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488 【小畑編】きっかけ


 四百八十八話  【小畑編】きっかけ



『恋は病』という言葉があるが、昔の人はそんな名言よく考えたものだな。

 今まで小畑にあまりそこまでの恋愛感情を抱いていなかったオレが今朝の一瞬でこうも惚れてしまうなんて。

 


 小畑に告白され了承してからというもの、オレの脳内はドSの女王……ノンノン、プリンセス小畑のことばかり。

 以降の休み時間は1時間目の休み時間と同様、女子トイレ個室に集まり密会。

 ちなみに密会といってもオレが夢抱いていたような激エロのような展開にはならず、ただただお話をしていただけというものだったのだが、オレにとってはかなり幸せな時間と化していたのだった。



 そんなこんなで昼休みの密会後、小畑とともに教室へと戻っていると「あ、そうだ」と小畑がオレの方を振り返る。



「なに?」


「放課後さ、買い物行かない?」


「買い物?」



 オレが聞き返すと小畑は「あ、違ったわ。 デートか」と少し照れたように頬を指先で掻きながら言い直す。



 ちっくしょおおおおおおおお!!!! 可愛すぎるぜ!!! オレ勝ち組すぎるだろおおおおおお!!!!!



 オレはそんな小畑の可愛さに悶えていると、小畑が「ねぇ福田、行かない?」と再度尋ね顔を覗き込んでくる。



「あああ、うんいいよ。 でも何か買いたいものでもあるの?」



 オレは文房具か何かかなーと予想して聞いてみたのだが、返ってきた言葉はまさに至高。

 その言葉によりオレの未来が一気に明るくなったのだった。



「ほら、言ったら今日が記念日じゃん? なんかお揃いのキーホルダーでも小物でもいいからさ、買おうよ」



 ズギャウウウウウン!!! バッコーーーーン!!! ドッカアアアアアアン!!!!



 これが……青春の破壊力。

 転生してよかったああああああああああ!!!!



 オレの背後に特大な雷が落下。

 もちろんオレはその提案に大賛成し、放課後になるのを今か今かと待ちわびていたのだが……



 ◆◇◆◇



 授業中。

 オレが上の空な状態で授業を受けていると、隣の席のエマが「ねぇダイキ」とオレの腕を突いてくる。



「ん、どうしたエマ」


「今日の放課後って空いてる?」


「エ、放課後?」


「うん」



 放課後は先約が……小畑との【初デート】があるのですが……。



 オレは小畑との約束をキャンセルするわけにはいかないので「すまん予定がある」と謝罪。

 その後何の用だったのかを尋ねた。



「実はさ、昨日ユリ宛に鬼マネから連絡ってか相談があったんだけどね」


「うん」



 そこからエマが話しだしたのは小畑が受かっていた妹グループオーディションで合格した2人の話。

 どうやらその2人はもうすぐデビューだというのに、2人ともどこか前ほどの煌びやかさを放っておらず……かつ振り付けも納得のいくものにはまだなっていないとのこと。



「え、それやばくね」


「うん。 それでね、今日の夕方にテレビでも生放送するらしいんだけど……もうすぐデビューするってことを発表する簡単なゲリラ記者会見があるの。 でも2人とも緊張しちゃっててちゃんと成功するか心配なんだって」



