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485 【小畑編】そういうこともある!


 四百八十五話  【小畑編】そういうこともある!



「えーと……というわけで運んできました」

「ーー……運ばれてきました」



 福田家・玄関先。

 オレは絶賛熱中症ということで小畑に背負われながらオレの家へ。

 熱中症特有の気持ち悪さからあまり言葉を発するのが辛かったオレに代わりに、小畑が簡単に優香へと説明してくれたのだった。



「う、うんありがとう美波ちゃん。 でもなんでダイキが急にそんな?」



「それはあれです、もうお姉さんからも怒ってほしいんですけど、福田くん私のスカート……」



 ーー……言わせませんよ?



 オレは一箇所だけ元気な……どことは言わないが主張の激しい怪物を小畑の腰上にグインと当てる。

 そりゃあ服越しとはいえ女子の体に当てられ押し付けられていたんだ。 それくらい当然のことだろう。



「あふん!?」



 突然の攻撃に驚いた小畑が変な声を上げる。



「ど、どうしたの美波ちゃん!」


「い、いいえなんでもないです! と、とりあえず福田くん連れてきたのでお姉さん、パスしていいですか!?」


「う、うん分かった!」


「ーー……ククッ」



 ん?



 急に小畑のやつ、どうしたんだ?

 小畑は一瞬オレの方を振り向きニヤリと笑うと、優香に背を向けて「じゃあ……お願いします」とオレを差し出した。



「え、ちょ……小畑さ……ウェエエ……ぎもぢわる」



 いきなりの方向転換の遠心力についていけずオレは一瞬ウエっとなるもそれを必死にこらえる。

 そしてそんなオレに視線を向けたままの小畑が優香にこう伝えたのだった。



「福田くん、まだ気持ち悪そうなのでお姫様抱っこで抱えながらソファーとかに運んだ方がいいかもです」



 ーー……!!!!

 こいつ……やりやがった!



 激しく動けないオレは為す術もなく優香のもとへ。

 そしてその後は小畑の即興なのだろうが計画通り……小畑の言った通りにオレをお姫様抱っこのような形で優香が受け取ると、もちろん主張の激しい箇所へと優香の視線がいく。



「ダ、ダイキ? 熱中症……なんだよね」


「はい」


「にしてはなんていうのかな……元気だね?」


「そうでしょうか」


「うん。 でもあれかな、マラソンとか激しい運動をした後にそうなる人もいるっていうし……熱中症でもそうなっちゃうものなのかな」



 優香は一人ブツブツ呟きながらも小畑に「わざわざここまでありがとう」と頭を下げる。

 そしてそんな小畑も「いえいえそんな。 じゃあ私はこれで……」と帰ろうとしたのだが……



「ーー……あ、あれ?」



 そう。 いかに小畑に体力やガッツがあるとはいえこの暑い中オレを背負ってここまできたんだ。

 階段まで上らせて無理をさせてしまったのだろう……一歩踏み出した小畑の膝がまるで力が抜けたかのようにガクンと曲がりバランスを崩す。



「ええええ、美波ちゃん大丈夫!?」


「あーははは、はい、ちょっと疲れただけだと思うので歩いてるうちに治ると思います」


「もう今夜はうちに泊まった方がいいよ。 お母様には私から電話するから」



「「え」」



 優香の提案にオレと小畑の声がシンクロ。

 小畑が「え、でも流石に迷惑じゃ……」と断ろうとするも、優香は「そんなわけないよ。 迷惑かけちゃったのはこっちなんだから」と小畑の手を掴む。



「え……えええ、どうしよ」


「それかタクシー呼ぶよ。 もう暗くなってくてるし1人で帰ろうとしないで」



 こうして優香は『今夜ウチに泊まる』or『資金は優香出しのタクシーで帰る』の2択を小畑に掲示。

 それを受けた小畑はしばらく考えていたのだが、帰る過程やお金を出させることに抵抗があったのだろう……「それじゃあ……一晩お世話になっていいですか」と深々と頭を下げたのであった。



 ーー……てかほんと小畑ってあれだよな。 普段は自由なドSの女王のくせに、なんだかんだで言葉遣いわきまえてるよな。



 ちなみにその日の夜、小畑は優香の部屋で一緒に寝ることに。

 就寝時にはオレの熱中症の症状もかなり和らいでいたこともあり、オレは洗濯し乾かしている小畑のパンツを改めて拝もうと音を立てないよう優香の部屋の前を通り過ぎようとしていたのだが……



「あああああ!!! お姉さん!! これ私が持ってるのと色違いだ!!」



 扉の向こうから小畑のテンションの上がった声が聞こえてくる。


 ーー……なんの話だ?


