表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
474/733

474 【三好編】掴みきれない少女


 四百七十四話  【三好編】掴みきれない少女



「まさかあれが……夢じゃなかったなんて」



 どうやら三好は昨夜のあの一件……冥界に迷い込んだことは夢の中で起こっていたと思っていたらしい。

 そして先ほどまでも、オレとともに白い服を着た化け物から必死に逃げ回っている夢を見ていたとのことだった。



「じゃあ福田……結局あれはなんだったの?」



 うわわ、これは失敗したな。

 正解としては三好から昨夜の記憶を引き出した後に『そうなのか、三好はそんな小ちゃな子が見るような夢を見ていたのか』と一言添えて三好の中ではフィクションにすれば良かったものを……余計に怖がらせてしまってどうするんだよ。



「あー、なんだったんだろうな」


「私さ、あれが目の前に現れたところまでは覚えてるんだけど、そこからの記憶がないんだよね。 どうやって帰ってこれたんだろ」



 なるほどな。


 確かに三好はあの時、美香の力の影響か何かですぐに眠りについてしまってたからな。

 てことは三好は美香や上位神のことや……実は冥界に誘われて迷い込んでいた的なことも知らないってことか。



 だったら話は早い。

 オレは必死に脳を回転させて昨夜の出来事を改変させながら三好に話すことに。


 内容としては、昨夜オレたちは確かにガチな幽霊に遭遇……オレたちを襲おうとしてきていたのだが、オレも三好同様途中で意識を失ってしまい気づくとホテル前で倒れていたというものだ。



「えええ、あれから福田も気絶したの!?」



 オレの改変シナリオを聞いた三好が目をまん丸に開かせながらオレの腕を掴んでくる。



「そうだな。 だからオレもどうやって戻って来られたのかは分からん」


「そっか……」


「でもまぁいいじゃないか、結果こうして無事で帰れたんだからさ」



 どうせ三好に回りくどい言い訳をしても理解してくれるわけがないからな。 ここは無理やりにでも納得してもらおう。


 オレは「結果オーライじゃないか、なぁ三好」とワザとらしく笑いながら三好の頭をワシャワシャと撫でる。

 そして三好もそんなオレの話の着地のさせ方に若干の不満があったようにも見えたのだが、「まぁ……確かにね。 無事だったのは良かったって思うけど」と頷いたのだった。



 うおおおおおおお!! なんとか上手くいったぜ!!!

 これで三好も昨日の件に深く探りを入れてくることもなさそうだし、とりあえずは一件落着だ。


 オレが自身の話術と脳の回転に自画自賛していると、三好が少し恥ずかしそうに……しかしたまに視線を逸らしながら「だ、だったらさ」とオレを上目遣いで見つめてくる。



「ん、どうした」


「無事だったからもう詳しいことは考えないようにするけどさ、福田はあの時の会話……覚えてる?」


「あの時の会話?」



 オレが聞き返すと三好は何やら言いにくいのか一瞬躊躇する仕草を見せる。 しかしそれも一瞬で、すぐに決心がついたのかオレの手を握りまっすぐオレを見上げて口を開いた。



「その……私と福田が夫婦になったら……みたいな話」



「!!!!!!!!!」



 まさに突然。

 オレの脳内で昨夜のそのシーンが急速で再生されていく。



「な、なななな、何言ってんだよ三好……!」


「福田……顔真っ赤。 てことはやっぱりあれも夢じゃなかったんだ」



 うわあああああああ!!!! 恥ずかしいよおおおおおお!!!!



 これによりオレの顔面も三好に負けず劣らずの赤面に。

「ーー……そうだな」と顔を隠しながら小さく答えると、三好はそんなオレを見て「そっか、へへへ」と微笑んだ。



「な、なんだよ」


「なんでもない、へへへへへ……」



 オレと三好の周囲に目には見えない桃色の空気が漂いだす。



 な、なんなんだこの不思議な空間はああああああああ!!!!



 あまりの恥ずかしさからオレは三好に背を向けて顔の火照りが冷めるのを待つことに。 

 オレが必死に別のことを考えて気を紛らわしていると、先ほど別の患者の問診へと赴いていた医師と看護師さんが再登場。 これから別室で三好の検査をするということで、この日はここでお別れとなってしまったのだった。



 と、とりあえず助かった。

 


 オレは安堵のため息を漏らしながらベッドから降りようとしている三好を窓の反射越しに見つめる。

 そしてオレも『じゃあオレもビジネスホテルに戻って……何しよっかなー』などと考えていたのだが……



「あ、そういえば福田、麻由香から水着写真届いてたよ」



 看護師さんに背中を支えられながら部屋から出ようとしていた三好が「そういえば」とオレに振り返り話してくる。



 水着……?



 あ、あああああああああ!!!! そうだったあああああああああああああああ!!!!!



 オレはすぐに体の向きを窓の方から三好の方へと勢いよく回転させてスマートフォンをポケットから取り出す。



「よし! 送ってくれ今すぐに!!!」


「だめー、今から私検査だもん」


「じゃ、じゃあ終わってからでも!!!!」


「んー、どうしよっかなぁー。 だったら私、メールで福田に聞きたいことあるから……それに答えてくれたら送ったげる」



 聞きたいこと……一体なんだろう。

 オレは三好の聞きたいことがなんなのか予想しようとしたのだが、そんなことよりも画像だ! 美少女JSたちの水着画像だ!!!



「な、なんだか分からんが分かった!! じゃあメール待ってるぞ!!!」


「うん」



 こうして三好はオレに小さく手を振りながら医師たちとともに部屋を出て検査室へ。


 その後オレはビジネスホテルに戻ったのだが同伴していた教師は『趣味の野鳥の写真を撮ってきます』との置きメモがあったため部屋にはオレ1人だけ。

 スマートフォンでネットサーフィンをしながら過ごしていると知らない間に眠りについてしまい……目を覚ました時には外はもう真っ暗。 時間を調べるためにスマートフォンの電源をつけると、三好からのメール受信通知が届いていたのだった。



「よっしゃあ! ちゃちゃっと質問に答えて画像送ってもらって……これは色々と捗るぜええええええ!!!」



 オレはすぐにメールを開いて目を通すことに。

 しかしそこに書かれていた内容にオレは目を疑ってしまうのだった。




【受信・三好】福田、私のこと好き?

 



お読みいただきましてありがとうございます!!

下の方に星マークがありますので、評価していってもらえると励みになります嬉しいです!!

感想やブクマ・レビュー等、お待ちしております!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 三好ちゃん、大丈夫だったか……よかった。 元気そうでなんとか無事そうだ。 最後……なんという策士なんだ! 好きと答えたら水着写真もらえなさそう。
[一言] 素直じゃねぇーなぁー! けど、そこか良き!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