500 【陽奈編】視える!?【挿絵有】
五百話 【陽奈編】視える!?
愛莉の話を親身になって聞いてくれていたらしい協力者……オレはそれを神様だと思い込んでいたのだが、その正体はまさかのクヒヒ野郎だった。
しかし今オレの目の前にいるクヒヒ野郎はなぜかホラーオーラを微塵も纏っていないわけで……
『この姿では初めましてだね、弟くん』
「な……ななななななあああああああああああ!?!?!!?」
一体どうすれば今までの恐怖の感情をなくし……かつそれとは真逆の感情を与えられるのだろうか。
今オレの視界に入るクヒヒ野郎はかなりの美人で当時は恐怖であまり気になっていなかったのだが、マジマジと見ていると改めて気づく。
この人……かなりグラマーだ。
ゴクリ。
オレがそんな魅惑的なパーツたちに目を奪われているとクヒヒ野郎は『どうしたの? もっと見たい?』とオレを誘惑。
これが誰もいない密室だったら迷わず「お願いします」とお願いしていたことだろう。 しかし今は愛莉がいるし、いつ陽奈が朝食を終えて戻ってくるかもわからない。
『どうしたの弟くん。 見る?』
クヒヒ野郎が妖艶に微笑みながら胸元の襟部分をゆっくりとズラしていく。
「ああ……あああああああああ!!!!!」
『ーー……ダイきちくんの変態』
「はっ!!」
オレは愛莉の静かなツッコミのおかげでなんとか我に帰る。
その後「いや、結構です」とクヒヒ野郎にハッキリ答えると、このままでは同じ箇所を無言で見つめ続けかねないのですぐに話題を変更。 どうして愛莉の協力をすることにしたのか尋ねることにしたのだが……
『くひひ、それは決まってるわ。 弟くん、君を他の霊たちから守るためじゃない』
「え」
『だって君はこのままじゃ他の霊に憑依されたりする可能性があるんでしょう? そしたら姫が悲しむことになるかもしれないじゃない』
「ーー……」
◆◇◆◇
それからのクヒヒ野郎の話は色々とツッコミどころ満載でにわかには信じがたい内容ばかりだったのだが、とりあえずオレに危害を加えるつもりではないことは信用して欲しいとのこと。
「ーー……それ、本当ですか?」
『本当だよ。 だってもし私が弟くんを呪うために憑いてたのだとしたら、とっくに殺しててもおかしくないでしょう?』
「た、確かに」
こればかりは流石にクヒヒ野郎の話を信じざるを得ない。
他にもクヒヒ野郎は優香国の民だったことや、オレの2度目の天界訪問からの帰りにフォローしてくれたことなど教えてくれていたのだが、オレは一旦そこらへんをスルー。
それよりももっと気になっていたことを聞いてみることにした。
「とりあえずオレを守ってくれるってところは信じようと思うんですが、もう1ついいですか?」
『なに?』
「なんで今更そんな怖くないバージョンでオレの前に?」
そう問いかけるとクヒヒ野郎は相変わらず『くひひ』と笑い、かなりしょうもない理由をオレに教えたのだった。
『だって離れたところでずっと見てたんだけど、弟くんが私と同じ霊体の愛莉ちゃんと仲良さそうに話してるところをみて……羨ましいなぁ、そろそろ私も普通に接してみてもいいかなって』
クヒヒ野郎が少し恥ずかしそうに頬を赤らめながら舌を出す。
「ーー……は?」
オレはあまりの理解に苦しむ内容から開いた口が塞がらなくなり、しばらくの間そんなクヒヒ野郎を凝視していたのだが……
『あ、もしかして今までの私の方が良かったかな?』
「え」
『ちょっと待っててね』
それは一瞬。
クヒヒ野郎は静かに微笑むと、僅かに宙に浮いてその場でクルリと一回転。 オレと愛莉は頭上にはてなマークを浮かべながらその様子を見守っていたのだが……
『コレガ……ヨカッタンダネーー!!! クヒハハハハハアアアアアアア!!!!!!』
「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!!!!」
『か……かっこいいーーーーー!!!!』
まさに七変化。
これこそオレの脳にこびりついているトラウマ級のクヒヒの姿で、それを見たオレと愛莉はお互いに異なる感情で大絶叫。
そしてそんなオレたちが驚きMAX中のタイミングで、背後から部屋の扉が開かれる音が聞こえてきた。
「あー、美味しかったぁー」
ーー……え、陽奈?
「ていうかダイきち、部屋の外まで聞こえてたけど何をそんなに叫んで……へ?」
振り返ってみると、陽奈が一点を見つめながら大きく数回瞬きをしている。
これはおそらく……陽奈にも視えてしまったんだなぁ。
陽奈は宙に浮いていたクヒヒ野郎をゆっくりと指差しながら、自身の股間あたりを少しずつ湿らせていっているではないか。
「!!!!」
おおおおおおおお!!!!! JSの生お漏らs……これは去年西園寺の時も思ったのだが、低学年だと何も感じないのに高学年になった途端に急にエロいぜ堪らんぜえええええええええ!!!!
オレは先ほどの恐怖など一瞬で忘れて視線を尊き染みへと移動。
息をかなり荒げながらその徐々に広がっていく染みの行く末を見守っていく。
「ダ……ダイきち、陽奈……ハッキリとは見えないんやけど、髪の長い女の人が……!」
『陽奈ちゃあああああん!!! そこでしちゃダメえええええ!!!!』
「うわあああああ!!! 黄色の服のオバケもいたあああああ!!! 何か叫びながらこっちきてるーーーー!!!!」
「え、陽奈?」
『え、陽奈ちゃん?』
お読みいただきましてありがとうございます!!
まさか500話に到達するとは……笑
これからもこの陽奈編、その後のヒロインルートも見守っていただけると嬉しいです!
(ちなみに次はエマ編を予定しております)




