383 いざ夢の戦場へ!!
三百八十三話 いざ夢の戦場へ!!
うわあああついに来てしまったのかこの日がぁ……!!
そう、今日は小畑・三好・エマの3人が挑むメイプルドリーマー妹グループオーディション第一次審査開催の日なのだ!
場所は少し離れたところにあるドーム。
オレはエマ・エルシィちゃんとともにいつもの集合場所である最寄駅へ。
そこで少し待っていると緊張した面持ちの三好と小畑……そしてそんな2人の背中を擦って励ましている多田が合流し、全員揃ったことを確認したオレたちは開催場所へと向かったのだった。
◆◇◆◇
「そういやミナミ、足の具合はどうなの?」
開催場所へと向かっている電車の中でエマが小畑の足首に視線を向けながら尋ねる。
「あ、うん。 別になんともないよ、絶好調!」
小畑が親指を立てながら「昨日はエマの言ってた通り何もしなかったし余計に負担かけてないよ」と答える。
「そう。 ならエマが途中で止める確率はグッと減ったわね」
「うん! 今日は審査員たちにいいとこ見せなきゃ!」
小畑は拳を握りしめながら小さく深呼吸。
オレも小畑たちの頑張りは一昨日まで近くで見てきたからな……まぁ他の参加者も頑張ってきてるのだろうが小畑たちには何としても今日の1次審査を通過してほしい。
オレはこれから戦いの場へと赴く3人を見渡しながら心の中でエールを送っていった。
ーー……ん?
小畑・エマ・三好の順でエールを送っていると、オレの隣に座っていた三好が腹部に手を当てながら小さく摩っていることに気づく。
「どうした三好、大丈夫か?」
「あ、うん。 ちょっとお腹痛くてさ……」
そんな三好の言葉にエマや小畑・多田が反応。
「大丈夫? エマに寄りかかってもいいわよ?」やら「私も朝お腹痛かったわー」やら「駅ついたら痛み止め買う?」やら次々に温かい言葉をかけていく。
そして三好はそんな3人に「うん、ごめん。 本番までにはなんとかするから」と苦笑いで対応していたのだが……
「分かった……分かっちまったぞ三好……」
オレは隣に座っている三好に小さく声をかける。
「え、福田……何が?」
「まったく……そうならそうと正直に言えばいいものを」
「だから何が?」
オレは……前回こそ間違えたが今回は自信を持って言える。
そう、三好は今……
オレは三好の肩に手を置きまっすぐ見据えると、ゆっくりと口を開いた。
「お前、女の子の日なんだろ」
「!!!!」
「「「!!!!」」」
このオレの言葉に三好を含めたエマ・小畑・多田が一気に顔を赤らめそして……
バキィ!! ドゴォ!! メキィ!!
エマ・小畑・三好の強烈なパンチがオレの顔面・頭・お腹に炸裂。
オレは「ぐぅおお……」と顔と腹部に手を当てながら小さく身体を丸めノックアウト。 しかしそれだけでは終わらず三好と小畑からの罵り攻撃が浴びせられはじめる。
「ちょっ……! なんでそうなんのさ、緊張からのお腹痛いに決まってんじゃん!!」
「ほんとそれ! あとそういう日だったらもっと痛いわ!! 女の子の日ナメんな!」
「え、あ……ずみまぜん」
オレが体勢や態度やいろんなものを小さくしながら謝っていると、なんという救い……まさかの多田が2人の肩を叩きこう注意したのだった。
「まぁ福田もそうだけど……佳奈も美波も電車の中でその話題はあまり出さないでほしいかな」
「「ーー……ハッ!!」」
三好と小畑が我に返りながら周囲を見渡すと、エマは恥ずかしさから両手で顔を隠しているのだがその周囲……ちょうど通勤時間と重なっていたために男性サラリーマンの姿が多数見受けられる。
半数は温かな視線を……そして半数は朝から素晴らしいものを見たと言った表情をこちらに向けていたのだった。
◆◇◆◇
ちなみに三好はあれからお腹の痛みがなくなったのか途中から平常運転。
オレたちは休みなのに朝が早かったこともあり少しウトウトし始めていると、静寂の戻った車内でエルシィちゃんが「ねーね、エマおねーたん?」とエマに声をかける。
一体なんだろう……トイレでも行きたくなったのだろうか。
そんな予想を勝手にしながらオレは再び目を閉じようとしたのだが……
「どうしたのエルシィ」
「おんなのこのひって、なんなー? エッチーも、おんなのこなのよー?」
まさかの時間差攻撃。
オレや三好たちだけでなく、その周囲でウトウトしていたサラリーマンたちの目が勢いよく開かれた。
「なっ……!!」
「「「なんだってええええええええ!?!?!?!?!」」」
それからは……三好の先ほどの腹痛が伝染したのだろうか。
近くにいたサラリーマンたちが皆一斉に身体を丸めてカバンを腹部に当てはじめる。
「ちょ……ダメよエルシィ! あとでね!」
「ならエッチー、おとこのこのひになったら、おまた、はえうー?」
「エーールーーシィーーーーー!!!!!!」
あぁ……今日この車両に乗っている毎日忙しい日々を送っている男たちが電車乗り換え時等に痴漢に間違われないことを切に願うぜ。
そんなこんなでなんとか目的地の駅へと到着。
会場に着くと流石は勢いのあるアイドルグループオーディションだ。 ドーム入り口前は参加者たちで満ち溢れている。
「うわぁ……この子らみんなライバル!?」
「そうよミナミ! オーディションには年齢なんて関係ない……絶対勝ちましょうね!」
「うん!」
参加者である小畑・三好・エマはお互いに頷きあった後に受付を済ませてドームの中へ。
オレと多田・エルシィちゃんは観客席が解放されるまでまだかなりの時間があったため外で待つことに……近くにベンチがあったのでそこで一息つくことにしたのだった。
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