360 絶望的な暗闇の中で光るオアシス
三百六十話 絶望的な暗闇の中で光るオアシス
あれから自宅へと戻ったオレは神様……美香から貰い陽奈から受け継いだ不動明王の身代わりお守りを結城に見せる。
「えっと……福田……くん。 これがどうしたの?」
「これ、身代わりお守りなんだけど、かなり効果があったんだよ」
「ーー……そうなの?」
オレはこのお守りに込められていたらしい不動明王様のご利益を簡単に説明することに。
「そうだよ。 ちなみにこのおかげで陽奈は難しい病気に勝つことが出来たし、お姉ちゃんも階段から落ちて大怪我をしなくて済んだんだ」
「でもこのお守り……中で割れてない?」
「うん。 お姉ちゃんが無事だった時に確認したら何故か割れてたんだよね」
「それって身代わりになってくれたってこと?」
「オレはそうだと思ってるけど……」
オレは結城からお守りを返してもらうと心の中で改めて感謝を言いながら引き出しに戻す。
「それで福田くん、私に教えたい良いことって?」
結城が頭上にはてなマークを浮かばせながら首をかしげる。
「うん。 今の話聞いて、結城さんはこのお守りについてどう思った?」
「え、それは……これがもう1個あったらお姉ちゃんも元気になるのかな……とか?」
「そうそれそれーー!!!!」
いきなりの正解にオレが指差しながら肯定すると、結城は驚いたのか体をビクンと反応。
「そ……それ?」と目を大きく見開きながらオレを見上げてきた。
「そう! だからオレはもうすぐ春休みだけど明日学校休んでお守り買いにいってきます!!!」
「ええ……ええええええ!?!?」
こうして有言実行のオレは翌日の早朝、またまたダイキ祖父母の家のある田舎へと向かうために家を出ようとしたのだが……
「じゃあ星さん! 行ってきます!」
「おー! 頑張ってこいよーダイキ! ゆーちゃんの護衛は美咲ちゃんに任せろ!」
「うん! 明日の朝には戻ってくるから……またちょくちょく連絡するね!」
オレはギャルJK星と拳を合わせて玄関の扉を開ける。
するとその先には誰かが立っていて……
ーー……結城?
「え、結城さんなんでいるの?」
まだ学校に行くには早すぎる時間。
なのに結城がなぜか私服姿でオレを見つめている。
オレも疑問に思いながらも結城の姿を見つめ返していると、結城は小さく口を開き、「福田……くん!」と声をかけてきた。
「あ、はい」
「私も一緒に行く!」
ーー……。
「え?」
「私も一緒に行ってお守りお姉ちゃんに届ける!」
「えええええええええええ!?!?!?!?」
どうやら結城は昨夜高槻さんの許可をもらったようで背負っているリュックには財布やら何やら必要そうなものが全部揃えられている。
「ん? ねぇ結城さん、この四角い何かが入った巾着袋って何が入ってるの?」
「あ、これ? 今日のお昼に福田……くんと食べようと思って。 だから早起きしてお弁当作ったんだ」
えー、みなさん。
くどいようですがもう一度叫ばせてください。
それか一緒に叫びましょう。 せーの……
あたたかいよおおおおおおおおお!!!!!!
その後オレは結城とともに電車に乗りいざ目的の地へ。
ていうかオレ1人じゃなくてよかったぜ。
もし1人なら優香のことを考え過ぎて軽く鬱状態になっていたんだろうな。 しかし今のオレには暖かく癒しの同行者・結城がいる。
結城のおかげで時間が経つのも早く感じたオレは、済ますべきことをさっさと済ませたこともあり、変に思い詰めずに電車内の時間を過ごすことができたのであった。
「そろそろお昼だね。 福田……くん、お弁当食べる?」
「あ、はい!」
時間を確認すると12時を少し回ったところ。
今から結城の手作り弁当が食べられるのかとワクワクしながら結城がリュックの中から取り出すのを見ていると、突然結城が「あっ……」と小さく声を上げる。
「私……やっちゃった」
「ん?」
別に何かをやらかしてる風には全く見えなかったので首を傾げながら結城を見ていると、結城は申し訳なさそうに巾着袋の中からお箸を一膳取り出した。
「どうしたの?」
「私、お箸これしか持ってきてないや」
なんだよそういうことかよ。
オレはてっきりお弁当の中身を入れ忘れてた的なパターンかと思ってしまったぜ。
だったら何も問題はないな。
「大丈夫だよ。 だったらオレは手で食べ……」
「私が福田……くんが食べたいものお箸で運んであげるから、それでいい?」
「ーー……」
突然の結城の言葉にオレは言葉を失う。
「えっと……結城さん。 そしたら結城さんはどうするの?」
「私? 私は福田……くんに食べ物を運んで、福田……くんがそれを食べてる間に自分の食べようかな」
「同じ……お箸で?」
「うん。 あ、そういうの嫌だった?」
「いーやいやいやいや!! 全然問題ないよ!! むしろありがとう!!!!!」
こうして突然始まった極上の幸せお弁当タイム。
結城の手料理もさることながら、結城の食べた後のお箸で掴まれた料理が結城の手によってオレの口へと運ばれてくる。
これぞまさに天使の料理!!!
オレは色んな意味で心と身体が元気になりながら絶望的な状況という暗闇の中で、結城という癒しのオアシスに身を委ねていたのだった。
そんなこんなで目的地に到着。
早速オレたちは事前に調べておいた……美香からもらったお守りのある神社へと向かった。
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次回、まだ書けてはないですがこんなタイトルになる予定!!!
『復活の○○娘!』
次回もよろしくお願いします!!!




