395 結果発表!!
三百九十五話 結果発表!!
もうすぐ春休みも終わる頃。
陽奈も帰り、残り僅かな平穏な時間を心から満喫していると突然家のインターホンが激しく鳴った。
「えええええ!?!? なんだなんだ!?」
「誰だろう……急用なのかな」
優香が「ダイキはそこにいて」とオレに手をかざしながら緊張した面持ちで玄関へ。
オレもなんだかんだでもしもの時は優香を守る義務があるため、リビングの扉から顔を覗かせてその様子を窺った。
◆◇◆◇
「うわああああああ!!! 落ちたあああああああ!!!!」
そこにいたのはまさかの三好。
どうやら先日メイプルドリーマー妹オーディションの第二次審査が行われたようで、その結果がついさっき届いたとのこと。
メールで知らせてもよかったらしいのだが、いい文章が思い浮かばなかったため直接ここに押しかけてきたらしい。
「ええええ!?!? 落ちたのか!!!」
「最悪だよーー!! 受け答えとかちゃんと出来たし手応えあったのにーー!!!」
リビングに招いて話していると、佳奈はあまりにもショックだったのか頭を抱えてソファーに顔を埋める。
「ていうかあれだな、結構ショック受けてんのな」
「なんでさ」
「いや……だって三好的にはお手伝いで参加してただけだろ? なんでそこまで」
「だって受からないと美波の近くで応援できないじゃん」
「あーー……」
思いがけないレベルの尊い答えが返ってきたことによりオレは一瞬喉を詰まらせる。
仲が良いのはわかってはいたが、まさかここまでとは……
オレがそんな三好の姿をジッと見つめていると、三好が顔を上げて若干頬を赤らめながら「な、何?」と尋ねてくる。
「ん? あぁすまん。 お前良いやつだなーって思ってさ」
「良いやつ?」
「うん。 三好のそういう友達思いなところ、最高に好きだぞ」
「す……、は、はああああああああ!?!??!?」
オレの感動を伝えた言葉になぜか三好は激しく反応。
顔全体を真っ赤に染め上げてオレに「ちょっとそれ……どういう意味なのさ!!!」と顔を近づけてきた。
「どういう意味って言ってもさっき言った通りの意味だけど」
「さ、さっき言ったとおりって!?」
「だから友達思いなところ良いよなって」
オレが頭上にはてなマークを浮かばせながら「お前どうした大丈夫か?」と尋ねると三好はオレから視線を逸らしてポツリと呟く。
「そ、そんな簡単に好きって言うなし」
「ん? なんて?」
「なんでもない!!!!」
まったく意味のわからないやつだ。
まぁ三好も女子だからな、仕方ない。 女子って生き物は大抵何考えてるか分からないんだからな。
それからは優香がジュースとお菓子を持ってきてくれたのでそれを食べながら第二次審査の面接内容の話に。
オレはどんな質問を投げかけられたのかを三好に聞いてみたのだが……
「えっとね、1つは『あなたにとってアイドルってどんな存在ですか?』と、もう1つは……『なんでこのオーディションに参加しましたか?』とかだったかな」
三好が指折り数えながら視線を上に向けて答える。
ほう……なかなかに安易な質問だな。
やっぱり簡単な内容の方が回答者の本質を見極めやすい……とかあるのだろうか。
オレが「なるほどな」と頷いていると、隣で聞いていた優香が「それで佳奈ちゃんはどう答えたの?」と顔を覗き込ませながら三好に尋ねる。
「そりゃああれだよ! 『1つ目のアイドルってどんな存在』には、キラキラしててみんなに元気を与える存在です!って答えたよ!」
三好が腰に手を当てながら自信満々に答える。
「えええ、すごい良い答えだね!」
「でしょ!?」
三好は優香のべた褒めに気分を良くしたのか「でもさ、だったらなんで落ちたんだろ」と唇を尖らせる。
確かにな。 今の三好の答えはオレもなかなかに良いと思ったのだが、何がダメだったのか分からない。
問題があるとすれば……次か?
「ちなみに三好、その次の『なんでオーディションに参加したか』についてはどう答えたんだ?」
「え? それも正直に答えたよ」
三好がジュースの入ったコップに口をつけこちらに視線を向けながら答える。
「ちなみになんて?」
「友達が合格する瞬間を近くで見たり、応援したいからって」
「「ーー……」」
この言葉にオレと優香は自然と目を合わせ小さく頷く。
うん、落ちた理由……おそらくそこだ。
それから優香は「へ、へぇー、佳奈ちゃんって友達思いの良い子なんだね」と苦笑いで三好の頭を撫でていたのだった。
「あ、そうだ。 ちなみにエマと小畑は?」
「ん? そういやまだ2人から連絡きてないや。 結果はメールで届いてるはずなんだけど……まだ見てないのかな」
三好がメール受信ボックスを開いて確認してみるも2人からの連絡は未だなし。
オレにもまだきていないようだし……これはどうなったのか気になるところだな。
◆◇◆◇
オレは三好が帰る際に家の近くまで送ったのだがその別れ際……「2人から連絡あったら教えてくれ」と頼み、その場を後にする。
「あ、待って福田」
「ん?」
振り返ると三好がニコニコと笑ってこちらを見ている。
「どうした三好」
「福田あのさ、ありがとね」
「え?」
「あの時の福田の言葉、当たってたよ!」
「あの時の言葉……? てなんだ?」
「あえては言わないけどさ! とりあえずありがと!」
そう言うと三好はくるりとオレに背を向け、家の方と走って行ってしまったのだった。
ーー……なんだったんだ三好のやつ。
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なんか勢いで次話かけたので連続投稿にしました!
ストックせずに新鮮な話を提供していくスタイル 笑




