422 禁断のカーテン!【挿絵有】
四百二十二話 禁断のカーテン!
土曜日は朝から夕方まで結城との楽しい(ほぼ)デート。 夕方からはドSの女王・小畑のお泊まりで、日曜日は昼前から小畑のアイドルオーディション第3次審査突破のお祝い。
そんな感じの結構濃密な時間を過ごしたオレは、体力の回復を完全に忘れていたせいもあり翌日の月曜日……流石に授業中に爆睡するわけにはいかなかったので、エマに口裏を合わせてもらい、1時間目の授業だけ保健室でサボることにした。
◆◇◆◇
保健室。 保健の先生は職員室にいることから思う存分ダラけることを許されていたオレは「ンアーー!!!」と大きく背筋を伸ばしながらベッドの上で横になる。
この部屋の中には今オレ1人だけ。
とはいえ、いつ誰が入ってくるか分からなかったのでオレは念には念をとベッドの周囲をカーテンでしきった後で居眠りを開始。 結構疲れていたのだろう……目を瞑るや否やすぐに夢の世界へと入っていったのだが……
「クッソーー、なんで朝から体育なんだよ、やってらんねえーわ」
ーー……ん?
突然聞こえてきた言葉遣いの悪い女の声でオレは目を覚ます。
スマートフォンを取り出して時間を確認してみるとまだ眠り始めてから15分ほどしか経っていない。
なんて目覚めの悪いボイスなんだ。
オレは若干不機嫌になりながらも面倒ごとは嫌いなのでその場でジッとしていることに。
静かに耳を傾けていると、その女もどうやらここ……保健室にサボりにきた様子。
「さすがは真面目な学校……保健室全然人いないじゃん」と呟きながら窓際に置かれていたベッドの方へ。 勢いよく飛び乗ったのかドスンと隣から音がなったかと思うと、その後すぐに「ふぁあああああーーー」と気の抜けたような欠伸声が聞こえてきた。
ああああ、もううるせーな!!
これが結城や西園寺、エマや三好たちなら仕切りのカーテンを開けて雑談を開始するところなのだが、流石のオレも育ちの悪そうな女と喋る気は全くない。
なのでオレは掛け布団の中に潜り込み、無駄な音を可能な限り遮断して再び眠りにつくことを試みたのだが……それはしばらく経った頃だった。
「んっ……、んんっ……」
妙に色っぽい声が布団の中に潜り込んでいるオレの耳に微かに入ってくる。
ーー……なんだ? 寝言か?
「んんんっ……んんーっ……」
それにしては「ん」しか言ってないみたいだし……もしかして悪夢でも見てうなされているのだろうか。
オレはその声をもう少しクリアに聞いてみることに。 布団から顔を出し、仕切りのカーテンギリギリにまで耳を近づけてみることにした。
ーー……ムム?
するとどうだろう、先ほどの「んんん」は寝言でもなんでもない。
隣にいる女はどうやら起きているようで……何やらゴソゴソと小さく動いているではないか!!!!
これはもしかして……いや、もしかしなくてもあれだよな!?
こんな静かな誰もいなさそうな場所でこんな声を出しながらコソコソとしているような行為なんて1つしかない!!!!
そう……何とは言わないけどとても気持ちのいい行為!!
まさかこんな近距離で……カーテンの布1枚越しに聞くことが出来るなんてええええええ!!!!
ーー……確か女の子のそれって男の数倍気持ちいいって聞くもんな。
オレの心拍数・呼吸音は隣の声を聞くたびに激しく急上昇。
これはもう直接見たい。 偶然起きたふりを装ってカーテンを開けるしかない。
そう決意したオレは自分の視覚に『ちゃんと脳内録画しろよ』と命令。 視覚と脳の『OK!!!!』が出たと同時に勢いよくその禁断のカーテンを開いた。
◆◇◆◇
「あーごめん、私起こしちゃった系?」
カーテンの向こうにいた女がオレの存在に気づくなり「声うるさかったかな」と謝ってくる。
「へ?」
そこにはベッドの腕であぐらをかいている女子の姿。
とりあえず視線を何故とは言わないが下半身の方へと向けてみるも、スカートはまったくはだけておらず、パンツも全然見えてはいない。
オレは『アレ……ナンデ?』と混乱しながらも視線を上の方へ。 その女子の顔を確認することにしたのだが……
「あ」
「え」
その女子もオレと同じタイミングで顔を確認したのだろう……声をシンクロさせながらお互いを見つめあう。
そりゃあ声も出るわな、だってオレの目の前にいたのはそう……数日前に軽く脅してとある要求をしたあのウォシュレッター女だったのだから。
ウォシュレッター女もまさかオレがいるとは思ってもみなかったのだろう、オレの顔を確認するやいなや「うわ、最悪だわ」と小さく呟いて視線をそらす。
「ていうかお前……そこで何してたんだ?」
目をそらされたことなどどうでもいい。
オレは先ほどの色っぽい声がなんだったのかをウォシュレッター女に聞いてみることに。
そしてウォシュレッター女から返ってきた回答……それはまさにクソのようなものだったのだ。
「ん? 普通にストレッチしてただけだけど」
ーー……は?
あまりに夢のない答えにオレは声を詰まらせる。
「え? ス……ストレッチ?」
「うん」
「なんで?」
「なんでって……そんなの私の体が鈍ってたからに決まってんだろ」
「ナニじゃなくて?」
「ん? ナニってなんだよ」
ウォシュレッター女が頭上にはてなマークを浮かばせながら「は?」と首をかしげる。
ーー……ふむ、やはりそういう系は中学生くらいから……ということなのだろうか。
オレは口に手を当てながら「なるほどな」と小さく頷く。
「は? なにが?」
「いや、いいんだこっちの話」
ちくしょう、せっかくJSの煌びやかに輝く姿を目の前で拝めると思ったのによう。
オレは「ったく、オレのワクワクドキドキを返せよ」と呟きながらベッドを降りウォシュレッター女の前へ。 そこで「じゃあとりあえず……」と隣にドスンと腰掛けた。
「な、なんだよ。 なんでわざわざ私の隣に……」
「数日前にオレがお前に要求したこと……覚えてるよな。 今どんな感じなのか聞かせてもらおうか」
「あ、うん。 いいけどさ、なんでアンタそこそんなに勃……」
「黙れ」
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ウォシュレッターちゃんも描くの2回目となると1回目よりも可愛く描けちゃいますね!
相変わらず目つきは悪いですが!笑




