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523 【エマ編】特別編・禁断のお風呂タイム


 五百二十三話 【エマ編】特別編・禁断のお風呂タイム



 日曜日の夕方。

 突如来訪してきた同級生・小畑美波と色々あり一緒に入浴することになったエマだったのだが、向かい合わせになり湯船に浸かっていると美波が何やらニヤニヤしていることに気づく。



「ん、どうしたのよミナミ」



 そうエマが尋ねると美波は手を口元に当てながら「イヒヒヒ」と悪戯に笑い、視線を脱衣所の扉の方へと向けると、「ねぇねぇ」と体をエマの方に近づけてきた。



「エマ、さっきの福田の……気づいた?」


「何が?」


「アレ……多分エマの身体見たからなのかな。 すっごいことになってたね」


「あー、ちん……」


「っぶあーーっはっはっは!!!! やっぱ思い出すだけでもダメだ、面白すぎるーー!!!」


 

 美波はそれからもしばらくの間エマに抱きつきながら大爆笑。

 軽く息を乱していたのでエマが「ちょっとミナミ、大丈夫!?」と落ち着かせるよう背中をさすってみるも、「だって面白くない!? 男ってほんと可哀想……今どんな気分なのか、見ただけですぐに分かっちゃうんだからー!!」と何を意図しているのかは分からないが、自身の股のあたりに手を当てて人差し指のみを立たせて遊びだす。



「ちょ、ちょっとミナミ、落ち着きなさい」


「あーははははは!!!! はは……はぁーー……」



 それから美波が落ち着いたのは数分後。

 ようやく満足したのか美波は「あー、笑った笑った」とその場で立ち上がり大きく背伸び。



「なに? ミナミ……笑うためにウチに来たわけ?」


「違う違う。 エマにちょっと相談したいことがあってさ」


「そうなの? なに?」


「今はちょっと。 お風呂上がってから話すよ」


「まったく……ミナミまでなによ」



 エマの脳内で先ほどのダイキの発言……自分の過去をネタにされたことが思い出されてイライラの感情が蘇ってくる。

 悪気がなかったことは知ってるから許したのだが、やはり心のどこかではまだ見損なったままなのだろう。 しかしこの感情を引きずっていてはダイキにも申し訳ない。 彼はただ私のためだけに一緒に居てくれているのに……。



 知らないうちにエマはそのことについて無言で考え込んでいたようで、それは美波が「ねー、エマ、どーしたのそんな難しい顔して」と顔を覗かせてきたことによりようやく解除される。



「え、あ、ごめん。 ちょっと考え事してて」


「エマが考え事? 珍しいね。 どうしたの?」


「うん、実はついさっきダイキと色々あってさ……」

 

「えーなに? 話してみてよ」


「んーー……」



 エマは若干内容を濁しながらダイキに先ほど言われた内容を話してみることに。

 するとどうだろう……そんな話を聞いた美波の反応は意外なものだった。



「実はね、まぁエマを元気づけようとしての発言だったんだけど、ダイキが実は自分は元の福田ダイキじゃない……みたいなことを言ってきたのよ。 それでその時のエマ、ちょっと虫の居所が悪くて怒っちゃって。 なんで元気にさせるためとはいえわざわざそんな細かい……」


「へー、福田が元の福田じゃないって?」


「うん。 確かにエマもそこまで怒ることじゃなかったんだけど、さすがにちょっとバカにしてるかなって思わない?」


「いや、それガチなんじゃない?」



 ーー……。



「え」


「少なくとも私は去年の……5年の夏休み周辺からそんな気はしてたけど」



 まさかの返答。

 エマが目を大きく見開いて美波を見つめていると、美波が「ん、エマ?」と逆に聞き返してくる。



「えっと……ミナミ、ミナミまでダイキとグル……なんてことはないわよね。 その設定を2人で共有してエマを騙そうと……」


「んなことしないよー。 てかエマが元気なかったことも今知ったし。 いやでもさっきの話はあながちガチじゃない? だって福田って確か……うん、一回歩道橋から飛び降りて意識無くなってたはずだもん。 それで学校に復帰したあたりからなのかな、妙に雰囲気が変わってたんだよね」



