461 【西園寺編】暴君女を制止せよ!!
四百六十一話 【西園寺編】暴君女を制止せよ!!
「ちょっと綾小路さん……落ち着いて!」
6組のいじめっ子Aはあんな酷い顔になってたんだから話が広まるのも当然か。
どこからか西園寺をハメた犯人がいじめっ子ABだと聞いた綾小路が怒りモードフルスロットルな状態で4組の教室から出ようとしていた。
はぁ……仕方ねぇなぁ!!!
オレは急いで綾小路のもとへ。
怒り狂う綾小路に顔を近づけ「おい綾小路、もう終わったんだ大丈夫だ」と声をかけるも格闘技により鍛えられた拳がオレの顔面に飛んでくる。
「うるさい!!!!」
「ぶベェ!!!!」
オレの体はスクリューのように回転しながら後方の壁に激突。
クッソ……あいつ容赦ねぇなぁおい!!!!!!
鼻からは熱い何かが滴り落ちている……おそらくは結構な量の鼻血が出ているのだろう。
「いてててて」
しかしもう成瀬は許した。 後のことは西園寺が決めるだけ。
綾小路もこれ以上周りからのヘイトを溜め込んでどうする。 JSはJSらしくキャッキャ百合百合しておけばいいんだよ!!!
もしこのまま綾小路を6組に行かせてしまえば十中八九いじめっ子Aは血祭りだ。
そうしたら今度は綾小路が謹慎処分……西園寺に余計な責任を感じさせてしまうじゃないか!
そうはさせない……そう、オレはJSの友情・絆・百合が大好きなロリコン紳士・福田ダイキ!!!
JS同士の尊い絡みはオレが守ってみせる!!!
オレはすぐに立ち上がると6組目掛けて突き進む綾小路に後ろからタックル。
こうなればお前にもお見舞いしてやるぜ。 食らうがいいオレの必殺技……
パンツロック!!!!!
オレは光の速さでスカートの中に手を入れると股のあたりで触れた布を引き下げようとしたのだが……
「ーー……!?!? あれ!?!?」
一般的な布地ではないのかオレの指がツルンと滑りパンツロックは不発。
オレが動揺している僅かな間にすぐさま綾小路がオレの方へと振り返りーー……
「残念だったね。 今日アタシはスパッツ履いてんだよ!!!!!」
「ス……スパッツ!!!!!!」
勢いよく飛んできた綾小路のサッカーシュートのようなキックがオレの下半身に命中。
いい感じのクリーンヒットでオレは「グエアアアアア……」と大ダメージを受けた箇所を押さえながらうずくまったのだった。
「チッ、これ以上アタシに絡まないで」
男の急所を撃ち抜いたんだ。 これで勝利を確信したのか綾小路は静かにオレから視線を外すと再び6組へ。
そしてオレの痛みが見ているだけで連動したのだろう……股間を押さえながら道を開けていく男子たちに舌打ちをしながら指をポキポキと鳴らし「待ってろよ!!」と戦闘態勢に入っていた。
しかしこの時……綾小路はまだ気づいていなかったんだ。
その後ろで妙に興奮しながら立ち上がり近づいてきていたオレの存在に。
「ちょっとダイキ……大丈夫なの?」
後ろからエマが「もうやめときなさいよ」と耳打ちをしてくる。
「なんで」
「だってダイキさっきオチン……あそこ蹴られたんでしょ? エマにはその痛さがどんなものか分からないけど……立つのもやっとのはずよね?」
「そうだな」
「じゃあなんで……」
「あの時若干興奮して正解だった……」
「え?」
「大丈夫だエマ。 オレの宝は防御力の上がった壁のおかげでギリギリ潰されずに済んだ」
このオレの言葉を受けたエマは意味がわからなかったのだろう。 首を傾げながら「つまり……どういうこと?」と尋ねてくる。
「分からないか? エマ」
「う、うん……」
「じゃあエマ、今から静かにオレがさっき蹴られた箇所を見てみろ」
「ーー……?」
エマは不思議がりながらもオレに言われた通りに視線をゆっくりと下へ。
すると何かに気づいたのか、「えっ」と若干引いたような声が口から漏れた。
「分かったか?」
「え……うん。 てかなんでこの状況で大きく……」
「さっきのパンツロックだ」
オレは目の前で先に進んでいく綾小路を睨みつけながらクールに呟く。
「ーー……は? パンツロック? 何言ってんのダイキ、もしかしてアソコ蹴られて頭までおかしくなっちゃった?」
「オレはさっきアイツ……綾小路のパンツをずり下げようとしたがスパッツを履かれていたことにより失敗した。 しかしその時オレの指は確かに触れたんだ。 男の楽園……そう、あいつの秘境に!!!!」
「え……ええええええ」
「その瞬間オレの防御力は一気に上昇……故にあの強烈キックを受けてもなお立ち上がることができたんだ!」
「で、でもそれでも痛いはずじゃ……」
「JSの蹴りは別だ!!!!!」
「!?!?!?!?」
それからはエマも理解してくれたのかオレを止めず。
なのでオレは今度は蹴られないように……という名目のもと、綾小路の両足を抱きかかえるようにホールドしたのだった。
「くっ!!! 福田なんで立てて……てかもう邪魔しないでって言ったよね!?」
「邪魔? するに決まってんだろ、お前それで余計に西園寺が悲しむって分かるだろ」
「でもあいつらは西園寺に悲しい思いをさせた!!! だからアタシが復讐しないと!!!」
「ナンセンスだ綾小路! どうしても行くというのならオレも容赦しないぞ」
「は? それどういうこと? やれるもんならやってみなよ!! アタシはそれでも福田……お前を吹っ飛ばしてでも仕返しに行くから!!!!」
「ーー……そうか、わかった」
オレは未だ綾小路の両足をガッチリとホールドしたままポツリと呟く。
まさかここで使うことになるとはな。
ーー……オレが今までエロ漫画で学んできた最終奥義を。
「なに? ハッタリ? やれるもんならやってみなよ!!!!」
綾小路はオレが口から出まかせを言っていると思っているのだろう。 「ほら、どうした? 早く早く」とオレを煽ってくる。
「ーー……後悔するなよ」
そこまでお望みならば見せてやるぜ……女子に特攻効果のあるであろう必殺技……マシュマロマッサージ攻撃をーー!!!!!
オレは素早く腕を上へとあげると、どことは言わないがマシュマロのような聖域エリアを全力マッサージ!!!
純粋な君たちは横腹をくすぐっているようなものだと思ってくれれば構わない!!!
オレの知識によれば女子はこうされれば全身の力が入らなくなり、「ふぁあ……」とその場で座り込むはずだったのだが……
「な、なにやってんだよこの……変態!!!!!」
「なんでええええええええ!?!???!!?」
まさかエロ漫画の情報が間違っていたとでもいうのだろうか。
再びオレの顔面には綾小路の強烈な拳が炸裂。 流石に意識が朦朧としたので必死にバランスをとっていると、これを勝機とみたのだろう……綾小路がオレに止めを刺す為にこちらへゆっくりと歩いてくる。
「ぐっ……なんで効いてない……意味が分からん」
「それはこっちの台詞。 もう邪魔して欲しくないからそこで眠ってな」
オレの虚ろな視界が捉えたのは綾小路がオレの頭めがけて放ってきた上段回し蹴り。
これは避けられないな。
オレは諦め静かに目を閉じ……そのまま意識を失ってしまったのだった。
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