374 IF・輪廻転生を選んだ場合の未来①
三百七十四話 IF・輪廻転生を選んだ場合の未来①
【オレが輪廻転生を選んだ場合の未来】
ーー……ハッ!!
いつからそうしていたのだろう。
ボーッと呆けていることに気づいたオレが意識をはっきりさせ周囲を見渡すとそこには元祖ダイキの姿はおらず。
代わりに神様が静かにオレを見据えていた。
「えっと……神様、オレ今何してた?」
『そんなの知らぬわ。 それよりもほれ、お主も見るかの?』
「え?」
『え……じゃないわ。 ほれ、先ほど本来のダイキが元の身体に向かったじゃろ』
「あーー……そうだったような」
『いやいやしっかりするのじゃ』
そう言って神様がオレに差し出してきたのはあの小さな手鏡。
そこに視線を向けると鏡の中には病室が映し出されており、中心のベッドにはダイキの姿。 その周囲には優香やギャルJK星、三好・小畑が不安そうな表情をしながら眠っているダイキを見つめていた。
『さぁ……もうすぐ目覚めるぞ』
オレは神様と鏡に顔を近づけながらその様子を見守った。
◆◇◆◇
「ーー……んん」
元祖ダイキの魂がダイキの身体に定着してしばらく。
小さく声を上げながらダイキがゆっくりと目を覚ますと、周囲から一斉に歓声が上がる。
「ダイキ!!!」
「ダイキ!!!」
「「福田!!」」
まさに感動の再会。
しかしやはりそこは臆病属性の強い元祖ダイキ。 皆の姿を確認するなりすぐに身体をビクリと反応……怯えた様子で掛け布団で顔を隠した。
「ダイキ……?」
優香やギャルJK星が心配そうにダイキの顔を覗き込む。
「どうしたのダイキ、どこか痛いの?」
「そうだべダイキ。 もし違和感あるところとかあったら言ってな。 すぐ先生呼んでくるから」
「ーー……」
ダイキは目を合わせるのが苦手なのか優香とギャルJK星からすぐに視線を外して反対方向へ。
すると次の瞬間ダイキの顔が一気に強張った。
だってその先にいた2人こそ……
「ちょっと福田……心配したじゃん!!」
「そうだよー! 昨日ここで福田見かけて、お姉さんのお見舞いに行こうとしたらお姉さん元気になってて福田が倒れてるんだもん……もう心配させないでよ」
そう、三好と小畑だ。
三好はもちろんのこと、小畑は三好レベルで直接は虐めていなかったものの……それでもダイキの中ではいじめメンバー枠に入っている人物。
そんな2人を目にしたダイキの目に涙が溜まる。
「えー、どうしたん福田。 私と佳奈の顔見てそんなに嬉しいのー?」
小畑はそう冗談を交えながら話しかけ、優香やギャルJK星もそんな小畑とダイキのやり取りを微笑ましそうに見ていたのだが……
ただ1人。 三好だけが違った。
「ねー、絶対福田喜んでるよね佳奈……ん、佳奈?」
小畑が三好に話を振ると、三好は静かにダイキを見つめている。
「あれ、どうしたの佳奈ちゃん」
「どしたー?」
優香とギャルJK星が三好に尋ねるも三好はそれを無視。
小さく息を吐いた後にダイキに顔を近づけ、優しく声をかけた。
「ねぇ……福田?」
「ひっ……」
ダイキは案の定三好の顔が近くなり余計に硬直。
それを見た三好は何かを察したのか一歩下がってダイキから距離をとり、俯きながら小さく呟いた。
「そっか……、そういうことか」
三好は身体を細かく震わせながら後ろでくくっていた髪ゴムを外しポニーテールを解く。
「み、三好……さん?」
「うん、ごめんね福田驚かせちゃって。 1年ぶりって言ったらいいのかな」
この三好の発言には皆頭上にはてなマーク。
しかし三好はそんな空気などお構い無しに優しく微笑みながらこう囁いた。
「福田、安心して。 福田には私や美波、麻由香……他にもたくさん、みんながついてるから」
そう伝えると三好は身体の向きをくるりと回転。
小畑に「帰ろ、美波」と声をかける。
「え、佳奈!? 色々と突っ込みたいところあるんだけど……もう帰っちゃうの!?」
