04 もはやご褒美【挿絵有】
2020/07/10 挿絵入れました!
四話 もはやご褒美
「どうする? ダイキ、学校変えてもいいんだよ?」
「大丈夫だって。 行ってきまーす」
どうやら転校案が出ていたらしいが女子高生……JKに負担をかけたくないオレはそれを拒否。
小学生高学年のイジメなんて可愛いもんだろ。
オレはそう楽観しながらダイキの通っていた小学校へ登校した。
◆◇◆◇
「おいダイキー! お前歩道橋から落ちたんだってなー! なんで死んでないんだよー!」
オレが教室に入るなり、スポーツ刈りのいかにも的な坊主がオレを指差しながら煽ってくる。
「ほんとだよなー! これで臭くなくなると思ったのに!」
「ジサツってやつじゃねーの!?」
「ぎゃははははは!!」
おーおー、レベル低いのう。
オレは心の中で笑いながら教室に入る。
えーと、オレの席は……
あ、あれかな。
1つだけマジックでボロカス書かれた机を発見したオレはその席に座る。
机に書かれた文字に目を通すと、やはり内容は低レベル。
まぁ小学生にはダメージでかいかもしれないけどな。
オレはその後も何も辛くならないまま……むしろ懐かしの小学生時代を楽しみながら授業を受けていった。
◆◇◆◇
気づけば放課後。
早く帰って家の掃除でもしてあげようと席を立った時、オレの名……ダイキの名を後ろから呼ばれる。
振り返ってみると茶髪ポニーテールの女の子。
名札には……『三好』って名前なのか。
「なに? 三好さん」
「は? インキャのくせに気安く呼ぶな」
三好が眉間にシワを寄せながらオレにキレる。
ーー……じゃあどうすりゃいいのよ。
てかオレが小五の時よりも今の子って派手な見た目してんなぁー。
そんな感じで感心していると三好はオレの服を掴み、そのまま引っ張りながら教室を出た。
「え、え、なに?」
「なにって分かってんでしょ。 これが初めてじゃあるまいし」
三好がニヤリと笑いながら振り返る。
ーー……いや、それが初めてなんですけどねぇ。
連れてこられたのは人通りの少ない図工室前の女子トイレ。
オレは中に入れられるやいなやドンと背中を押され、三好の前で尻餅をついた。
「いったた……。 何する……んんんん!!??」
見上げるとオレの目の前には三好の足。
「おい福田。 そのまま奥の壁まで寄れ」
はい、オレの今の名字は福田です。 福田ダイキです。
オレは言われるがまま三好の足を眺めて『綺麗だなー』と思いながらもゆっくりと後ろに下がっていった。
ガンッ!!
「ーー……!!!」
三好が勢いよく足を突き出し、オレの顔の丁度真横の位置の壁を蹴る。
オレは突然のことにビクついてしまったのだが、そんなオレの表情を見た三好が満足そうに微笑む。
「なーに? びっくりしたぁ?」
「は、はい」
生パンツ……眼福であります!!!
オレは心の中で合掌。
そしてオレは早速気づいてしまったのだ。
ーー……待てよ? この状況、もしかしたらオレが読んでいたエロ漫画のシチュエーションに近いんじゃないか!?
そう思いながらオレは静かに三好を見上げる。
「は? なに? そんな見つめないでよキモいなぁ」
ーー……この先どう持って行くか。 オレの手腕にかかっているな。
オレは小さく深呼吸。
猛スピードで脳を小五の知能レベルに合わせ、わざと体をビクつかせた。
「ふふ、なに? 怖いの?」
「怖い……です。だからその、蹴ったりとかは……しないで」
ーー……こい。こい。
「あっはははは!! なーに!? そんなに私に蹴って欲しいの!?」
三好が高らかに笑いながらオレを見下す。
これは獲物に狙いを定めたような眼差しだ!!!!
っしゃキタァアアアアアアアーーーー!!!!
その後三好はオレの体のいろんな箇所を蹴りに蹴り回る。
……そう、いろんな箇所を!!
うわあああ……こういう体験できるなんてもう、寧ろご褒美やん!!
オレは嬉しさのあまり涙が出る。
「ちょー! なに泣いてんのキモいんだけどー!」
それからしばらく。 三好は満足したのだろう……あはははと笑いながらオレを置いて帰って行ったのだった。
「ーー……くく、、」
我慢できず声を漏らす。
「あはははは!! 最高! 最高だぜ! まさかこんな夢見たいなシチュエーションを経験できるなんてなぁ!!」
この学校生活、とても楽しくなりそうだぜ。
オレはポケットからスマートフォンを取り出し、音声録音モードをオンからオフに切り替えた。
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