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496 【陽奈編】元気!!


 四百九十六話  【陽奈編】元気!!



 トイレ内。

 便器の前に立つオレの脳内から憑依している愛莉の声が聞こえてくる。



『う……うわ、本当に持ってしないとダメなんだ……』



 あ、意思の話ね。

 本当に確固とした意思を持って行動しないと成功しないってことを愛莉はトイレ内で言っているノダ。



「そうだろ」


『う、うん……でもあれだね、狙いを定めてないとダメだから大変だね』


「あー、そういう考えになるのな。 当たり前すぎて気にならなかったわ」


『ていうかダイきちくん……なんか大きくなっていってるような気がするんだけど……!』



 意思の……いや、これは器の話ね。

 そうか、愛莉もオレの人間としての器が大きく成長していることにやっと気づいたか。



『うわわわわ!! これどうすればいいのーー!?!?』



 まったく……ちょっとしたことで慌てるとは精神が鍛えられておらんな。

 オレは脳内でギャーギャー騒いでいる愛莉の声をひと通り聞いた後、落ち着いたトーンでアドバイスしてあげたのだった。



「愛莉さん」


『な、なに!? これどうすれば!?』


「金……筋トレするんじゃい」


『きんと……ハッ』



 愛莉が何かを察したのだろう。

 今はオレの魂と少なからず繋がっているためオレの顔面が少しずつ赤く……熱くなってくる。



『ダ、ダイきちくん……何か別の方法は!?』


「ないんじゃい」


『でも、するとしてもどうすれば……!?』


「一昨日、目の前で見てたやろがい」


『ーー……!!!!』



 それからのことはお察しの通り。


 いやー、憑依……堪らんね。

 なんせその憑依者の加減で手が勝手に動いてるんだから、自分の体なのにいつもの感覚と全然違うわけよ。 あ、腕立て伏せの話ね?



 だから今宵の筋トレは一味も二味も違っていて気持ち……EEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!



 いつも以上の達成感がオレの脳全体へと染み渡っていく。



『ダ、ダイきちくん……っ、これ、凄いいいいい!!!!!』



 ほう、愛莉も筋トレの良さが分かるとはこれは素質有りだ!!!



「ふふふ……そうだろうそうだろう」


『うん、なんていうのかな……一瞬天に上がって悪いものだけを排除してくれたような感覚』


「うむ。 その天に上がることを『成仏』以外の言い回しでイ……ゲフンゲフン、『逝く』って考えた人は天才だよな。 それに愛莉さん、さっきの『悪いものだけを排除してくれたような感覚』ってのはいい例えだね」


『そ、そうかな……』


「かなりいい。 まるで天界に行ったら、それまで自分に憑いていた悪いものだけを不動明王様が斬り捨ててくれた……みたいな夢のような感覚……」



 ーー……ん? 不動明王様……?



 オレがその単語……『不動明王様』という言葉に妙に引っかかっていると、愛莉が『どうかしたのダイきちくん』と尋ねてくる。



「いや、話変わるんだけど不動明王様って確かあれだよな、前に陽奈にあげたお守りの……」


『そうだね。 あの時は私が陽奈ちゃんの代わりに苦しみを全部背負ってたんだけど、身代わりお守りに入られていた不動明王様のお力でかなり楽になれたんだよね』


「え、じゃあそれって今回のことに関しても力になってくれるんじゃね?」


『ほんとだ』



 ◆◇◆◇



 翌日。 おそらくは福田祖父母から連絡が届いていたのだろう……朝っぱらから陽奈がスーパーハイテンションでウチに突撃してくる。



「ダイきちーー!!! おはよーー!!」


「おお陽奈。 前にあった時に比べてかなり日に焼けてんな」


「そりゃあそうだよ! 陽奈、外で遊ぶの大好きなんやけん!」


「ほう、それはちょうどいい。 じゃあ陽奈、オレこれから行きたい場所あるんだけど、陽奈も行こうぜ」



 そう提案すると陽奈は頭上にはてなマークを浮かばせながら「ダイきちの行きたいとこ?」と首を傾げる。



「あぁ。 陽奈も来てくれたら嬉しいんだけどな」


「え、じゃあ行こっかなー!!!」



 よし。

『よし』



 オレは心の中で憑依中の愛莉と声をシンクロ。

 その後愛莉に「計画通りだな」と囁くと、愛莉も『うん』と答えたのだった。



「ん? ダイきち……何か言った?」


「ううん何も」


「それで、どこ行くん?」


「神社だ。 移動費はオレが出す。 もちろん途中の飲み物代も飲食代もオレが奢る。 どうだ?」


「いくいくやったあああああああ!!!!!」



 陽奈はピョンピョン飛び跳ねながら大歓喜。



 ーー……うん、やっぱりこの陽奈を見ると安心するぜ。



 ということで早速オレは陽奈とともに神社へと出発することに。

 優香の入院中に結城と一度来てるからな……オレは一切迷うことなく目的の神社へと到着し、あのお守りを買うため陽奈と共に本堂までの長い階段を駆け上がっていったのだった。

 


「ほーらぁ!! ダイきち、遅いよおおーー!!!」



 遥か先……あり得ないスピードで駆け上がり先にゴールした陽奈が「早くー!」と楽しそうに手を振ってくる。



「ちょ、ちょっと待てって……! こちとら1人半分憑依させつつの昨夜フィーバーで体力ねぇんだよ。 てか陽奈のやつ……体力ありすぎだろ! 4ヶ月くらい前に入院してたとは到底思えねぇ……!」


『でしょ? 陽奈ちゃん……私が今のダイきちくんみたいに憑依してても、「なんか体重いー」って言いつつ家の中で動き回ってたんだから』


「さすが活発少女……」



 茜の心臓……頑張ってんな。 これからも頼むぜ。



 オレは心の奥底で陽奈に臓器を提供してくれた茜に感謝すると、「っしゃあ!! オレも負けてられねぇ……本気出すぜええ!!!!」と真夏日の中、勢いよく階段を駆け上がっていったのだった。



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[良い点] 狙いを定めて……射て!!(意味深) こしこしされたか、きれいにトイレ掃除するんだぞダイキ!! 陽菜ちゃんはかなり元気だったぜ。
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