369 Re:きっかけはいちご柄のパンツ
三百六十九話 Re:きっかけはいちご柄のパンツ
オレがリュックから出てきた運命のイチゴ柄のパンツを神様の目の前で広げると、神様はそのパンツをギョロリと凝視。 手をワナワナさせながら僅かにオレに視線を向けた。
『お、お主……それはなんだ!?』
「おぉ? 言わないと分からないのか? 神様の大好きだったあのイチゴパンツですやん」
『おお……おおおおおお!!! やはり類似品ではない……また再会出来ることになろうとはああああああ!!!』
神様がゆっくりとそのパンツに手を伸ばしてくる。
しかしオレがそう簡単に触れさせるわけもなく……
「はいダメーー!! お触り禁止ですーーー!!!!」
『なんじゃとおおおおおおおお!?!?!?』
オレはすかさずパンツを自身の背中に隠してそれを阻止。
神様は触れられなかったショックからその場で膝から崩れ落ちた。
◆◇◆◇
それからすぐのこと。
これ……この展開もどこかで見覚えのある状況だな。
神様はゆっくりと立ち上がるとコホンと咳払い。 その後真剣な表情でオレを見つめてきた。
『ーー……それを譲ってはもらえまいか』
そのセリフも懐かしいぜ。
ならばオレもこう返すとしようかな。
「いやいやダメですよ。 これはいわばオレの思い出の品みたいなもの。 そう簡単に渡せるわけがないじゃないですかー」
『ふんぬぬぬぬ……』
オレのこの言葉に神様も聞き覚えがあったのだろう。
『この会話、覚えがあるのう』と参ったように笑いながら頭を掻いた。
「しましたね。 なら条件はお分かりでしょう?」
『うむ。 しかしながらワシは今目を付けられているからして……じゃからそう安易には……』
「なぁ神様」
『なんじゃ?』
「忘れてないか? このパンツ……あの時はただの未使用付録パンツに過ぎなかった」
オレの囁きに神様はハッと何かに気づいたのか目を大きく見開く。
『そ、そうじゃな。 でも今そのパンツは……!』
「お、気づいたようだな神様。 そう!! 今のこのパンツは神様が自身の理想の姿……過去の茜に模した身体を創造して履かせており、更には実際の茜も履いていた激レアな使用済みパンツなのだ!! だから茜推しの神様にとっては喉から手が出るほどに手に入れたい一品のはずだ!!」
オレはドヤ顔でそのパンツを再び前に出してヒラヒラと見せつけると、ここが攻め時だと言わんばかりに自身の顔に近づけていく。
『や、やめるのじゃお主……!! そのお宝を顔につけるでない!!!』
「えー、でもこれ今はオレのだからなー。 どうせなら股の部分を鼻に当てちゃおっかなーー!! いい香りするんだろうなあああ!!!」
『うあああああああああ!!! 卑怯……実に卑怯じゃぞおおおおお!!!!』
神様がダンダンと悔しそうに地団駄を踏む。
「いいのかなー神様ーー!! 茜ちゃんの初めての香り、オレが嗅いじゃうことになりますよーーー!!!」
『うぬぬ……しかしワシは……ワシはああああああ!!!!!』
「そうですか!! なら、いっただっきまあああーーーーす!!!!!」
オレは体内に残っている空気を全て排出。 その後息を全力で吸い込みながらパンツを鼻に当てようとした……その時だった。
『分かったあああああ!!! 交渉成立じゃああああああ!!!! 神の監視!? そんなもの茜ちゃんの初めての香りを嗅げようものなら、なんぼのもんじゃいじゃあああああ!!!!!!』
◆◇◆◇
交渉成立後。
優香にお茶を入れて一息つかせている間、オレと神様は優香の生き返り方法に関しての入念な打ち合わせに入った。
どうやら神様が優香を生き返らせるためには結局のところ他の神の監視を潜り抜けないと邪魔されてしまうらしく、オレのサポートが必要とのこと。 そのための方法を神様はオレに真剣な表情で伝えていく。
『ーー……というわけじゃ。 出来るか?』
「分かった、なんとしてでも成功させてやるさ。 それで他の神に邪魔されずに……優香が現世に戻れるのならな」
作戦はこうだ。
見回りの神が登場すると同時にオレがなんとかしてその神の注意を引く。 そこで少し騒動を起こし、別のところで隠れて監視しているであろう他の神の注意も引きつけたところで神様が禁忌を使用……優香を現世へと送り届けてハッピーエンド……という算段だ。
オレは脳内でシュミレーションをしたうえで神様に尋ねる。
「ちなみにオレが失敗したらどうなる?」
『その場合はもちろんのことながら優香ちゃんは強制的に輪廻転生への道へ。 そして禁忌を助長したという罪でお主も多大な罰を受けることとなるだろう。 最悪の場合、ワシと同様に魂を抹消され輪廻転生すらも出来なくなってしまうかもしれないのう』
魂の抹消……マジか。
この神様の口調的にガチなんだろう。
それだけその禁忌がいかにヤバいものなのかが良くわかるぜ。
オレが緊張からゴクリと生唾を飲み込むと、神様が『それでもやるか?』と問いかけてくる。
「当たり前だ。 オレは優香から返しきれないほどの愛を注いでもらった……だから何がなんでも成功させてやるさ」
こうしてオレと神様による優香を現世に送る作戦が決行。
見回りの神がどこからともなく姿を現したところでオレは神様とアイコンタクト。 神様は優香を連れて見回りの神とは逆方向へ……オレは見回りの神のいる方に向かって全速力で一気に駆け抜けた。
お読みいただきましてありがとうございます!
下の方に星マークがありますので評価していってもらえると励みになります嬉しいです!
感想やブクマ・レビュー等、お待ちしております!!




