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436 運命の結果発表!!


 四百三十六話  運命の結果発表!!



 日曜日の夕方。

 その日、メイプルドリーマー・妹グループオーディション最終審査のステージの様子をインターネット上で生配信するらしいという情報をエマから聞いたオレは、エマの家へと集合。 エマとともにパソコン画面の前で張り付きながらその時を待った。



 そしてーー……



「あ、ダイキ! はじまったわよ!!」



 真っ白な背景に『オーディション最終ステージ・生配信もうすぐ!』と赤文字で書かれた画面から、丁度今映しているのだろう……これから行われるステージの映像へと切り替わる。

 それと同時にリーダー・ユウリを中心としたメイプルドリーマーのメンバーたちが画面の前へと登場。 「それでは今日、とうとう私たちの妹となる子が決まります! これを視聴してくださっている皆さんも是非応援してください!」と深く頭を下げると、再びカメラの画面が切り替わり……これからパフォーマンスを披露する今回の参加者たちを1人1人映していった。

 もちろんその中には小畑もいるわけで……



「あ、小畑だ! おいエマ、小畑いるぞ!!」



 どうやら3人1組のチームパフォーマンスのようで、小畑の両隣には年上らしき仲間の姿。

 オレが「うわー、なんかカチューシャの子は美人だし、おでこ出してる子は可愛げがあるなー」と感想を述べていると、隣でエマが「あれ、この子って……」と小さく呟いた。



「ん? なんだエマ、どうした? 知り合いでもいたのか?」


「え、あ、ううん。 多分エマの気のせい。 気にしないで」


「そうか」



 それから数分後、最終ステージが開始。

 どうやらステージの内容はメイプルドリーマーの曲限定での披露らしく、まだオレの知らない曲が流れるとともに他のチームがステージ上へ。 パフォーマンスが始まったのだった。



 ◆◇◆◇




「お、おいエマ。 これヤベーな」



 2組のチームのパフォーマンスが終わったところでオレはエマに声をかける。



「どうしたのよダイキ」


「いやさ、今2チームのステージが終わったわけじゃん? なんつーか……レベル高すぎじゃね?」



 そう……曲はどうやらCDのカップリング曲だったらしくオレは知らないやつだったのだが、2チームのダンスのキレや歌唱力・タイミングがあまりにもクオリティが高すぎたのだ。

 それを聞いたエマも「た、確かにね。 これはエマ、辞退しててよかったわ」と小さく頷く。



「あ、やっぱエマから見ても完成度高いんだ」


「うん。 まぁエマもそこらへんは素人だから細かくは分からないんだけどね。 でも例えば2組目のセンターの……大学生の子かな……エマはあんなに高く正確にジャンプとか出来ないわ。 あれは体幹お化けね」


「な、なるほど」



 エマがそこまで言うくらいなんだからかなり優秀なのだろう。


 エマが『体幹お化け』と言っていた大学生……もしかしてあれかな、採用されたら運動神経抜群枠とかに入るのだろうか。

 そんなことを考えていると3組目のステージが開始。

 そしてその次の4組目……とうとうオレたちの大本命がステージへと上がってきたのだった。



 一体何の曲で勝負するのだろう。



 ワクワクドキドキしながら見ていると、イントロが流れ出すと同時に画面左上に【♪ 運命はEMMAージェンシー ♪】と曲名が表示される。



「ブフーーーーーっ!!!!」



 その瞬間エマが丁度口にしていたメロンソーダを盛大に噴射。 しかしエマもパソコンに吹きかけるのは流石にヤバいと咄嗟に判断したのだろう……光の速さでオレの方に顔を向け、エマ成分を盛大に含んだメロンソーダの雨がオレの顔めがけて一気に襲いかかってきた。



「ちょ……っ! おまああああああ!!!!」



 ぶっちゃけ嬉しいしイライラ感情なんて1ミリもないのだがとりあえずエマに突っ込んでおく。



「うわああああ、ごめんダイキ! エマびっくりしちゃって!! すぐタオル持ってくるから!」



 エマが慌てて立ち上がろうとするもオレはそれを阻止。

「まぁ待てよ」と腕を掴んでカッコよく微笑む。



「え、なにダイキ! 早くタオル持ってこないと!」


「いーや、後でいいさエマ。 今から小畑のチームのパフォーマンス始まるんだ。 その後でいいだろ」


「で、でもダイキの顔、ベチャベチャになっちゃうわよ!?」


「構わん。 そんなことよりもステージが大事だ」



 こんな貴重なJS成分とすぐにおさらばなんて勿体ないからな。

 ここは少しでもオレの肌に吸い込んでもらわねば。



 結果、エマも「そ、そうなの? じゃあステージ終わったらすぐにタオル持ってくるから我慢してね」と再びパソコンの前へ。 小畑のチームのステージをともに応援することにしたのだった。



