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505 【陽奈編】まさかの決着!


 五百五話  【陽奈編】まさかの決着!



 あー、なるほどね。

 霊体である愛莉に対するラブレターだったから『夏休み、いつでもいいので学校に来てください』って書いてたのか。



 あれからソウタくんは陽奈の「いや、陽奈のお姉ちゃんもういないよ?」の言葉を無視。

 愛莉をまっすぐ見据えながら『よろしければ付き合っていただけませんか?』と告白したのだが……



 それは一瞬で決着がついた。



『嬉しいけど……じゃあなんで陽奈ちゃん……私の妹にわざわざ接触したの?』


『そ、それは直接だと恥ずかしいから……』


『恥ずかしいからって理由で陽奈ちゃんにマーキングしたの!?』


『ご、ごめんなさい……でも本当に恥ずかしくて……』


『はあああああああ!?!?? それで陽奈ちゃんを魅入ったってわけ!?!? あり得ないんだけど!!!』



 ソウタくんの容姿はどちらかといえば可愛い系。

 幼少期の男児が好みなショタコン女子の方々にかなり人気が出そうな出で立ちだったのだが愛莉にはまったく通用せず。


 愛莉は眉間に怒りマークを増やしながらソウタくんに詰め寄りだす。

 対するソウタくんは愛莉の顔が目の前にまで迫って来ていて大層嬉しそうだったのだが、ここで愛莉の必殺の一言。



『私、陽奈ちゃんを利用しようとする人、大っ嫌い!!!!』


『ガアーーーーン!!!!!』



 あまりにもショックだったのか、ソウタくんはもともと大きめだった瞳孔をギュンッと縦長にして『アアアアアアア!!!!!』と叫びながら姿を消してこの場から逃走。

 しかしすぐにオレの目には視えない……オレの動物園を気に入った女子たちの霊たちによってなのか、目の前に連れ戻されてきた。



『グッ……離セっ!!! 振ラレタナラ……モウイイ!! 全員呪ッテヤル!!!!』



 おおお……早速本性が出たようだ。

 ソウタくんが鬼のような形相で周囲の女子たちの霊に叫び始める。



「う……うわああああ!!! 急に消えたのにまた出て来たあああああ!!!! ダイきち怖いよおおおおお!!!!」


 

 陽奈がソウタくんに視線を向けたままオレに抱きついてくる。

 オレはそんな陽奈を抱きしめながら「とりあえず居なくなったら教えてやるからオレの胸の中で顔を埋めてろ」と声をかけたのだが、そんな妹の姿を見た姉は更に激昂した。



『ああああああ!!! 陽奈ちゃんを怖がらせるとか本当にあり得ない!!! 絶対に許さないんだから!!!』



 そこから繰り広げられたのはまさに地獄絵図。


 愛莉もオレの体に憑依してたことが何回かあるからどこが男の弱点なのかは重々承知しているのだろう。

 怒りMAX状態の愛莉はソウタくんの大事そうな箇所を何度も蹴り上げ、それを囲っていた女子の霊たちも先ほどのソウタくんの態度が気に食わなかったのか暴れようとしているソウタくんの身体をガッシリと固めたまま愛莉のフォローをしていたのであった。

 そして最後には……



『ギャアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!』



 ブチュリと何やらおぞましい音とともにソウタくんの身体が消失。

 その際クヒヒさんの『あ、潰れたね。 タマシイ』と小さく呟く声が聞こえたオレは、思わず内股になってしまっていたのだった。



 ◆◇◆◇



「あー、怖かったねダイきち。 陽奈、しばらく1人でおトイレ行けないよー」



 帰り道、陽奈が「それにしてもあれって何だったんだろー」と首を傾げながらオレの腕を掴んでくる。



「んー、何だったんだろうな」


「なんかあの男の子、陽奈のお姉ちゃんがどうとか言ってなかった?」


「言ってたっけ?」


「陽奈の聞き間違いなのかなぁ……」



 ちなみにあれからあのソウタくんの霊は創設者のおじいさんの手のより天界へ強制連行……もう陽奈に近寄ることはないだろうとクヒヒさんが言う。



『あ、あと今後歴代の校長とともに見回りを強化するってあの創設者のおじいさんが言ってたよ』


「そうなのか」


『うん。 大人しそうだったから見過ごしてあげてたのに、あんな本性を隠してたのが許せないんだって。 だから今後あの学校には新規の霊は追い払いって意気込んでたよ』



 そしてそれはプールサイドに潜む悪霊も例外ではないとのことで、話が通じなかった場合は歴代校長全員でボコボコにしてでも退散させるらしい。



「いや……最初からそうしとけって」



 オレが小さく呟くと、クヒヒさんは『仕方ないよ。 あのおじいさんは校舎付近しか見回ってなかったって言ってたもん。 プールのことは知らなかったんだって』と補足を入れた。



「そういうもんなのか」


『そうだよー。 多分設立時にはプールとか作ってなかったから……とか、そういう理由でプール周辺をそこまで気にしてなかったんじゃないかな』


「なるほどねー」



 そんな話を小声でしていると、気づけば陽奈の家の前。

 オレが陽奈に「まあ明日な」と声をかけると、陽奈が「えーー!? 今日もダイきちの家に泊まっちゃダメなんー!?」と駄々をこねてくる。



「いやいや、オレは構わんけどお前がキツいだろ!! 洗濯してるとはいえ、何日同じ服着るんだよ!!」


「いいやん、洗ってるんやからー! やーだ、ダイきちと一緒にいたいー!! ダイきちと遊びたいーー!!」



 このワガママ娘……。

 どうにかおとなしくさせる案がないかを愛莉に尋ねようとするも、愛莉は先ほどの弱点連続キックの影響からか疲弊している様子。



 これはもう好きにさせるしかないのか?



 ともあれせっかく陽奈の家にまできたんだ。 挨拶くらいはしておこうとインターホンを鳴らすと、すぐに中から陽奈の母親が顔を出す。

 しかしオレの顔を見るなり「あああ!! ちょうどよかったわ!! ちょっと上がってもらえる!?」と声をあげ、半ば強引に腕を引っ張られながら家の中へと連行されたのであった。

 


 ーー……もしかして年頃の女の子を連れ回したことによる説教か?



 そんな予想をしながら居間へと連れてこられたオレだったのだが、陽奈母は開口一番……



「ごめんなさい!! 福田くんの電話番号とアドレス……もう一回教えてもらっていいかな!? あのメモ無くしちゃって!!」


「え」



 それを聞いた陽奈の体もビクンと反応。

 急に「あああああああ!!! そうだったああああああ!!!」と叫び出す。



「な、なんだなんだ!? どうした陽奈まで!!」


「陽奈……スマホ買ってもらってたの忘れてたああああああ!!!!」

 


「ーー……は?」



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― 新着の感想 ―
[良い点] ソウタくんとんでもなかったぜ。 愛莉ちゃんモテまくりだなぁ。 そういえば、元祖ダイキはどうしたのだろうか……。 お、やっとスマホフラグ回収か!
[一言] 陽菜ちゃんの良いところは、その場その場を全力で生きてることやね。 全力すぎて、いろいろ忘れっぽいみたいやけど。
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