 なるほど。

 それは確かに心配だな。



「ーー……それでオレには何をしてほしかったんだ?」


「いや、ダイキなら何かいい案……緊張をほぐすいい方法思いつくんじゃないかって誘ってみたんだけど。 予定があるなら仕方ないわね」



 エマは小さくため息をつきながら「まぁ鬼マネやユリのことだから会見までにはいい案思いつくとは思うんだけど」と付け加えてその話は終了。

 その後オレは普通に授業に向き直り時計を眺めていたのだが……



 ーー……あれ、だったら小畑、買い物してる場合じゃなくね? 会見あるなら一緒に切磋琢磨した仲間なんだしテレビの前でも見守っていた方が絶対にいいよな。



 気になったオレは放課後小畑と校門前で合流するやいなや、すぐにその話を切り出すことに。

 するとどうしたのだろう……先ほどまで「んじゃ、行こっか!」と楽しそうにしていた小畑が急に視線を落として黙り込む。



「う、うん。 知ってるよ。 今日ネットニュースでみた。 夕方するんだよね」


「何だよ知ってたのか。 だったら話は早い、今日の買い物は一旦中止してその会見観るのに変更しない?」



 そうだよな、記念日に記念のものを買うというのもロマンチックでいいんだけど、あの2人が正式にテレビに初めて映る日なんだ。

 小畑にとっては最終オーディション以降久しぶりの画面越しの再会……何とかして会わせてあげたい。

 オレはそんな小畑の幸せを願って再度提案してみたのだが、小畑の反応は決していいものではなかった。



「ーー……いや、いいかな」


「何で?」


「だって私にとってはいい思い出だけど、あの2人にとっては私裏切り者だもん。 ほら、福田も言ってたでしょ? 私は所詮『元・チームメイト』だし」


「いやだからあれは言葉のミスっていうか」


「いいの事実だから!」



 小畑は「ほら行くよ!」とオレの腕を強く引っ張りながら駅のある方へ。

 どうやら電車で大きめのショッピングモールへと向かうらしく電車に乗り、その間オレは無言で小畑のワザとらしくテンションをあげた話を聞いていたのだが……



 ーー……うん、やはりアイドルは絆があってこそだ。

 ここは何としても小畑に再会してもらうぜ。



 オレは何か小畑の心境を変えさせるヒントがないものかとスマートフォンで【メンバー脱退 仲間の思い】と検索。

 するとこれはどういうことだろう……一番上に表示されたのはこんな文章・トピックだった。



【大人気アイドルグループ・ニューシー。 デビュー開始から15周年という節目に脱退した2名についての本音を語る】



「ーー……ん?」



 意味がわからず首を傾げていると、小畑が「何調べてんの福田ー」と画面を覗き込んでくる。

 そういや小畑のやつ、ニューシー好きだったよな。

 オレはその記事がどういう意味なのか尋ねることに。 そして小畑の口から放たれた衝撃の事実がオレの脳を一気に活性化させたのだった。



「いやさ、ニューシーって4人だよね? 前はもっといたの?」



「あーそれね。 そうそう、ニューシーって最初は9人だったんだよ。 でもデビューしてすぐに1人辞めて抜けちゃって、んでその次に不祥事で2人抜けて6人になったんだけど、その数年後にはその時人気トップ2だった2人が脱退したんだよね」


「ええええ、そうなの!?」


「うん。 ちなみにそのトップ2だった2人はニューシー脱退しただけで、ソロや他の掛け持ちしてたグループで専念したんだけど」



 小畑が「まぁ私は4人になってからのファンだからそこまでだけど、最初から好きだったファンはショックだったんだろうねー」と小さく呟く。



「確かにね。 え、じゃあその今のニューシーの4人は抜けた人のこと恨んでるのかな」



 そう尋ねると小畑は「んなわけないじゃん」と即座に否定。

「一緒に頑張ってきた仲間にそんな感情抱くわけなくない? てかそのこともインタビューとかライブのMCでハッキリ言ってたし。 脱退はショックだったし最初はギクシャクしかけてたらしいけど、今は普通に仲良しらしいよ」と付け加えた。



「へぇー。 ギクシャクしてたんだ」


「うん」


「それでも今は仲良し……と」


「うん。 歌番組とかそういうので一緒になったりした時に話したりしているうちに、心の壁が消えたんだって」



「!!!!!」



 それだああああああああああああああ!!!!!!!!!



 オレはすぐにエマにメールを送信。

 その会見が正確にはどのくらいの時間に始まるのかを尋ね、その会見までのオレと小畑の行動予定を一気に組み立て始めた。



お読みいただきましてありがとうございます!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] デートですか。 このまま王道ど真ん中青春恋物語をいくんですか。 そうなんですね、小畑ちゃん! でも、橘ちゃんと五條ちゃんの件にケリがつくまではそれもおあずけだぜ!! がんばれダイキ!
[一言] 蹴りがない? これ小畑さん、かなりまいってる?
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