471 【三好編】化け物の正体!【挿絵有】
四百七十一話 【三好編】化け物の正体!
突如目の前に現れた体長3メートルくらいの白い服の何か……いや、化物。
三好がオレを庇い囮になろうとしたのでオレはその意思に反して化け物に突進すると、腰辺りに触れた箇所がフニッとした感触。 なのでオレはこいつを男だと勝手に確信し、服の下に腕を潜り込ませて大切な弱点を突こうとあの必殺技を披露する。
「くらえ……パンツ・ロック!!!!!!」
指先に何かが触れたと同時にこれは布ではない……履いていないとオレは判断。
ならば手間が省けるぜとすぐにぶら下がっているであろう何かを探そうと手を動かしたのだが……
「ーー……!! ついていない……だと!?」
オレはそんなはずはないと少々粗めに触れている箇所の周囲を撫で回しながら捜索することに。
しかしいくら捜索しても弱点箇所が発見できず。 オレは意味がわからず視線を服の下の方から全体へと移してみることにした。
「え……なんだ」
これも化け物特有のものだというのだろうか。
白い服の中で何やらモゾモゾ動いている。
「ふ、福田……あれって……」
「あぁそうだな三好」 ここで逃げるのが正解かもしれないが後々のことを考えて犯人の顔くらいは見ておいて損はないだろう。
オレはすぐに白い服の裾を掴むと、勢いよくそれを上へとズリ上げた。
「にゃ……にゃんにゃにょやあああああああああああ!!?!?!?!??」
ーー……え。
◆◇◆◇
「さ、最悪なのやぁ……」
化け物じみた身長の白い服の何かの中身。
服を捲りあげたオレの視界は2人の姿が写っており、手前の1人は見たこともない顔。 ピンク髪で天使の羽のようなものを背中付近で浮かせている。
そしてその奥でひっくり返っていたもう1人こそが……
「むぅ……久しぶりの感覚に酔いしれてたのにどうしてこうなる……」
「み……みみみみみみみ美香ぁああああああ!?!?!!??」
そう、そこにいたのは茜にその肉体を譲渡し、もはや会うことも叶わなくなったはずの神様……与田美香の姿。
美香はオレを見るなり「よ、久方ぶりじゃのう」と無表情のままピースサインを向けてくる。
「ど、どどどどうして!?」
「それは愚問よ。 ともかくまずは、後ろを見てみぃ」
「後ろ……?」
振り返ってみると、つい先ほどまで起きていたはずの三好が木の幹に寄りかかりながら眠りに落ちている。
「ええええええ!?!? 三好、どうしたああああ!!! てか秒で寝てんじゃねえよおおお!!!!」
一体どんな神経を持っていればこんな状況で眠ることが出来るんだろう。
オレは三好を起こすために三好の方へと駆け寄る。
そしてオレが三好の体に触れようとしたギリギリのところで美香が「いや、待つのじゃダイキ」とオレの行動を制止した。
「え」
「今は寝かせておいてやれ。 訳は後で教えてやる故、まずはその三好ちゃんを引率教師のもとへ……緊急でもなんでも病院に受診させることを伝えるのじゃ」
「びょ、病院? 確かに三好は風邪っぽかったけど……そこまでなのか?」
状況整理が追いついていないオレが言葉を詰まらせながら美香に尋ねていると、隣のピンク髪はオレと出会ったことがあるのだろうか……「ふぇああああ!!! 思いだしたのや!!! コヤチュ……あの時の変態と魂の波長がそっくりなのやあああああ!!!!!」とオレを指差しながら美香に視線を向ける。
「え……そうかの?」
「そうなのやあああ!! そこらへんの神なら見逃すかもしれぬがワッチは見逃さぬぞよ!! なんせワッチは天使と鬼のハーフ……上位神なのやぞ!!」
じょ……上位神!!!
なんでもありじゃねえかあああああ!!!!
なーんか脳の片隅に懐かしい記憶の感情があるのは事実なのだが、オレはこんなやつと出会った記憶はない。
オレが目の前で神様……美香に詰め寄っている自称・上位神の姿を眺めていると、美香が上位神を見上げながらニヤリと微笑んだ。
「な、なんなのや!?」
「まぁでもいいではありませぬか上位神様。 上位神様は此度のワシの人体創造を認めてしまった。 これが上層部に知れ渡れば……ワシはともかく、上位神様の処遇はどうなりますかなぁ」
「ーー……!! お、オニュシ!! ワッチを脅すというのか!?」
あの上位神の反応からしてかなり重い罰が下る……ということなのだろうか。
「脅すなんてもってのほかですじゃ。 冥界に迷い込んだあの子供たちを助けるついでに驚かせようというワシの誘いに珍しく乗り気だったのは上位神様だったではございませぬか。 だから特別に人体創造を許してくれたのでしょう?」
「じゃ……じゃないと肩車した時にオニュシのフニャが当たるのや!!」
「だったらワシが上位神様を肩車すればよかっただけの話では?」
「そ、そしたらワッチの……ワッチのがお主の首に当たるのやあ!!」
なんだか分からないけどあの上位神って子は神様の上司なのだろうか。
自分よりも遥かに見た目や言動の幼いメスガキ上司……羨ましい。
「とりあえず、ここは安心していいんだよな」
考えることをやめたオレが眠っている三好の隣に座り込むと、それに気づいた美香が「おぉ、そうじゃった」とピンク髪の上位神を無視してオレに手招きをしてくる。
「ん、話し合いは終わったのか?」
「いや、終わっとらんが……先も言ったが訳は後で話す。 まずはダイキ、お主は早くその三好ちゃんを教師のもとへ。 病院へ連れて行かせるのじゃ」
「で、でもホテル見当たらないんだよ」
「それならば問題ない。 ワシが送り届けてやる」
美香がゆっくりとオレと三好に手をかざす。
「え、出来んの?」
「まぁ……のう。 後で話すがここは現世とはまた別じゃからのう」
「ーー……?」
オレが首を傾げたのとほぼ同時。
この感覚……久しぶりだぜ。 オレと三好の体を光が包み込み……視界が白くなったかと思ったのも束の間。 気づけばホテル前にいたのだった。
◆◇◆◇
「お……おおお福田に三好! まだ出発してなかったのか!!」
オレと三好に気づいた教師が半ば呆れながらオレたちのもとへと駆け寄ってくる。
「あ、先生」
「どうした? 二人とも怖くて腰が抜けちゃったのか?」
心配していない……ということはそこまで時間が経っていないということなのだろう。
オレは先ほどの現象はなんだったんだろうとは考えながらも美香の言葉を思い出し、教師に「三好さん、熱ぶり返して苦しそうなので病院連れて行ってあげてくれませんか?」と隣でオレにもたれかかりながら眠りに落ちていた体温のかなり上がった三好を持ち上げたのだった。
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