35 待ちに待った金曜日!!
三十五話 待ちに待った金曜日!!
「あ、そうだダイキ。 今日って金曜日だからあの日だよね」
朝食中。 対面に座っている優香が思い出したかのようにオレに話しかけてる。
「あの日……? え、なんかあったっけ」
金曜の夜にテレビでよくやってる映画のことか? それとも別の……え、まさか『ピー玉キラキラ金曜日』的な下ネタを待っているのか?
そんなことを考えていると、痺れを切らしたのか優香が「え、分からない?」と首をかしげる。
「え、ごめんなんだっけ」
「桜子ちゃんがウチに泊まりに来る日じゃない」
「桜k……ぶっーー……!!」
あぁ、なんて尊くも恥ずかしくなる名前なのだろう。
朝一発目の結城の名前に動揺したオレは飲んでいた味噌汁を勢いよく吹き出す。 しかしそれと同時に今日の夜から2日間結城と同じ1つ屋根の下なんだという事実にニヤケが止まらなくなってしまったのだった。
「えええ、どうしたのダイキ。 お味噌汁こぼしたのにニヤニヤしちゃって……。 まだ寝ぼけてるの?」
「え、あ……いや。 あはははは」
ウオオオオオオオ!!!! テンション上がってきたぜええエエエエエエエ!!!!
◆◇◆◇
「福田くん……今日もお邪魔して本当にいいの?」
休み時間、結城が廊下で話しかけてくる。
「あ、うんいいよ。 ていうかオレのお姉ちゃんが結城さん来るの楽しみにしてるから、逆に来てもらわないと困るくらいかな」
そう答えると結城はどこかホッとした表情で「……ありがとう」と微笑む。
あぁ……可愛い。 この笑顔、ずっと見つめていたいぜ。
「それでだけど福田……くん」
「ん?」
「何時くらいからお邪魔したらいいかな」
「えっ……」
「できれば早く行きたいなって思って」
なるほど。
ということでオレは帰りのホームルームが終わると同時に速攻で教室を飛び出す。
後ろから小畑が「ちょっと福田ぁー! 私の遊び相手になってよおぉーー!!」と追いかけてきているが今日は無理……無視することにする。
そう、オレには早く家に帰りやらねばならぬことがあるのだああああああ!!!!!
◆◇◆◇
オレは速攻で家へと帰ると部屋へと直行。 本気で片付けを開始する。
「いじめノートはここに隠して……あ、そうだエロ漫画も隠さないとな!」
オレは前世の友・工藤から貰ったエロ漫画をベッドの下から取り出すと、それを勉強机の引き出しの奥深くに入れる。
これを見つかった日にゃあ結城に引かれるかもしれないからな。 絶対に見つからないような場所に隠さねば。
そしてある程度部屋の掃除を終えたオレは優香にメールを入れた。
【送信・優香】結城さん早めに来るから、お姉ちゃんの時間に合わせて一緒にスーパー向かうよ。 大体の時間分かったらよろしく。
「ーー……よし」
流石に3人分の量となれば結構ありそうだからな。 だったら3人で分けて持った方が優香も楽だろ。
しばらくするとスマートフォンの画面に返信の通知……優香からの『じゃあ5時半くらいにいつものスーパー入り口でいいかな』といった内容の文章に目を通して更に返信していると、それと同時にインターホンが鳴った。
「っしゃあ! きたあああああ!!!」
オレは小さくガッツポーズ。
玄関を開けると可愛い白いワンピースをきた結城が立っている。 はい早速可愛い!!
「い、いらっしゃい。 なんか夏って感じの服だね」
「う、うん。 福田くんの家に行くって分かってたからその……少しでも可愛い服で行こうって思ったから」
ズキュウウウゥゥン!!!
はい、オレの心射抜かれたー!!
それからオレたちは優香との待ち合わせの時間まで少し時間があったのでリビングで軽く雑談をした後、少し早めに家を出てスーパーへと向かったのだが……
「ーー……あ、そうだ福田くん」
道中、何を思い出したのか結城が両手を可愛くパンと鳴らしながらオレに話しかけてくる。
「なに?」
「今回はちゃんと替えのパンツ持ってきたよ」
「へ、へぇーー」
え、なんでわざわざそんなことオレに言うの?
もしかして捲ってもいいってこと? ていうかどんな色のパンツ履いてるの? 柄は?
さすがは男。 パンツという言葉を聞いただけでここまで妄想力が爆発するとは。
オレが静かに結城の股間部分へと視線を向けていると鼻から何かがツゥー……と垂れて落ちてきているのを感じる。
おそらくはそう、鼻血。
しかしここで確認していてはその隙に風が吹いてパンツチャンスを逃してしまうかもしれない。 オレはあえてそれにはスルーしてパンツチャンスをじっと待っていたのだが。
「ちょ、ちょっと福田くん、血……、鼻から血が出てる……!」
なぜかオレより慌てた結城がポケットからハンカチを取り出し鼻に当ててくる。
「んんっ!?」
「あっ、だめ……じっとしてて」
「!!!!」
この結城の上目遣いにオレは玉砕。
あぁ……可愛すぎる。 そしてハンカチが生温かい……これが結城の体温。
そして若干染み付いてるこの甘い香りが結城の……
ヨッシャアアアアアアアアアアアア!!!!!
オレの心拍数は急上昇。
結果、オレの鼻血はそれからもしばらくの間出続けた結城に長く介抱してもらっていたのであった。
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