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49 困った時はギャルJK


 四十九話  困った時はギャルJK!



 ファミレスで工藤と解散して家へと帰宅している途中、ポケットの中に入れてあるスマートフォンが振動する。

 確認すると画面にはあの金髪ギャル……ギャルJK星からのメール受信の通知が届いていた。



【受信・星美咲】やほー弟くんっ! とりあえずアタシから言えるのは、お姉ちゃんはビッチじゃないよー。


 

 やはりギャルJKともなると文章までギャルっぽいな。

 オレはすぐさま返信するも、再び一瞬でそれに対する返信が届いた。



【送信・星美咲】メールありがとうございます。 でも、どうして星さんはアレをお姉ちゃんに渡してたんですか?


【受信・星美咲】まぁ小学生の君に教えるのも気がひけるんだけど……キミのお姉ちゃん、恋してるのさ。 だからアタシは背中を押してるだけ! まぁアレは……いわゆる恋愛成就のお守りみたいなものかな??



「え」



 オレはギャルJK星からの返信画面を見て固まる。


 今のJK世代ってあの四角いコンパクトな袋が恋愛成就のお守りになってるのか?

 なんという時代……オレは前世もアニメ漬けの生活を送っていたためか、そこらへん全然詳しくないからすぐに否定できないあたりかなりジェネレーションギャップを感じるぜ。


 ーー……じゃあ前にコンビニに行った時、優香はわざとアレと絆創膏を間違えたふりをして買ったのか? 恋愛がうまくいくように?


 オレはそれについてもギャルJK星に聞いてみることに。

 そしてその返信内容を見たオレはホッと胸を撫で下ろしたのだった。



【受信・星美咲】んーにゃ、それはゆーちゃんの天然行動だね! たまーにゆーちゃん、そういうドジするところがあるからその件に関しては悩まなくていいと思うベー。



 なんだろう、面と向かって話してないのにこの安心感。 やはり身近な友達の言うことだからだろうか……一気にオレの中の不安感が消えていくのがわかる。

 こうしてオレは心が晴れ渡った状態で家に到着。 なんだかんだで疲れていたのでリビングのソファーに倒れこむと、再びポケットに入れていたスマートフォンが振動……ギャルJK星からのメールが続けて送られてきていた。



【受信・星美咲】あ、ちなみにゆーちゃんまだ男を知らない純白な乙女だから、彼氏ができるまではキミが守ってあげるんだよー。



「ーー……!!」



 なんという事実!! なんという朗報!! 

 やっぱり純白な清楚は正義なんですじゃあああああああああ!!!!


 このメールを見たオレのテンションは爆上がり。

 しかしそれと同時に、どうしてあんなにも美人で可愛い優香が未だに清純なんだという疑問点が浮かび上がる。

 優香みたいな女の子が告白したら世の99・9パーセントの男は喜んで承諾するだろう。 なのに優香が留まっている理由って……



 まさかオレの世話のせいで恋愛に躊躇してるのだとしたら……



「教えてくれるか分からないけど、あとで聞いてみるか」

 


 オレは心に強い意志を持ちながら鼻歌を歌いながらキッチンに立っている優香に視線を向けた。



 ◆◇◆◇



【夕食時】


 

「ねぇ、お姉ちゃんって好きな人いるの?」


「ぶーーーーーっ!! ちょ、ちょっとどうしたのダイキそんないきなり!!!」



 突然のオレの話題振りに動揺したのか、優香が口に含んだ味噌汁を少し吹き出してコホコホと咳き込みながらオレを見る。



「いやー、なんとなく?」


「なんとなくで聞くタイミングじゃなかったでしょどうみても!」



 ーー……ダメか。



【お風呂上がりのリビング】



「そういや風の噂で聞いたんだけどさ、お姉ちゃんが前にポケットから落とした四角いあの袋、最近じゃ恋愛成就のお守りとして持ってる人多いんだってね」


「ええぇ!?!? ダイキ、それ誰から聞いたの!?」


「道を歩いてた女子高生が、お姉ちゃんが前に落としたのと似たような袋持ちながら話してたんだよ。 てことはお姉ちゃん、恋してるの?」


「言わないよ!? いてもいなくても言わないよ!?」



 優香が顔を真っ赤にしながらオレから目をそらす。


 ーー……くそ、ここで『いる』って言ってくれないと次に進めないぞ。


 これ以上問い詰めるのも酷だと感じたオレはおとなしく部屋へと戻ることに。

 しかしこれで完全に諦めたわけではないぞ?



 そう……困った時はこの人!! ギャルJK星!!!



 部屋に戻ったオレはすぐにギャルJK星にメールを送信した。



【送信・星美咲】ちなみにお姉ちゃんが行動に移せないのってオレがいるせいですかね?



 すると案の定、ものの数秒で返信が返ってくる。

 さっきまでもそうだったのだが、こんなに早く返ってくるとかもしかして日中ずっとスマートフォン弄ってるのか最近のJKは。

 そんなことを思いながらもギャルJK星からの返信を確認した。



【受信・星美咲】ううん、それはゆーちゃん言ってなかったなー。 弟くんのこと好きって言ってたし

 


 オレのことを……す、好きだってえええええええええ!?!?!??



「イェス!! イェス!!!」



 優香のオレへの好感度を知ったオレは片言の英語を口にしながらベッドにダイブ。

 ギャルJK星から送られてきた『優香がオレのことを好き』と書いてある文章をニヤニヤしながら何度も読み返していたのだが……


 

 いや、待てよ? 『弟くんのこと好き?』

 それって優香は決してオレを男として見てるわけでは……


 

「オゥ、ノウ……」



 そりゃあ確かに実の弟に恋愛感情を抱く姉がいるわけないもんな。

 


 オレはガクリと項垂れそのまま就寝。

 しかしこのままでは悲しさが溢れそうだったため、ポジティブな考えに無理やりシフトさせることにしたのだった。


 

 とりあえず……アレだ。

 優香が、姉がビッチじゃなくて本当によかったなあああああ!!!!



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