556 【共通】イブのため
五百五十六話 【共通】イブのため
なんか最近くそ寒いなーなどと思っていると、気づけばもう12月中旬。
もうあと少しでクリスマスじゃないか。
「いやいや早すぎるだろ」
といってもオレのメインはクリスマスというイベントにあらず。
皆は覚えているだろうか。 クリスマス前夜……クリスマス・イブが何の日だったかを。
◆◇◆◇
【受信・星美咲】おー! イブがゆーちゃんの誕生日だってよく覚えてたねーダイキ! エロいぞー!ワラ
クリスマス・イブ……そう、優香の誕生日だ。
オレは当日優香のバースデーパーティーをしようと決意。 早速ギャルJK星にその日空けてもらうことをお願いしたのだった。
【送信・星美咲】エロいって……。 それで星さん、その日来れそう?
【受信・星美咲】任せろダイキ! 去年はムフフなマッサージ器だったからにゃ! 今年はもっと凄いのを持っていくぜ!!
「も、もっと凄いの……!?」
【送信・星美咲】それって一体……
【受信・星美咲】楽しみにしておれ
ゴクリ。
ちなみにその後、前回参加した結城も誘ってみたのだが……どうやら結城は高槻さんと入院中のママを入れた3人で病室でパーティーするから参加できないとのこと。
ちくしょう、まぁ仕方ないけどここ最近結城はずっとママのところじゃないか。
オレは結城が来れないことにショックを受けつつもすぐに気持ちを切り替える。
期日までそこまで時間がない……オレは早速優香へのプレゼントに何が最適なのかをスマートフォンで検索し調べてみることに。
しかしあまりピンとくるものがない……やはり百聞は一見にしかずってことだよな。 翌日の学校終わり、街に出てみることに決めたのだった。
◆◇◆◇
放課後。 帰りのホームルームを終えたオレはスーパーダッシュで教室を飛び出し正面玄関へ。
少しでも多くの時間を優香のために使いたい……その一心で上履きから靴へと履き替えていると、後ろから何ともユルい声でオレの名が呼ばれていることに気がついた。
「ごしゅ……福田くーーん」
「ん?」
振り返ってみると、そこにいたのはマドンナ・水島。
相変わらずのゆるゆるオーラを纏った水島がオレのもとへと可愛く駆け寄ってくる。
「どーしたの福田くん、なんか焦ってるように見えたけどー」
「あー、まぁな。 ちょっと今から街に行こうかと思ってて」
「お買い物ー?」
「そんなところだ」
「てことはもうすぐクリスマスだし……あ、そうか。 お姉さんのお誕生日かー」
ーー……。
「ええええええええ!?!?!? なんで覚えてたのおおおおおおお!?!!?!?」
あまりの水島のドンピシャな推理に思わずオレは大絶叫。
そういや去年は水島にプレゼント選びを手伝ってもらったんだったよな……公私ともになんて優秀なんだこいつは。
オレがそんな水島のスペックに感心していると、水島が「ねーねー、福田くーん」と体を左右に揺らしながら声をかけてくる。
「なんだ?」
「花ちゃんも今日暇なんだよねー。 一緒に行っていいー?」
「え、マジ?」
「うん。 福田くんさえ良ければー」
どうやら水島曰く、トレンド等は変わっていくものだから何か力になれるかもとのこと。
なんともありがたい言葉。
オレは水島に「ぜひ頼む!!」とお願いし、一緒に街へと向かった。
◆◇◆◇
「そういやご主人さまって、結局去年は何買ったんだっけ」
「アロマ加湿器だ」
「そっかー、お姉さん喜んでたー?」
「まぁそれなりにな。 最近もちょっと用があって部屋に入ったんだけど、ちゃんと使ってくれてたぞ」
「そだね、もう乾燥……お肌の敵の季節だもんねー」
そんなことを話していると大型ショッピングモールへと到着。
今年は何をプレゼントしようかと色々見渡しながら考えていたわけなのだが……
「これも聞いておきたかったことなんだけどさー? 去年ご主人さまのお姉さんって他にどんなプレゼントもらってたか覚えてるー?」
雑貨屋で吟味していると、水島がオレの肩にもたれるように体重を乗せながら尋ねてくる。
「なんで?」
「もしそれと被ったらイヤだなーって思って」
オレは水島の先ほどの質問の意図に納得。
それを踏まえて「なるほどな。 でも被ることはないから安心してくれ」と普通に答える。
「なんでー?」
「まぁそれは……あれだ。 子供じゃ買えないようなものだったからな」
「子供じゃ買えないもの……?」
なぜかオレの返答に食いついた水島はその場で腕を組みながら「うーん」と考え始め、しばらくして思いついたのだろう。 「あっ」と声を出してオレの腕を引っ張ると、自信満々の表情でこう答えたのだった。
「エッチなビデオだ!!」
は?
