャストフィット。 それだけでも気持ちいいのに水島はしっくりきていないのか左右に身体をズラしながら水島なりの気持ちのいい場所……ベストプレイスを探し始める。



「ちょ、ちょちょちょちょちょ水島!! なにやって……めっちゃ当たってるだろ少しは加減しろよ!」



 このままでは理性で止めようとしても身体が勝手に反応してしまう。

 オレは慌てて水島の肩を掴んで動きを制止。 しかし水島は頭上にはてなマークを浮かばせながらオレの方を振り返ってきた。



「なんでー?」


「は?」


「だって花ちゃん、お兄ちゃんのゲーム見てるときいつもこうしてるよー? それにこうしてた方がお兄ちゃんのテンションいつもより高くなるから、きっとご主人さまももっと楽しくなるはずだよ」


「ーー……」



 あー、そういや水島ってお兄さんの上に乗りながらゲーム見てたとか言ってたな。

 それで自分からも某所にお尻を当てながら動いて反応を楽しんでたんだっけ。(第198話参照)


 

 それからオレは水島に「流石にこのままではオレも集中できないから勘弁してくれ」と頼んだのだが、水島は「こっちの方が花ちゃん安心するからお願い」と断固としてオレの足の間からは動かず。



 ーー……マジか。 まぁ実際気持ちいいし、どうせならこの状況をも楽しませてもらうとしよう。



 オレは水島の背後から覗き込むような形で水島の持つゲーム機の画面を確認。 水島のお腹に手を回し、耳元で解説・説明をしながらチュートリアル等を進めていくことにしたのだった。



 ◆◇◆◇



 基本動作を教えたオレは、早速雑魚モンスターと呼ばれる魔獣との戦闘を水島に指示。

 水島に感覚を覚えてもらうことにした。



 そこは大きな雪原のフィールド。

 討伐する対象は体中に炎を纏ったブルドックのような魔獣で、こいつはワンパターンな突進を主な攻撃手段としていることから狩りに必要な回避の練習相手としてよく初心者の練習用となっているのだ。



「いいか水島。 水島が使ってる武器は巨大な剣……大剣なんだ。 大剣は攻撃力は高いがその分抜刀状態だと動きが鈍くなる。 だからこそ回避は必須スキルとも言える。 ちゃんと感覚覚えろよ」


「うん。 えっと……回避はどのボタンだったっけ」



 水島がコントローラーをオレに見せてくる。



「あー、そこは【×】ボタンで回避するんだ」


「分かったー。 でも十字キーで逃げるだけじゃ本当にダメなのー?」


「他の武器ならギリギリ可能なものもあるが、それじゃあ間に合わん。 十字キーで避ける方向を入力しつつ【×】ボタンだ」



 こうしていざ魔獣との戦闘を開始。

 魔獣は水島のプレイしているキャラクターを見つけるなり、馬鹿正直に突進攻撃の構えをとってくる。



「よし! くるぞ水島。 とりあえずまずは回避だけに集中しろ!」


「はい!!」



 あ、そうそう。 これはレーシングゲームも然りなんだけど、そのゲームはコントローラー操作なのに何故か画面の動きに合わせて身体を前後左右に揺らしちゃう人っているよな。

 それでそれは水島もそういうタイプだったようで……



「水島、右から突進くるぞ! 左に回避だ!」


「うーーっ!!!」



 水島の身体が左に傾くと、それと同時に水島のお尻に押し付けられているオレのとある部分の左側に圧力が強くかけられる。



 グニュン



 Oh。



「つ、次は左!」


「ふーーんっ!」



 グニュニュン



 Wow。



「ウヘヘ……あ、ゲフンゲフン。 てかこれより前は壁だがら先に行けないな。 こういう時は後ろに回避だ!」


「はいーーっ!」



 グニィイイイッ



 Yeahhhhhhhhhhhh!!!!!!!



 

 大体やり始めて3時間くらいだろうか。

 オレは完全に水島のお尻の虜に。 水島兄の気持ちが今なら痛いほど分かる……確かにこれを1度味わってしまったらそう簡単に抜け出すことは出来ないわなぁ。


 恥ずかしながらオレも自分の意思とは関係なく腰が自らアピール。 程よい圧迫感と前後左右に感じる快感に負けてしまい、水島が帰る頃にはオレは今すぐにでもシャワーを浴びなければならない状況となっていたのだった。



「じゃあ、今日はありがとご主人さま。 操作はなんとなくわかったから、続きは今夜オンラインで一緒にやろうね」


 

 玄関。 ゲーム操作に慣れて一安心したのか、水島は満足そうに微笑みながらオレの手を握ってくる。

  


「あ、ああ」


「やるときは花ちゃんからメールした方がいい?」


「ーー……そうだな」


「うん、じゃあそうするね。 そしたら花ちゃんは帰ったらゲーム機充電して……宿題とかやること終わらさないと」


「お、おー、がんばれよー」



 オレは水島とともに家を出てマンションの階段を降りて行く。

 なんだかんだでもう夕方。 流石に1人で帰らせるのは申し訳ないと思ったので水島家の近くまで見送ろうとしたのだが、水島は「あー、ご主人さま。 別に花ちゃん1人で帰れるからここでいいよ」とマンションを降りたところで首を左右に振りオレの同行を辞退してくる。



「え、でももう暗くなってんぞ」


「大丈夫だよこれくらいー」



 水島はそう言ってはいるが、流石にそれではオレの気が収まらない。

 オレはなんとか途中までついていこうとしていたのだが、ここでようやく水島は「だったら……これ言いたくなかったから言うんだけどさー」と拒否以外の言葉を口にした。



「ご主人さまー?」


「なんだ」


「ご主人さまのそこ……ビチャビチャだよー? 流石にそれで外歩いたら花ちゃんも恥ずかしいよー」


「ん? オレのそこ?」



 オレは水島が指差した箇所に視線を向けていく。

 そしてそこでオレは全てを思い出す。



「あ」



 そうだった忘れてた。 もう今すぐにでもシャワー必須案件なんだった。


 

 オレはあまりの恥ずかしさに内股になりながら両手でその部分を覆いかぶせるように隠す。



「あははー。 ね、恥ずかしいでしょー?」


「あ、うん。 すまん」



 結果、オレはその場で水島を見送ることに。

 そしてこれは水島から『帰ったよ』と連絡がきてしばらくだろうか。 とんでもないメールがオレのもとに届き、そこでオレは戦意を喪失したのであった。



【受信・水島】本当に今日はありがとー♪ それにしても今日ご主人さま凄かったね。 花ちゃんゲームしながらでも何回かはわかったもん(笑) ご主人さまって結構敏感さんなんだ可愛いー。


 

 ガーーーーーーン!!!!



 そういや前にギャルJK星も似たようなことオレに言ってきてたような気もするし……オレ、本当に雑魚なのか?



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― 新着の感想 ―
[良い点] ダイキのダイキは水島ちゃんのおしりに耐えられなかったか……。
[一言] ふぅ・・・ けしからん 花ちゃん実にけしからんですよぉー!! というか花ちゃんルートには水島兄によるNTRデッドポイントとかありそう(白目)
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