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412 たまたま③【挿絵有】


 四百十二話 たまたま③



「へぇー、そんなことがあったのねー」



 帰り道。

 あれから高槻さんや西園寺と別れてエマ・結城とともに家へと帰っていると、結城から先ほどのことを聞いたエマが「それは災難だったわねー」とため息交じりに呟く。

 ちなみにオレはというと……まぁあれだ、オレだけモテていないという現実を突きつけられてたので2人の後ろをトボトボと付いて行っていたよ。



「でもあれね桜子。 まさか桜子がその傘で男子たちを叩こうとしたなんてね」



 結城の攻撃的衝動を聞いたエマが結城の持っている天使ソードに視線を落とす。



「うん、私、自分でもビックリしちゃった。 ママに手を出されて頭に血が上っちゃって……気づいたら傘を振り上げてたもん」


「なるほどねー、それは希が助けに来てくれてよかったわね。 傘の先端とかが目に当たってたら大問題になってたんじゃない?」


「そうなの?」



 結城の問いかけにエマはスマートフォンを取り出し何かを検索……その後「ほら、実際にそういう事件ってあるらしいわよ」と傘の先が目に当たって失明したような事件の記事を表示させ、結城に見せつけた。



「あ、ほんとだ。 危なかったぁ……」



 結城が天使ソードを握りしめながらホッと胸をなでおろす。



「でもエマ、だったら私……どうしたらよかったのかな」


「何が?」


「だって何かしないとママがもっと危険な目にあってたかもしれないし……でも私、希みたいに格闘技とか出来ないから傘しかなかったもん」



 そう結城が尋ねるとエマは「甘いわね桜子」と人差し指を立てて左右に振る。



「甘い?」


「そう。 用は使い方次第なのよ」



 エマは結城から天使ソードを借りると傘の先端を掴み、本来持つべき取っ手の部分を曲がっている方を上向きにして結城へと向ける。

 


「桜子、今この桜子に向けている取っ手の曲がってるところあるでしょ?」


「う、うん」


「ここで攻撃するのよ」



「ーー……え?」



 エマのこの言葉に結城の頭上に3つほどはてなマークが出現。

 首を傾げながらエマへと視線を向ける。



「えっとエマ……ここで叩けってこと? 確かに傘の先っぽよりかは尖ってはないから安全だとは思うけど……」


「違うわ。 この曲がってるところを引っ掛けるのよ」


「引っ掛ける?」


「そう。 相手は男子……下手に見切られて避けられたらその後こっちが危険でしょ? だから後ろに回って足の間にこれを入れて、一気に引き上げるのよ」



 エマが前に男子がいることを仮定して「こうやるのよ」と実演する。



「こうすれば傘が股に入ってる以上、そう簡単に相手はこれを回避することなんて出来ないし、それよりも早くグイッと引き上げれば男なんてイチコロよ」



 うぉおおおおお!!! 想像するだけで痛えええええええええ!!!!



 エマの言葉を聞いたオレの下半身が一気に縮こまる。 

 しかし結城は未だ理解していないのか「えっと……どういうこと?」と純粋なトーンでエマに尋ねていた。



「えっとねー……桜子、これは女子には通用しないの。 なんでだか分かる?」



 このエマの問いに対して結城は首を左右に。

「ううん、なんで?」と傘の取っ手の先を見つめる。



「えええ!? 分からないの桜子!」


「う、うん。 なんで?」



 これには流石のエマも言葉を詰まらせ「うんんーー……」と立ち止まり、腕を組みながら考え出す。



「エ、エマ?」


「よし分かったわ、とりあえずもう少し行った先に公園があることだし……そこでちょっと詳しく説明するわね」



 こうしてオレたちは公園へと移動。

 エマの詳しい講習が始まったのであった。



 ◆◇◆◇



「えっとね桜子、早速だけどちょっとそこで後ろ向きに立ってもらえる?」


「う、うん」



 エマの指示通り、結城がエマの目の前に背を向けるようにして立つ。

 そしてエマは「じゃあやってみるわね」と結城の股下から傘を挿入……傘の取っ手は結城のドリームエリアを通り越し、結城のスカート前方からヒョッコリと顔を出した。


 ちなみにオレはその様子を結城の前から見てるんだけど……スカートから顔を出している上向きの傘の取っ手……なんでかはあえて言わないけれども、



 クッソエロいぞ。



 オレの持っている傘もあの傘と同じ立場になったと考え想像しているのだろう……あの取っ手に負けるものかとグイグイと気持ちを上へ上へと上昇させていっているのが分かる。



 ーー……ちなみに『傘』な。

 オレはこの傘とは長い付き合い……何を考えているのか大体感じ取れるんダ。


 

