475 【三好編】運命的な何か
四百七十五話 【三好編】運命的な何か
【受信・三好】福田、私のこと好き?
この文章が表示されている画面をどのくらいの時間眺めていたのだろう。
視界はその短文をずっと凝視していて体はその間フリーズしていたのだが、逆に脳は尋常ではないほどにフル回転していたのだった。
考えろ。 これは一体どういう意味だ?
『私のこと好き?』って……それは友情的な意味なのか恋愛的な意味なのか。
そしてどうしてこんな質問を何の前置きも無しにいきなりぶっこんでくるのか……。
これは一旦様子見してみるか。
【送信・三好】今メール見た。 ちなみのその質問の意味は……友達的な意味で? それとも恋愛感情的な?
よし、これで不測の事故を回避することが出来そうだ。
しかしオレが若干胸をなでおろしたのも束の間で、すぐにそんなオレの甘えた考えが粉砕されることとなる。
【受信・三好】どっちに捉えてくれてもいいよ。
ど、どっちでもいいって……。
【送信・三好】え、えっと、なんでそんな質問を急に?
ー 約30分経過 ー
「ーー……くそ、返信無視かよ。 これ以上の質問は受け付けませんってか?」
オレは「うむむ」と唸りながらも、とりあえず先の質問『私のこと好き?』に対する答えを送ることに。
うん、やっぱこう答えるしか……ないよな。 実際三好に対してのマイナスな感情とかないわけだし。
【送信・三好】好き
ぐあああああああああ!!!! なんかもうクソ恥ずかしいぜえええええええ!!!!
オレはメール送信と同時にベッドに飛び込むと左右に高速ローリング。
そんなローリング中にもオレはなんだかんだで三好からの返信……もしくは質問に答えたことによる報酬の水着画像がすぐに送られてくるものだと思っていたのだが……
ーー……おい、返信いつ来るんだよ。
若干疲れたオレはローリングを中止して再びスマートフォンを手に。 ジッと画面を見つめて三好からの返事を待機していると、三好からのメール受信通知ではなく……着信通知が表示されたのだった。
「ウェエエエエエ!!! 電話かよ!!!」
あんな告白ともとれる文章を送ってからの会話なんて……どう話せばいいんだ!?
とはいえ無視するわけにもいかない。 オレは緊張から自身の手が震えてることに気づきつつも、そんな緊張が三好に声から悟られないよう……精一杯気をつけながら通話ボタンをタップしたのだった。
『も、もしもし、福田?』
夜ということで三好もおネムなのだろうか。
少しトロンとした三好の声がスピーカー越しに聞こえてくる。
「お、おお三好」
『今さ、大丈夫?』
「ま、まままままぁな。 それよりもあの質問って……」
『福田……』
「なんだ?」
『バーカ。 なに素直に「好き」とか送ってんの? バカじゃん」
ーー……は?
「はあああああああああああああ!?!?!?!?」
この瞬間に三好のイタズラだと確信。
オレはすぐさま自身の思考回路を【クソ甘い恋愛モード】から【対三好専用・やり返しモード】へと変更し、三好に言い返そうとしたのだが……
「おい三好お前とうとうやっちまったな!!! 流石にこればっかりはオレも……!!!」
『福田』
「なんだよ!!!!」
『福田が福田のままでいてくれて……本当によかった。 ありがと』
「お、おう!? どうした急に」
『私も……好きだよ』
「は!?」
どうせこれもまたイタズラ。
そう思ったオレはすぐに「おいオレをからかうのもいい加減にしろ!」とスピーカーに向かって一喝するも、その途中で三好サイドにより通話が切られてしまう。
「な……なにいいいいいいい!?!??!?!」
オレがすぐに電話をかけ直すも三好はそれに応じず。
てことはさっき通話が切れたのは三好の操作ミスではなく意図的ってことだよな!?
おのれオレで散々遊んで満足したってかあああああ!?!?!?
これは完全に三好に遊ばれたオレの敗北。
それからオレは自らの恋愛耐性の無さに絶望しながら夜を過ごすことに。
ちなみに電話だけでなく『なんで電話切ったの』やら『無視すんなよ』というメールも送ってみるも、三好からの返信はゼロ。 朝方目を覚ました時に1件だけ三好からのメール受信通知届いていたのだが、そこにはオレが昨夜送ったメールの返信でも報酬の水着画像でもなく……その真逆の内容が書かれていたのだった。
【受信・三好】今日退院出来るっぽい。 お母さんが迎えに来てくれるから福田、来なくていいよ。
ーー……は?
え、なに? 三好、怒ってんの?
オレ……何か三好の地雷でも踏んでしまったのか?
「い、いやいや……なんでそうなる」
オレの聞き間違いではなかったとしたら、昨夜電話越しとはいえ三好はオレに……確かに『好き』と言ってきたはず。 それなのに一方的に会話を遮断して、こうして距離を置こうとしているのはどういう心境なんだ?
結果、オレと同伴してくれていた教師にも三好母からの伝言が学校から届いたらしく、オレたちはそのまま帰ることに。
帰りは電車を乗り継いで帰ることとなったのだが、その際オレが見ていたのは送られてきていたはずの水着写真ではなく、同伴教師が昨日撮影していた野鳥の写真となっていたのだった。
しかし家に帰りスマートフォンを充電しようとしていた時のこと……
「ん? メールが届いてるな。 多田から……?」
【受信・多田】ねね福田、ちょっと聞きたいことあるんだけど、大丈夫?
【送信・多田】なんだ?
【受信・多田】昨日の夜さ、佳奈となんか話したと思うんだけど……
【送信・多田】うん
【受信・多田】これ、ウチが口を挟むことじゃないんだけど、佳奈……本気だよ。 それだけは分かってあげてほしいな。
ーー……は?
オレは多田からのメールを見て再びフリーズする。
【送信・多田】え、三好……オレのこと好きなの?
【受信・多田】ていうか気づくでしょ普通!
【送信・多田】でも三好のやつ、急にオレに冷たくなった感じするんだけど。
【受信・多田】それは佳奈が強がってるだけじゃん! 流石に福田ももう分かるでしょ!
【送信・多田】ーー……マジ?
【受信・多田】ぜっっっっったい、ウチが言ったって言わないでよ!!
「え……ええええええええええええええ!?!???!?!?!」
マジかああああああああああああああ!!!!!!
なんということだ、まさか三好が……オレのことを好きだなんて!!!!
これは明日どんな顔して三好に声をかければいいものなのだろうか……。
それからオレは部屋の中で、一昨日の夜に神様……美香へのお礼用として拝借した三好の下着を見つめながら明日のシミュレーションを色々と考えていたのであった。
ーー……それにしてもあれだよな。 偶然とはいえ拝借したパンツの柄がイチゴとは。
なんか運命的な何かを感じるぜ。
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