 少し気になったオレは扉に耳を近づけ聞き耳をたてることに。



「ええええ!? 美波ちゃん、もう持ってるの!?」


「はい! 超初期のファンからプレゼントで届いたんです!」


「そ、そうなんだ」


「でもやっぱり凄いな。 高校生にもなると道具使うの当たり前になるんですね!」


「え?」


「だって優香さんもそれでやってるんですよね!?」


「な、何を?」


「決まってるじゃないですか! オナ……」


「うわあああああ!!! 美波ちゃん!! 向こうの部屋にはダイキもいるんだから、聞こえちゃまずいよ!」



 !!!!!!



 ま、間違いない!! 今2人が話している内容、それは……



 THE・思春期☆女子トーク!!!!



 オレはゴクリと生唾を飲み込み荒ぶり始めていた息を必死に殺しながら2人の声に集中する。



「大丈夫ですって! きっと福田くんもう寝ちゃってます!」


「そ、そうかなぁ」


「そうですって! ていうかお姉さん、ちょっと質問あるんですけどいいですか?」


「なに?」


「私、一応ネットとかでも調べてその先端の当て方……とか色々調べたんですけどどれが正解なのか分からなくて。 なのでお姉さん、ここでやってみてくださいよ!」


「ここでやっ……えええええええええええええええ!?!?!?!??!」



 ええええええええええええ!?!?!?!?!?



 まさにこれこそドSの女王。

 


 声しか聞き取れないので中の様子はまったく分からないのだが、これは完全に年下の女王が持ち前のドSスキルを駆使して最強の姫を圧倒している。

 


「ま、まさか美波ちゃん、冗談……だよね?」


「冗談なわけないじゃないですか。 あ、ちょっと待ってください、スマホをリビングに忘れたのでとってきます」


「スマホ取ってきて何するの!?」


「え? お姉さんのやり方が正しいのかネットで確認するだけですけど。 とりあえずちょっと待っててくださいね」



 それからすぐに扉が開かれ小畑が部屋の外に。

 オレはそれを感じたと同時にスーパースライディングをかまして先にリビングへと逃げ込んでいたので盗み聞きしていたこと自体はバレていなかったのだが……



「ーー……なにしてんの福田」



 そう、盗み聞きしたことはバレてはいない。

 しかしそれにより反応してしまっていたものは流石に隠すことが出来ず、リビングへと入ってきた小畑に余裕で見られてしまったのであった。



「あー、いや。 眠れないなーって思って」


「それでここでしてたの?」


「え」


「まぁいいや、私はちょっとスマホここに忘れたから取りに来ただけだから。 どうせなら男の子のそれどうやってるのか興味あるけど……まぁ今度でいいや」



 小畑はオレの上を跨り通ると、「スマホスマホー」とソファーの上で点滅していた小畑自身のスマートフォンを手に取る。



「あれ、なんか通知来てるし。 佳奈たちかな」


 

 そう言いながら小畑は電源を入れつつ再びオレを跨るために足を大きくあげた……その時だった。



「ーー……え!? わわわ、電話!?」



 ちょうどそこで着信通知が入ったらしく小畑はオレを跨いだ状態で一瞬立ち止まる。

 


「お、小畑さん?」


「え、マジ……今度は……鈴菜ちゃん?」



 小畑がそう口にすると動揺からか再び手からスマートフォンが滑り落ち、あろうことか元気になっていたオレのとある部分の上に落下。

 しかも場所が悪かったのか通話ボタンをそれでタップした判定になってしまったらしく、スピーカーから女の子の……その鈴菜ちゃんって子らしき声が聞こえてきたのだった。



『あ、出た! 出ましたよ橘さん!! もしもーし、美波ちゃん?』



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[良い点] 今日のダイキは元気だぜ! みんなさかんだ! それで受話器をとるとはさすがダイキだ!
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