「福田……くん、どうしたの? 体を丸めて腰引いて……お腹痛いの?」


「ううん!! 気にしないでいいよ結城さん!! それよりも結城さんはエマの講義に集中した方がいいよ!!」


 

 エマの「じゃあ引くわよ桜子」の掛け声とともに、エマは傘を軽く引っ張り上げる。

 それと同時に傘の取っ手先端は結城の股辺りに引っかかり結城は「ひゃあっ」と驚きの声をあげた。



 く……食い込みエッロ!!!!!!!

 まるで素ま……ゲフンゲフン!!!!! まるでスマータフォン……ゲフフフフン!! いや、スマートフォンでそういう動画を見ている時以上の興奮ダゼ!!!



「どう桜子。 分かったかしら?」



 結城から傘を抜いたエマが天使ソードを結城に返しながら尋ねる。



「分かった……っていうか、痛くなかったよ?」


「そうね。 それはさっきも言ったけど、痛くなかったのは桜子が女の子だから。 ほら、男の子にはそこになにがある?」



 このエマの問いに結城は「あっ」と何かに気づいた模様。

 自身の股のあたりに視線を降ろした後、「そっか、そういうことか!」とスッキリした顔でエマを見上げた。



「あら、分かったかしら?」


「うん! 男の子には、おち……」



 カァーーカァーー



 おっと、カラスが鳴いてるからそろそろ帰る時間だな。



 結城の回答を聞いたエマは少し戸惑いながらも「ま、まぁそういうことよ」と小さく頷く。

 まぁエマがそうなるのも無理ないわな。 純粋なトーンでそんなワード言われたらそりゃあ恥ずかしくもなるぜ。



「でもエマ、それで本当に倒せるの?」


「当たり前じゃない。 あのね桜子、そこは唯一筋肉で守られてない部分なの。 そこに一撃与えられて、たまたまその下に付いてるものにも当たれば完全勝利よ」


「たまたまその下?」


「そう、たまたまその下」


「たまたま……その下?」


「えぇ。 たまたまその……え、保健の授業で見なかった? 可愛く例えると……そう、ゾウさんの鼻の下よ」


「ゾウさんの鼻の下……、あ……ああ!! タマt……ってそのこと!?」



 結城が顔を真っ赤にさせながらエマをまっすぐ見つめる。



挿絵(By みてみん)



「そ、そうよ。 そこにたまたま当たればもう男なんて立つことすら出来ないわ」


「えっと……エマ、その立つっていうのも保健の授業の?」


「ちょっ……それは違うわよ素直な意味でよ!! まぁ確かに大ダメージ食らったらそうなるかもしれないけれども!」


「え? なんで大ダメージでそうなるの?」


「それはそのえっと……だあああああもう!!! エマにもそこまで分かんないわよ!! エマだって女の子なんだから!!!」




 ぐあああああああああ!!!! もうやめてくれええええええええ!!!!!

 


 とりあえず明日は土曜日。

 結城とのほぼデートは午前中からなので早く帰ってこの興奮を発散したいのだけれど……この会話、いつまで続くんだあああああああああああ!!!!!!!



お読みいただきましてありがとうございます!!

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感想やブクマ・レビュー等、お待ちしております!!


最近の高頻度挿絵タイム……作者は満足です 笑

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最近挿絵が多い小五。 お疲れ様です!! 今日は一段と癒される回でしたw たまたまの使用率が高いw
[一言] うん、すげー恐ろしい会話ですこと。 とりあえず、その技は身を守る時までは、やっちゃダメだぞ? 練習するならダイキでやりなさい。結城さんがやればダイキも喜んで新しい扉を開くだろうて。
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