 ◆◇◆◇



 それから無事に小畑チームのステージが終了し、オレとエマは同時に安堵の息を吐く。



「き、緊張したなエマ」


「そ、そうね」



 まぁ……感想としてはあれだ。



 先ほどの大学生みたいな突出した技術等は見受けられなかったのだが、小畑のチームはなんというか独特の……優しい雰囲気漂うステージって印象だったな。 お互いにアイコンタクトをしながら微笑みあったり小さく頷きあったり……見ていてかなり癒されたぜ。



 その後残りのチームの発表が終わると生配信は終了。 どうやら約1時間後に結果が発表されるらしく、オレたち視聴者もホームページにアクセスすれば誰が内定したか分かるとのこと。

 なのでオレはエマにタオルで顔を拭かれながらその時を今か今かと待ちわびていたのだが……



「あー、完全にベタついちゃってるわね。 これもうダイキの顔を濡らさないと落ちないわよ」



 エマが「やっぱり糖分系は早めに拭かないと後が面倒ね」と言いながらオレの顔全体を力強く擦り出す。



「いたっ……! いたいいたいいたい!!! エマ、もうちょっと手加減を……!」


「仕方ないじゃない落ちないんだもの。 じゃあダイキ、お風呂場で頭濡らす?」


「ええええ、そうしないと落ちない感じか」


「だからそう言ってるじゃない」



 オレは「仕方ないな」と言いながらエマに連れられお風呂場へ。

「ここにしゃがんで」と言われ、言われた通りにしゃがみ込むと、エマが何やら「うーーん」と考え出した。



「ん、なんだエマ」


「いや、頭濡らすとは言ったけど、これ……上着も脱いでもらわないと全部濡れちゃうわよね」


「え」


「あ、そうだダイキ。 上だけ脱いでそのまま四つん這いになりなさい」



「ーー……え?」



 エマは有無を言わさずオレから上着を無理やり脱がせると「はい、ここで四つん這いね」と言いながらオレの体勢までも無理やり変更させてくる。

 するとどうだろう……エマはシャワーを片手に持ちながらオレの背中に跨ってきたではないか。



「エ……エマああああ!?!? なんで跨ってんだぁ!?!?」


「いや、だってここで跨って顔めがけてシャワーかけた方がエマ濡れずに済むじゃない」



「元はと言えばお前が……お前がかけてきたんじゃろがーーーい!!!!!」



 オレがそうツッコミを入れるもエマはそれをフル無視。

「じゃあいくわよ」とシャワーから水を噴射し、後頭部からオレの頭部全体の丸洗いを始める。


 

 背中に感じるはエマの温かさを帯びた内太ももとパンツの感触。

 そして頭は洗われているから当たり前なのだが、全体的にワシャワシャされて……まるで大げさにヨシヨシされているような感覚に陥ってしまう。



 あぁ……なんかこれ、いいかも。



 そんな至福の時間はわずか数分だったのだが、オレはこの現状に満足……その後エマに顔を新タオルで拭かれている時も終始ニヤニヤしてしまっていたのであった。



「ーー……ダイキ、なんでニヤついてんの?」


「なんでだろうな、ウヘヘ……」


「ていうかもう自分で拭きなさいよ。 髪から落ちる水でエマまで濡れるじゃない」


「まぁまぁ。 元の原因はエマだろ? そんなこと言わずに頼むぜぇ」


「だったらその膨らみどうにかしなさいよ!! 気が散るのよ!!!!!」

 


 ◆◇◆◇



 運命の時間。



 オレとエマは互いに頷き合いながらホームページにアクセス……『合格者発表ページ』と書かれたリンクをクリックする。



「くそ……アクセスが集中してるのか? なかなかページが進まないな」


「それだけみんな注目してるってことなのね。 エマもドキドキだわ」

 


 それからオレたちは更新ボタンを何回もクリック。

 するとようやく合格者ページが表示され……




【合格者・2名】



・小畑 美波


・橘 奈央




 ーー……おお?



「おおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

「きゃあああああああああああああ!!!!!!」



 何度確認してもそこに書かれているのは小畑の名前。

 オレはあまりの衝撃に両手が激しく震えだし……エマは目から大量の涙を流していたのであった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] エマちゃんに吹き掛けられるダイキ。 相変わらずである。 お、受かったみたいで何より。 で……五條ちゃん……五條ちゃんがいないじゃないか!!!
[一言] 小畑!?やりおった! しかし、これって芸能科のある学校に転校しなければならないとかない? 大丈夫なん?
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