「そうなの!?」



 そんなこと本人の口からは一言も……。

 そこから美波から簡単に聞いたのは、ダイキが飛び降りて入院……その後学校に復帰して少しの話。


 どうやらダイキは以前かなりイジメられていて性格も超絶根暗。 常に絶望の二文字を背負ったような人間だったらしいのだが、退院し復帰してからのダイキはイジメられていても前とは違う反応だったらしい。

 例えば女子にイジメられているときは嬉しそうに……逆に男子にイジメられている際は絶対に復讐してやるといった怒りの感情が顔から滲み出ていたとのことだった。



「えええ、あのダイキが? あ、でも確かにエマも転校してきた時にダイキが男子たちにイジメられてたところを助けたんだけど……今思い返すとあの時のダイキ、『邪魔するな』って顔してたかも」


「そだよー。 まぁ私はそれでも関係なしに福田のアソコ蹴ってたけどねー」


「えええええミナミも!?!?」


「うん。 てか私だけじゃなくて佳奈や麻由香も。 あー、あと西園寺さんも短期間だったけどイジメてたかな」


「!?!?!?!?」



 これまた衝撃発言。

 まさか今ダイキと仲良くしてるメンバーの半数以上が彼をイジメていたなんて。

 エマはあまりの驚きに言葉を詰まらせながらも疑問に思ったことを美波に尋ねてみる。



「え、じゃあさ、今はミナミもそうだけどカナやマユカたちもダイキと仲良いじゃない? 何がきっかけでそんな関係になったの?」


「んーー、なんでだろ」


「は?」


「いや、私の場合は初めての生理で苦しんでた時に救ってくれたのがきっかけだけど、佳奈や麻由香は分かんないなぁ」


「あー、そんなこともあったわね」



 その後も美波はダイキが急に大人びた発言や行動を度々していたことをエマに報告。

 それを聞いているうちにエマは先ほどのダイキの発言……ダイキの身体と魂が本当に違うのかもと信じ始めていたのだった。



「まぁだからこれを私が言うのもあれなんだけど、エマは同じクラスなんだし仲良くしてやってよ。 クラスの変わった私らじゃ関わるのも限度あるしさ」


「ーー……そうね。 今夜あたりちょっと謝って……その話が本当なのかどうか改めて聞いてみるわ」


「え、てことはやっぱり付き合って……!?」


「ないわよ!!!」



 美波のおかげもあり少しスッキリしたエマは「そろそろ出ましょう」と美波を連れて脱衣所へ。

 しかしそこで美波の着替えがないことに気づき、リビングにいるであろうダイキに気づかれないよう静かにエマの部屋まで服を取りに向かったのだった。



「はいミナミ。 これ着て」



 エマが棚から出した服を美波に差し出す。



「ありがとー。 ていうか話変わるけどさ、エマの肌ってすべすべだよね」


「そう?」


「うん。 あと改めて見たらエマってまだ毛生えてないんだ」


「まぁね。 それを言うならミナミもじゃない」


「私は剃ってんの。 なんかパンツから出てたらダサいじゃん?」


「そうなのね」


「え、てか本当にスベスベじゃん。 ソコも毛がないからツルツル懐かしー」


「もーーー!!! やめなさいミナミ!!! ミナミじゃなかったらぶっ飛ばしてるわよ!!!」


「福田でも?」


「当たり前よ!! 付き合ってもないんだから!!!」


「じゃあ付き合ったらいいんだ」


「そう言う話じゃない……てか早く服着なさい!!!!!!」




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― 新着の感想 ―
[良い点] 小畑ちゃんがナイスアシストしてるぜ! これでダイキの名誉挽回も近くなってきたぞ。 毛……つるつる。 あってもなくてもよし!
[一言] 確かに過去のダイキも知ってるわなぁ。 しかし、人格話うんぬんをまさか小畑の方から出るとは。
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