05 まるで奴隷
五話 まるで奴隷
翌日の放課後。 オレは三好を図工室前に呼び出した。
ーー……先生に呼ばれたと嘘をついて。
「あーもう最悪。 全然来ないじゃん。 てかどうして福田までいんの?」
三好はイライラした表情でポケットからスマートフォンを取り出しいじり始める。
「まぁ、先生が呼んでたって嘘なんだけどね」
オレは三好の耳元で小さく呟く。
「は?」
三好が眉間にシワを寄せながらオレを睨みつける。
「アンタ……何言ってんの?」
「ちょっと三好さんに話があってさ」
「……!! あんた私を騙したわけ!? ほんとウザいんだけど!!!」
三好は自身のスマートフォンを乱暴にポケットに入れると、素早くオレの肩に掴みかかる。
うーん三好から漂う女子の香り、最高だなぁ。
それでは始めましょうか。
『ーー……おい福田。そのまま奥の壁まで寄れ』
オレのスマートフォンから昨日の音声が流れ出す。
「ーー……!!?? 何それ」
三好が動きをピタリと止める。
しかしオレは何も答えずに音声を流し続ける。
『あっははは!! なーに!? そんなに私に蹴って欲しいの!?』
三好の顔色が徐々に青ざめていく。
「福田あんた、これ……」
「そう。 昨日録音しておいたんだよね」
「このっ……!!!」
三好が力づくでスマートフォンを奪おうとしてくるも、オレはそれを華麗に回避。 三好はバランスを崩してオレの目の前で転倒してしまう。
……いや、別に足も引っ掛けてないんだけどね。
三好もまさかオレが避けるとは思ってもいなかったのだろう……目を大きく見開きながらこちらを見上げた。
「ーー……!!??」
「無駄だよ。 このデータ、家のパソコンにもバックアップしてるから」
「な……! だからそれがどうしたって……!!」
「中学受験の時とかにさ、この音声を受験先の学校の人に聞かせたらどうなるかな」
オレは迫真の演技をしながら三好を見下す。
「ーー……は?」
「三好さんがいじめをしてるって分かったら受験は不合格。 どこも引き取ってくれるところなくて1人だけ中学いけないね」
「ーー……!!!」
三好の顔が一気にこわばっていく。
ーー……まぁどこも引き取ってくれないとかありえないんだけどな。 さすが小五、世間のことをよく分かってないから騙しやすいぜ。
「ーー……何すればいいの?」
三好が涙で瞳を潤わせながらオレを睨みつける。
「ン?」
「何をすればそれ消してくれるかって聞いてるの!!!」
別にオレはやましいことなんてする気はない。
オレは三好の目の前で、ゆっくりとしゃがみ込み手を差し出す。
「ーー……なに?」
「お手」
「ーー……!!??」
三好の顔が一気に紅潮。 悔しそうに手を力強く握りしめる。
「ほら、お手」
「ーー……くっ!!!」
三好は拳を握りしめてオレの手に軽いパンチ。
うん、ナイスな力加減だ。 でもな……
「ほら! お手したっしょ! はい終わり! 消せ!!」
三好ぃ……どうやらまだ立場が分かっていないらしいな。
「痛ってーな。 ほら赤くなった。 この音声と一緒に先生のところ持って行こうかなぁ。 そしたら親にもバレてもうどうしようもなくなるよねぇ」
「そ、それだけは……!!!」
「じゃあお手」
「ーー……」
三好は力なくオレの手のひらに自身の手をのせる。
ゾクゾクゾクーーー!!!!!
ヤベェ……この状況、口角が今にも上がりそうだぜ!!!
オレはそれを必死に耐え忍びながら三好に声をかけた。
「よし、三好。 お前は今後もオレをいじめても構わない。 クラス内の立場もあるだろうからな」
「ーー……!!??」
三好が驚いた顔でオレを見上げる。
「それは……なんで?」
「うるさい黙れ理由はさっき言った通り、お前のクラスの立場を考えてやっただけだ。 ただ力は抜くように。 これ以上の力でオレを殴ったり蹴ったりした瞬間、このデータが学校や受験先にいくと思えよ」
オレは三好の手のひらをパシパシと叩きながら力加減を教えていく。
下手に強烈な一撃が当たって痛い場所にクリーンヒットした場合、苦しむのはオレだからな。
「わかった?」
「ーー……わかった」
三好が従順に頷く。
「あとあれな、学校内でのオレの呼び出しは絶対だ。」
「ーー……うん」
「友達に相談してもすぐチクるぞ」
「ーー……うん」
「よし、じゃあ今日はいいよ。 帰っても」
オレが三好に「ハウス」と命じると、従順になった三好は肩を落としながら下駄箱の方へと消えていったのだった。
うわああああああ!!!!
女子小学生を……JSを1人ゲットしちゃったよおおおおお!!!!
オレは胸の高鳴りを抑えきれないまま家へと帰宅した。
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