「うん。 福田も起きたばかりでこんなに煩かったらゆっくりできないでしょ」
「そ、それはそうだけど……佳奈はもういいの?」
「うん」
「佳奈……泣いてる?」
「な、泣いてないし! ほら、行くよ美波!」
三好は小畑の手首を掴むとそのまま引っ張りながら病室の外へ。
優香やギャルJK星に「福田のことお願いします」と声をかけ扉を閉めたのだった。
「三好……さん」
ダイキが三好たちが出て行った扉に向かって小さく呟いていると、後ろから優香が涙を流しながらダイキに話しかけてくる。
「ダイキよかったね、あんなに優しいお友達が出来て」
「え」
「あそこまで言ってくれる友達なんてそうそう出会えないよ。 お姉ちゃん感動しちゃった」
「お、お姉ちゃん……」
ダイキがゆっくりと優香たちの方へと視線を向けると今度はギャルJK星が涙を堪えながらダイキの手を握る。
「そうだぜダイキ! プライベートではゆーちゃんやアタシが、学校ではあの子らがついてる。 何をそんな怯えてるのかは分かんないけど安心していいんだからな!」
「星……美咲……さん」
「なにフルネームで言ってんのさ。 今まで通り星さん呼びで良いって」
「星……さん」
「おう!」
ダイキの口角が僅かに上がる。
それを確認したところで神様はその様子を映し出していた手鏡をそっと下げた。
◆◇◆◇
『どうやらダイキも上手くやっていけそうじゃの』
「そうだな。 ちなみに……だけど、ダイキはもう前みたいな自死を選ぶような真似はしないんだよな?」
そう尋ねると神様は『もちろんじゃ、このまま普通に行けばの』と大きく頷く。
「そっか、それはよかった」
『うむ。 あれから普通に小学生生活を楽しんで中学へ行き、高校へも行くぞ。 恋愛はあまり得意ではないのか独り身が続くのじゃが……まぁ本人はそこまで気にはせぬ』
「ムムム、そこはオレとあまり変わらないと言うか何と言うか……」
オレがダイキの恋愛事情に同情していると、神様が『さて、次はお主じゃな。 行くか?』と声をかけてくる。
「あー、そうだな。 輪廻転生……オレもするか。 じゃあ美香の姿を入れたら約数ヶ月と言ったところだけど、世話になったな神様」
『うむ。 ワシも楽しかったぞい。 来世ではこんな形では会わないことを祈る』
オレは神様と並びながらゆっくりとオレの進むべき道の前へ。
その手前でオレは改めて神様を見据える。
「んじゃ行くわ」
『何か言い残したことはないか』
「そうだなー、じゃあ来世でオレがイジメられてたら何かしらの禁忌を一回でいいから使って助けてくれよ」
『ふ、仕方ないのう。 1度だけじゃぞ』
こうしてオレは最後に神様と握手を交わすと道へと足を踏み入れ……輪廻転生を目指して歩いて行ったのだった。
さぁ、今度のオレの人生はなんだ!? イケメンでモテモテなんじゃねーのか困っちゃうなああああああ!!!!!!
◆◇◆◇
ーー……あれ、なんでボクはこんなところでボーッとしてたんだっけ。
気づけば教室に1人だけ。
そうだ……いじめっ子たちに『宿題オレらの分もやっとけ』って言われてやってたんだった。
せっかく小五に上がったばかりだというのにすぐにパシられるなんて。
「ーー……みっともないな」
ボクは小さく呟くと、ボロボロのランドセルを背負いながら学校を出る。
「はぁ……学校ではいじめられて味方もいない。 このまま生きてて意味、あるのかな……」
帰ったら引きこもってゲームでもしよう。
そう予定を立てて無理やりテンションを上げていたボクだったのだが、帰っている途中後ろからいじめっ子たちの声が聞こえてきて……ボクはその場で押し倒された。
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展開的にもう終わりそうだと思うでしょう??
まだ1ヶ月以上あるんですよねwwネタがありすぎてえええ!!!!




