499 【陽奈編】真実はいつも1つ!?【挿絵有】
四百九十九話 【陽奈編】真実はいつも1つ!?
陽奈の布団の中で眠りに落ちるまで、オレは少しの時間ではあるが愛莉と今後のことを話し合ったのだが……
「やっぱり夜は危険だな。 次は昼にするか」
『だね。 よくよく考えてみれば陽奈ちゃんは日中にラブレター渡されたわけだし』
「でもどうするよ、オレ1人で行ったらあの学校の先生に怪しまれないか?」
『そこはもう仕方ないけど陽奈ちゃん連れて行くしかないね』
「え、でもそしたらその幽霊のソウタくんが狙ってくるんじゃ」
その後、愛莉が提案した作戦は以下のもの。
・陽奈に不動明王様のお守りを2つ持たせておき、更にもしもの場合に備えて愛莉が陽奈に憑依しておく。
・陽奈を1人にはさせない。 トイレの場合でも何かと理由をつけてオレも同行する。
・もしソウタくんが姿を現したらそいつから陽奈を遠ざける。 それが叶わないようだったら意地でもオレが陽奈の手を強く繋いで連れて行かれないよう努力する。
以上の愛莉の考えを聞いたオレはすぐに「ちょっと待て愛莉さん」とストップをかけた。
『なに?』
「なんつーか……オレに負担ありすぎじゃね?」
『そう?』
「てかそのソウタくんがブチ切れてオレを襲ってきたらどうするんだよ。 愛莉さん憑いてないとオレの精神乗っ取られるんだろ!?」
『あー……』
それから愛莉は『確かにそれだと厳しいね』と言い今までの作戦は一旦保留。 翌朝またゆっくり考えようとなり、オレは眠りについたのだった。
◆◇◆◇
しかしそんな翌朝のこと。
先に朝食を終えたオレが部屋に戻ってくると、愛莉が何やら満足げな顔をしながら『待ってたよー』と相変わらず宙に浮きながら手を振ってくる。
「あれ、愛莉さんオレに憑依してたんじゃないんだ」
『うん。 昨日ダイきちくんが眠っちゃった時に抜けてたんだ』
なるほど、どうりで目が覚めてから体が軽いなって感じてたわけだ。
オレが肩をクルクルと回しながら体の軽さを改めて実感していると、愛莉が『あ、そうそうダイきちくん。 昨日の夜話した私の作戦の続きなんだけど……』と目の前まで近づいてくる。
「昨日の続き……。 あー、オレが憑依されたら意味ないじゃんってところだよな」
『そうそう。 あれ、なんとかなりそうだよ』
「へぇー、マジか。 良い案思い付いたんだ」
『うん。 でもまぁ案っていうか、助言……手を貸してくれる人が現れたっていうか』
「え」
待て待て、手を貸してくれる人? それって誰だよ。
オレが声に出す前に脳内で考えていると、その声を読み取った愛莉が『誰だと思うー?』と上機嫌でオレの周囲をクルクルと回り出す。
「え、オレの知ってる人か?」
『そうだよ』
「てかやけに嬉しそうだな」
『だってダイきちくんが昨日眠ってから、その人私の話を親身になって聞いてくれたんだもん。 もう嬉しくて泣きそうだったよ』
あーね。
今の愛莉のその反応でそれが誰なのか、オレ分かっちまったよ。
オレが「なるほどね」と頷いていると、愛莉が『え、今ので分かったの!?』と驚きながら顔を近づけてくる。
「まぁな」
『なんで!?』
「だって愛莉さんのその表情からするに、その人って静かに話を聞いてくれる人だろ?」
『そうそう!』
「それでいて協力してくれるってことは霊体歴もそれなりにある……」
『うん! えーなんで!?』
愛莉がオレの背後に視線を向ける。
ということは今オレの後ろにそいつがいるということか。
これはオレの天才的な推理力を見せるまたとないチャンスだぜ!!!
オレは確信に満ちた笑みを浮かべながら愛莉に「それではオレの天才的な推理で答えを当ててやろう」と宣言。
愛莉の見守る中、オレは某メガネのこども探偵風に後ろを振り返りながら……その先にいるであろう対象に指をさし高らかに名前を呼んだ。
「正解は……神様!! 神様だろ!!!」
当たっていると思ったさ。
しかしオレは目の前にいた存在を見た瞬間に体が固まる。
「え……なんで」
声が震えてうまく話せない。
だって仕方ないじゃないか。
オレの指差した先にいた相手は……
『くひひ』
「ぎょええええええええええええええええええええええーーー!!!!」
ーー……え?
オレの瞳に映っている者は確かにあの忌まわしきクヒヒ野郎。
しかしどうしたというのだろう……今オレの目の前にいるクヒヒ野郎はいつものホラー的なオーラを一切発しておらず、落ちついた顔の女性がクスっと微笑みながらこちらを見ていたのだった。
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