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448 【結城編】思い出すアレ


 四百四十八話  【結城編】思いだすアレ



『力になれるかもしれない』



 この茜の言葉の意味は理解出来なかったのだがとりあえずオレたちは3人で結城母の入院している病室へ。

 そこでは他愛ない話が繰り広げられたり、茜が「私も入院経験あるので分かるんですけど、夜中のトイレって薄っすら電気ついてるのに怖いですよね」と入院あるあるを披露したりと結構な盛り上がり。

 結城母も別に茜に不信感等を抱いている様子はなく、「良ければこれからも桜子と仲良くしてあげてね」と優しく微笑んでいたのだった。



「あ、もちろん福田くんも桜子のことよろしくね」



 茜からオレに視線を移した結城母がオレに小さく頭を下げる。



「え、あーはい。 それはもう任せてください」


「ありがとう。 これで私の心配事が1つ消えたような気がするわ」



 何やら意味深な発言。

 これに対しオレがどう返せばいいんだよと考えていると、そこに助け舟を出すように茜が「あ、ちょっといいですか」と割り込んでくる。



「どうしたの?」


「今、私のお母さんからお医者さんとの話が終わったって連絡がきたので私そろそろ帰らないといけないんですけど……」


「あら、そうなの」


「それでですね、これも何かの縁ですし……一緒に写真撮りませんか?」



「「「え」」」



 この茜の提案に結城・結城母・オレは一瞬頭上にはてなマークを浮かべる。



「えーと、それはなんで?」



 そう結城母が尋ねると茜は自信満々にこう答えたのだった。



「これも長い入院生活の経験ある私だから分かるんですけど、何もない時間にふと写真を見たりして思い出すのって結構元気出るんですよ? 私の場合は他の入院してた子たちだったんですけど、騙されたと思って……どうですか?」



 そうして茜は結城のスマートフォンを借りて数枚の集合写真を撮影。

 その後「ではまた機会があれば」と帰ろうとしたので、オレは結城とともに茜を待合席エリアへと見送っていたのだが……



「あ、そうだ。 結城さん、ちょっといいかな」



 茜が結城に視線を向けピタッと立ち止まる。



「え? なに?」


「あのね、さっきみんなで撮った写真なんだけど、あれを印刷して……お母さんのベッドの近くに飾って欲しいんだ」


「そうなの?」



 そう結城が尋ねると茜は一瞬視線をオレの方へ。 その後周囲を見渡して人がいないことを確認すると、「ここだけの話なんだけどね……」とオレたちに顔を近づけてきた。



「最近分かったんだけど、私が写ってる写真……開運効果があるみたいなんだよね」



「「え?」」



 突然の茜の意味不明な発言にオレと結城が同時に声を漏らす。



「なぁ茜、それはどういう……」



 そこから茜が教えてくれたのは茜の実体験。


 初めは茜を壁紙にしていた父親が職場での急な昇格が決定したのがきっかけらしい。

 その後も年の影響で膝の調子が悪くなっていた茜祖父も何故か茜の写真を部屋に飾りだしてから医者も驚くレベルの完治。 小学校でできた友達とプリクラを撮った際も、その一緒に写っていた皆が臨時のお小遣いをもらえたり、好きな男子と一緒に帰ることが出来たという報告が来ているとのこと。

 そういうこともあり、もしかしたら結城母の容態も少しは良くなるかも……とのことだった。



「えぇ……すごい」



 それを聞いた結城は目を大きく見開き驚愕。

 その隣でオレは小さく「あ、そういやそうだったわ……」と小さく呟いた。



 そういやオレの前世からの親友・工藤も美香の写真を撮ったその日に宝くじの高額当選したんだもんな。

 あの時は神様のオーラかシルエットみたいなもので白いモヤが写ってたんだけど、前に神様が茜に宛てた手紙にも『その美香の体はとても神聖』って書いてたし……美香ほどまではいかなくても、いい感じの幸福オーラが出ていることは間違いないようだ。



 オレの呟きを聞いた結城が「え、福田……くん、何か言った?」とオレに尋ねてくる。



「ん? あ、いや。 なんでもないよ。 確かにそれはやってみる価値があるかもしれないね。 早速今日帰りに印刷しに行こうか」


「う、うん!」



 結城のこの嬉しそうな顔……見てるこっちまで嬉しくなってきちまうぜ。

 


 そんなオレの様子を見て茜が小さく「なるほどね」と微笑む。



「ん、なんだ?」


「ううん、なんでもないよ。 見送りありがと。 じゃあここでいいから……2人は写真の印刷、忘れないでね」



「あぁ」

「うん。 その、ありがと……堀江さん」



 こうして茜は明るく手を振りながら待合席エリアで待っていた茜母のもとへ。

 仲良く微笑み合いながら病院を出て行ったのだった。



 ◆◇◆◇



 それから約1時間後。

 オレと結城が近くの写真屋さんで先ほど撮った茜との集合写真を印刷していると、ポケットに入れていたオレのスマートフォンが振動していることに気づく。

 確認してみると……茜からのようだ。



「福田……くん、メール?」


「うん、そうみたい。 ちょっとごめんね」



【受信・茜】そういや聞きそびれたことあったんだけど……今、大丈夫?



 聞きそびれたこと……?



【送信・茜】なんだ?


【受信・茜】ちょっとだけ恥ずかしいことなんだけどね。 前の病院を退院してしばらく経ってから気づいたんだけど……美香さんが履いてたはずのイチゴのパンツがなくなってたの。 ダイきちくん……知らないかな?




 NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!




「福田……くん、どうしたの? そんな急に頭抱えたりなんかして……」



「何でもナイデス!!!!!」




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― 新着の感想 ―
[良い点] 開運効果! 茜ちゃんそんな能力まで! これで結城ちゃんの母さまも完治間違いなしだぜ!
[一言] 茜さんだったか! そうだ、茜さんの身体って神様が創ったお下がりだから、そりゃあ力あっても不思議じゃあないよね! あっ、先生、茜さんのルートも忘れずにお願い致します。m(_ _)m
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