水島の口から出たのはまさかの回答。
激しくツッコミを入れたいところだが、あいにくここはお店の中。 流石に「姉にあげるようなものじゃないわ!!」と叫ぶわけにはいかない。
「おい水島、自重しろ」
オレは水島に、冷静に声のトーンや公共の場での発言を気をつけるよう注意。
しかしなぜだろう……水島のそのテンションは収まることなくさらにヒートアップしていく。
「あ、それか……首輪とか!?」
「水島、黙れ」
「ハッ……花ちゃん分かっちゃった。 なんていうんだったかな……ディードーンだったっけ。 そんな名前のものあったよね」
「ディ……ディードーン?」
「うんっ! 花ちゃん、お兄ちゃんがやってたゲーム見ててその時に知ったんだけど、ほらあれ……模型みたいなやつ」
水島が両手の人差し指でシルエットを形成させながら必死にオレに説明してくる。
見ているとなんとも卑猥な形……特に上部の膨らみと言ったらもう。
「あー、なんか分かったかも」
「え、ほんと?」
「うん。 それってあれだろ。 大きな声では言えないけど、ディル……」
「あー!! そうそう!! オチン……」
「はーい、大声禁止な。 こっち来い」
オレは水島の口を手で無理やり押さえつけながら店を出ることに。
まぁさっき水島が一体何を言おうとしていたのかは、分かる人にだけ分かってもらえれば構わない。 わからない人は……そうだな、その純粋な心を忘れるなよ。
なんかこの店を出るまでの間の周囲から送られている冷たい視線……デジャブだぜ。
それからオレはなんとか水島のパンツを没収することでテンションを大人しくさせることに成功。
途中水島は換気のためなのか少し空いている窓から冷気が吹き込んでくる度に「ひゃあっ! 直接は冷たいよぉー」と内股になりながら顔を赤らめていたのだった。
あ、ちなみにプレゼントは無事買えたぞ。 何を買ったのかは……当日になってのお楽しみな。
水島と解散したオレは購入したプレゼントを優香にバレないよう、ランドセルに入れて何事もなかったかのように帰宅。 その後すぐに部屋に向かい、とりあえずどこかに隠しておこうと思ってランドセルを開いたのだが、ランドセルの中身……そこでオレはとんでもないミスをしたことに気づいてしまった。
「ーー……やっべ。 水島にパンツ返すの忘れてた」
そこには水色の布地で中心に紺色の小さなリボンのついたなんとも可愛らしいパンツ。
オレは急いで水島にメールをすることに。
【送信・水島】すまん、パンツオレそのまま持って帰ってた。
するとすぐに水島から返信が。
内容は『別に明日でも大丈夫だよー』とのことだったのだがどうしよう……。
明日の水島のことを考えると、余分にパンツを持たせることは申し訳ないし万が一落としてしまった場合恥ずかしい思いをさせてしまうので今すぐ返しに行くべきだ。
しかし水島の好意に甘えるならば、今夜は極上のアイテムを手に入れたことになる。
さて、どうするか。
それから数分、オレは水島のパンツを凝視しながら精神統一。
考えが決まったオレは勢いよく立ち上がり、パンツを握りしめたのだった。
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