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363 夜中の出来事


 三百六十三話  夜中の出来事



 夜。 あれから正気を取り戻した茜の父親に無事家まで送ってもらえたオレは寝室の端で腕を組みながら座り込んでいた。

 だって目の前では……



「えーー!! 桜子、スマホ買ってもらったん!? いいなぁーー!!!」



 陽奈が目をキラキラ光らせながら結城の持つスマートフォンに顔を近づける。



「うん、ママが買ってくれたんだ」


「いいなぁいいなぁーー!! 陽奈もお願いしてみよっかなーー!!」


「もし買ってもらえたらメールしようね」


「するするー!」



 えー、なんでこうなってしまったかと言うとですね。

 実は陽奈の母親が一度迎えに来たのだが、結城との楽しそうな姿を見て「今晩だけお願い出来ないでしょうか」と福田祖父母にお願いをしていたのだ。


 もちろん明日は平日で学校なのだが、どうやらあの陽奈の病気の一件から陽奈の母親はかなり激甘になってしまったらしく明日だけ特別に休ませるとのこと。

 そして陽奈が入院していたことは福田祖父母も知っていたことから、陽奈が約1年前に入院していたダイキと重なったんだろうな……「もちろん大丈夫だよ」と陽奈を泊めることを許可したのであった。

 なので翌日休みの2人に就寝時間など関係なく……



「そういや桜子、そのキーホルダー可愛いね!」


「うん、これ福田……くんがくれたんだ」


「ええええダイきちが!? いーなーいーなー!! 陽奈も欲しいーーー!!!」



 陽奈が視線をオレに移して四つん這いのまま擦り寄ってくる。



「お、おい近いぞ陽奈」


「ねーえー、ダイきちー!! 陽奈にもー!!」


「お前スマホ持ってねーだろ! どこに付けんだよ!」


「大丈夫買ってもらうけんー!!」



 ちくしょう。 いつもならウザいだけなんだがオレの脳裏には未だにあの元気の欠片も残っていない……憔悴しきった陽奈の姿が浮かび上がる。

 あんな印象植えつけられてからのこれはガチで卑怯すぎるぞ。



「な、なんでオレなんだよ」


「いいじゃんー! 陽奈も何か欲しいーー!!」



 ああああ、陽奈の母親が甘くなった理由がなんとなく分かる気がするぜ。



「ねえー、ダイきちー!」



 陽奈がオレの手を握りながら上目遣いで見つめてくる。

 とはいっても今オレには陽奈にあげれる物は何も持っていないわけで……



「仕方ねえな、今度な」


「今度っていつー!?」


「そこは分からん。 オレがまたこっちに来る時か、逆に陽奈があっちに来た時だな」


「えー!!」



 こうしてオレは陽奈のおねだりを華麗に回避。

 早く結城との会話に戻って欲しかったオレは「ちょっとトイレ」と立ち上がり、ため息交じりに部屋を出たのであった。



 まぁ結城も陽奈のあのテンションに助けられてるところもあると思うし……少しでも陽奈のパワフルなエネルギーを取り込んでほしいものだぜ。



 そんなこんなであまり尿意もないのにトイレに入り便器に腰掛けると、ちょうどそのタイミングでギャルJK星からのメールが届く。



【受信・星美咲】ダイキー、どんな感じ? 例の良く効くっていうお守り買えた?


【送信・星美咲】うん買えたよ。 星さんはもう家?


【受信・星美咲】だべ。 今日はダイキもいないから我が家よ! なんかもうアタシからしたらゆーちゃんやダイキの家が第2の家っぽいからさ、2人がいないの落ち着かねー。



 あああ、ギャルJK星って急にそんな嬉しいこと言ってくれるよな。



【送信・星美咲】まぁ星さんはオレのお姉ちゃんだからね。


【受信・星美咲】だな! 明日帰ってくんしょ?


【送信・星美咲】うん、そのつもり。


【受信・星美咲】早く帰ってこいよ! 我が弟よ!



 了解致しましたあ!!!!!



 オレはメールの向こう側にいるギャルJK星にビシッと敬礼。

 ギャルJK星のお言葉通り、明日少しでも早く帰ることを決意したのであった。



 ◆◇◆◇



 時刻は日付が変わった頃。


 結城と陽奈は以前優香が寝ていた部屋で寝ているためこの部屋にはオレ1人。

 オレも移動の疲れから結構すぐに夢の世界へと旅立っていたのだが……



 ブーー……ッブーーー…ッ

 


「ーー……ん、なんだ?」



 枕元に置いてあったスマートフォンの振動で目を覚ましたオレはこんなくそ遅い時間に誰だよと思いながらもスマートフォンを手に取る。

 この振動回数的にメールではなくて着信のようだ。 オレは重たい目を無理やり開けながらスマートフォンの画面通知を確認した。



【着信通知・茜】



「んん、茜?」



 茜とは今日茜の父親に家まで送ってもらってる最中に新しい連絡先を教えてもらったばかりだったのだが……もしかして眠れなくて話し相手が欲しいのだろうか?

 

 オレは「まったく……茜も見た目通り子供になったなぁ……」と呟きながら通話ボタンをプッシュ。

 その後スマートフォンを耳に当てたのだが、そこから聞こえてきた声にオレは自分の耳を疑ったのだった。



『もしもし……ダイキ?』


「はいダイキですぅー。 なんだ茜、寝れないのかー?」



『ーー……茜じゃない。 美香』



「え」



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[良い点] ダイキ何とか帰れたか! よかったぜ! 陽菜ちゃんと結城ちゃんのはすはすタイム! いいですなぁ。 そして、茜ちゃんと思いきや!!!
[一言] 再登場ラッシュ 嬉しす
[一言] 神様!久しぶり! けどこのタイミングは、なにかのお告げと、アドバイスをくださるのかな? よろしくお願いしますよ!
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