365 お届け!!
三百六十五話 お届け!!
陽奈の母親が車で駅まで送ってくれたこともありオレたちはかなり早い時間の新幹線に乗ることに成功。
結果、お昼こそ過ぎてはいたがなんとか夕方になるよりも早く優香のいる病院へと到着したのであった。
◆◇◆◇
優香の病室の扉を開けると、中には安定のパートナー兼ボディーガードのギャルJK星の姿。
それと何の専門なのかは分からないが、優香を救うために集まったプロフェッショナルたちが頭を抱えながらも優香のデータが書かれているのであろう資料に目を通しながら議論をしていた。
その内容に聞き耳を立ててみるも、「これはもう〇〇を〇〇して〇〇するしかないのでは……?」やら、「いやでもその方法はこの国では認可されていないしそもそもそれを行う機械が揃っていない」等、専門家過ぎて何が何やら。
しかしオレたちも優香を救いに来たことに変わりはない。
邪魔になるかもしれないとは思ったのだが、少しでも早くこの不動明王様の身代わりお守りを優香の近くに立てかけるため、「ちょっとそこ通ります失礼します」と声をかけながら優香の目の前へ。
枕元に茜が「これが一番」と教えてくれた一際効果の強そうなお守りをそっと置いた。
「ほへー、それが例のお守り様?」
ギャルJK星がオレの後ろから興味津々で覗き込んでくる。
「そうだよ。 もちろんちょっと前に結城さんが買って来てくれたお守りも効果あると思うけど、オレは実際にこの不動明王様お守りが効くって知ってるからさ」
オレが期待を込めた視線をお守りに送りながら答えると、ギャルJK星は「なるほどなー」と呟くと、その場でしゃがみ込み、「ゆーちゃんをどうかお助け下さい」と両手を合わせて拝み始める。
「ありがとう星さん」
「んーにゃ。 これはダイキの為もあるけどアタシの為でもあるからね」
「そうなの?」
「だべ。 アタシはゆーちゃんがいないと綺麗に人生の花が咲かないからね」
そう言うとギャルJK星はよいしょと立ち上がり、結城に「ちょっとごめん」と軽く寄りかかりながら近くに置いてある椅子に腰掛ける。
何やらかなり疲れてるっぽいけど……
結城がかなり心配した表情で「大丈夫……?」と尋ねると、ギャルJK星は結城の頬に手を添えてニカっと笑う。
「問題ないべー。 なーんか年末あたりから疲れやすくなっちゃっててさ。 アタシも年なだけよ」
「そうなの?」
「だべー。 運動不足が祟ったかなー。 ゆーてもこのプロポーションを維持するために腹筋とかはちょいちょいやってたんだけどなー」
そんな話を繰り広げていると脳外科のスペシャリストが扉を開けて登場。
「姫の脳波をまた調べて照合して分析する……」やらまた難しいことをオレたちに説明し、優香を検査室へと運んで行ったのだった。
ーー……ガチで圧倒的な感謝しかないぜ。
今回の優香の脳検査もかなりの時間を要するらしく、オレと結城はギャルJK星とともに病室を出る。
そして病院の正面玄関を出た辺りだろうか……お昼を食べ忘れていたオレと結城のお腹が仲良く揃ってグーと悲鳴をあげる。
「そういやオレたち何も食べてなかったね」
オレがお腹をさすりながら笑うと結城が「あ、ごめんなさい……こんな時に」と顔を赤らめる。
「大丈夫だよ人間だもん。 それに今の一番大きな音は多分オレのお腹の音だよ」
「あ、ありがとう……」
オレが結城をフォローしていると、ギャルJK星が「なんだーチビたち。 お腹空いたんかー?」と腰を落として肩を回してくる。
「あ……うん」
「ぶっちゃけかなりお腹空いてるよ。 お姉ちゃんにお守り届けに行くことしか頭になかったから」
「そっかそっか。 んじゃそこのファミレス行くべ?」
ギャルJK星がここから見える位置にあるファミレスを指差しながら結城に尋ねる。
「ううん、大丈夫。 我慢出来るから」
「なんでー?」
「だって私、あまりお小遣いない」
「んなもん美咲ちゃんが払ってあげるやん?」
「でも……なんか悪い」
「気にすんな妹だろー? 弟や妹は姉に全力で甘えときゃいいんだよ」
こうしてギャルJK星はオレと結城の手を引っ張りながらファミレスへと直行。
「値段なんて気にしなくていいから好きなもん食え」とメニュー表を渡され、オレたちは田舎での出来事をギャルJK星に話しながらその空腹を満たしていったのだった。
そういや途中から後ろの席が何やら騒がしかったような気もしたけれど……まぁファミレスなんだ。
家族連れとかそんな感じだったのだろう。
「あ、そうだ星さん、これ星さんにもあげるよ」
オレは残り2つの身代わりお守りの1つをギャルJK星に渡す。
あの3つの中では優香にあげたものが一際強かっただけで、残りのお守りも普通に力は宿ってるっぽいからな。
「えええ、もしかしてお土産!?」
「んー、お土産ではないけど、星さんにも安全でいてほしいし」
「なるほどな。 サンキュ、肌身離さず持ち歩くよ」
まぁそんな高確率で優香みたいに車に突っ込まれるなんてことはなさそうだけど……ギャルJK星はキレっぽいところがあるからな。
変にキレて人生が狂わないよう、見守ってあげてくれ不動明王様。
「ーー……んん?」
オレがギャルJK星の安全を願ったのとほぼ同じタイミング。 ギャルJK星が持っているそのお守りが一瞬赤く光る。
「お? どしたダイキ。 さっきからアタシのどこ見てんの?」
「え、あ、いや。 お守りが一瞬だけど光ったように見えたような……」
「とか言っちゃってー。 実はダイキ、アタシの豊満なおっ……」
ゲフンゲフーーーン!!!
いや、確かに光ってるように見えたんだ。
まるで不動明王様が『任せろ』と言わんばかりに力強く。
なのに何故だ?
その日の夜、優香の状態が危ないと緊急の電話が入ったのだった。
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