52 ビバ☆合法再来!?
五十二話 ビバ☆合法再来!?
「ええええ、それちょっと詳しく聞きたいんだけど!! なんですぐに別れたの!?」
ギャルJK星がぬいぐるみ状態のオレをギュッと抱きしめたまま前のめりになり優香に尋ねる。
あぁ、エアコンが効いてるとはいえだ……ここまで密着されるとさすがに背中が汗ばんでくる。
しかし何故だろう。 オレは汗かくことはあんまり好きじゃないんだけど、この幸せな感覚が続くならこのままでも良いなって思ってしまう。
なんなら脱水症状で倒れそうなくらいまでは味わっていたいくらいだぜ!!
「んー、でもこれ……言っても良いのかなぁ」
ギャルJK星の問い詰めを受けた優香が少し考えながらオレに視線を向ける。
ーー…あ、オレいたらやっぱり言いにくいやつだよな。 弟の前で新鮮な失恋話する姉なんてそうそういないだろうし。
オレは空気を読んで少し惜しいがギャルJK星のロックから離脱。 この場から立ち去ろうとした……その時だった。
「そうだ! ねぇゆーちゃん、アタシ今日ここ泊まっていい!?」
ーー……え?
突然ギャルJK星が優香に謎の提案をする。
「え、今日!?!」
優香ももちろん驚いたらしく、目を大きく見開いてギャルJK星を見つめる。
「うん! こういう時こそ女子会っしょ!! 夜な夜な一緒に語ろうぜ!?」
「美咲……」
こうして今夜、急遽ギャルJKの星がウチに泊まることとなった。
ーー……なんか起きそうだなぁ。
◆◇◆◇
それはギャルJK星を入れた3人での晩御飯を終え、一息ついていた時のこと。
「あ、美咲。 お風呂入るよね、先良いよ」
食器を洗っていた優香がギャルJK星に声を掛ける。
「えー、どうせならさ、一緒に入ろーよー。 お泊まり会の醍醐味じゃん?」
ソファーに腰掛けながらテレビを見つつ、再びオレをぬいぐるみがわりに抱いていたギャルJK星が口を尖らせながら優香へと視線を向ける。
「別に良いけど……じゃあもうちょっと待っててね」
「あいよーん」
なんだろうこのやり取り……良い!! すごく良い!!
オレが心の中で盛大な拍手を送りつつ女子同士の会話を楽しんでいると後ろからギャルJK星が頬をツンツン突いてきたので思わず振り返る。
「ねぇ、もしかして弟くんさっきから黙ってるけど拗ねちゃったぁ? あれだったらアタシたちと一緒に入るべ?」
「ーー……なっ!!!」
マ、マジですかあああああああああ!!!!
オレの心のハイテンションゲージが急上昇。 一気に最高地点まで到達する。
これは……これは素晴らしいイベントがやってきましたあああああ!!
優香とのお風呂ももちろん素晴らしかったが、まさかもう1人……JKに囲まれてのお風呂とか!! しかもオレは未成年で向こうから誘ってきている!!
これはまさしくビバ☆合法再来じゃないですかああああ!!!
ゆえにオレの返事は決まっている!
だからこそオレはこう答えるさ!!
「入……」
「もう美咲ー、あんまりダイキからかわないでよー。 ごめんねダイキ、気にしないでいいからね」
「え」
オレが返事をしようとしたタイミングで優香がギャルJK星の頭をポンと叩く。
「いったー。 もう、冗談じゃんかー。 弟くんだって分かってるって、ねぇ?」
ギャルJK星が笑いながら後ろからオレを覗き込んでくる。
「ーー……え」
思わず心の声が漏れる。
「あれ、もしかして本気にしちゃってたパターン? それはそれでウケるんだけど!!」
「そ、そんなわけ! それに断ろうと……してたんで」
おのれギャルJK ……オレの純粋な心を弄びやがって!!
「お、なんだぁその顔はー。 可愛げがないぞ! こうしてくれる!!」
ギャルJK星がオレの脇腹へと手を滑らせ、超高速でくすぐり始める。
「ーーー……!!!!」
なんだこれは……素早くも繊細な指使い!!
そしてこのダイキの体……どうやらくすぐりに超絶なほど弱いらしい。
こんなの……こんなの我慢できるわけないじゃないかあああああ!!!
「あは……あははははははははは!!!!」
オレは大音量で笑い声を上げながら抵抗する。
「ほらほらー。 そんな力じゃ、この美咲様のくすぐり地獄からは抜けられないぜー!?」
さすがギャルJKだ。 ギャルJK星は全くその速度を緩める気配がない。
しかしオレもこのままだと限界……オレはギャルJK星のくすぐり攻撃を止めようと一瞬の隙をついて体をギャルJK星へと向けた……のだが。
ツルンッ
「えっ!!」
急旋回したオレの足はギャルJK星のスカートによりツルンと滑り、そしてそのままオレの顔はギャルJKの方へ。
これはもはや回避不能。
オレの顔がギャルJKの両足の太もも間に綺麗に挟まる。
ふおおおおおおおおお!!!!!
顔を挟む素晴らしい感覚に気を取られながらもオレは一気に息を吸い込む。
するとギャルJK星のスカートの中で籠っていた生温かい空気がオレの鼻の中へ……それに生温かさの中にも甘い香りがいい感じに染み付いていて……すんばらしい!!!!
オレがそんなこの世で尊い空気を全力で吸い込んでいると、洗い物を終えた優香がオレたちのもとへ。
「美咲、程々にねー。 ほら、やること終わったからお風呂行こ」
優香はオレの顔を引き上げると、美咲の腕を掴んで立ち上がらせる。
「あ、家事終了? おつー♪ じゃあ行くべ行くべ」
ギャルJK星は鼻歌を歌いながら優香とともに脱衣所へ。
オレはそんな2人の会話を耳にしながら先程までのギャルJK星の香りの余韻に浸っていたのだが、そんな中……オレの耳にとんでもない会話が入ってくる。
「あ、そうだゆーちゃん、今日体育あって汗かいちゃったからさー、下着系貸してー」
ーー……なん……だと!!??
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