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33 相手はリアルJS②


 三十三話  相手はリアルJS②



「なぁどうしよう!! オレガチでリアルJSに恋したかもしれない!!」



 オレがそんな恥ずかしい話をしている相手は工藤。

 連絡してみたところ工藤も偶然休みだったらしく、近くのファミレスで合流したのだ。



「ま、待ってよ森本」


「福田ダイキな。 ダイキ呼びで慣れてくれ……万が一誰かがいるときに森本呼びされたら敵わん」


「そ、そうだねダイキ。 ーー……それで、今の話はガチなの?」



 工藤が前のめりになりながら尋ねてくる。



「ガチもガチよ! ぶっちゃけオレ、前まではどちらかと言うとJK派だったわけ! だから普通ならあの姉・優香に行くはずっしょ? でも違った……今朝オレはキューピッドに矢を撃たれたんだ」



 オレはポッと頬を赤く染めながら胸に手を当てた。

 うん、なんかあれだな……こんな仕草をして男で許されるのって小学生までだよな。 自分でやっててちょっと引いたぜ。


 そうオレが自分の自然な行動に若干の恥ずかしさを覚えておると、対面に座っていた工藤が「ちっくしょおお、羨ましいぞダイキ!! 僕にもその幸せ分けてくれよーー!! あぁ……JSの脇の匂い嗅いでみたいぃ……!」と息を荒げながら体をくねらせる。


 そうだった、工藤は完全なるロリコン……ガチの女子小学生好きなんだった。

 だったらこいつにも最近オレが実感した女子小学生……JSの魅力を語るとしよう。



「あのな、JSの汗の香り……実際すげえぞ」


「嗅いだの!?」



 工藤が前のめりになりながら目をこれ以上ないくらいに見開いてくる。



「あぁ。 汗って女性はみんな同じ臭いだと思ってたんだけど違うんだな……あまりの癒しに脳が蕩けたぜ」


「やっぱり年齢によって違うのか……どんな感じの香りなんだ?」


「一言でいうと……幼くも甘い香りかな」


「想像できないいいいいいいい!!!!!!」



 工藤は自身のかなり豊かな想像力・妄想力を持ってしてもこの『甘く幼い香り』が理解しがたい模様。

 その後工藤はその香りを色や他の香りだとどんなアロマに似てるのかなどオレに質問攻めの嵐だったのだが、結果諦めたのだろう。 哀愁漂うため息を吐いた後、「なんでお前ばっかり羨ましい……」と力なく背もたれにもたれかかった。



「本当にな。 死んでも生き返ってJKと同居……平日の日中はJSを見放題だなんて、得しかないよな」



 そう答えるとどうだろう。

 工藤は「まぁでも幸せそうで僕も嬉しいよ。 でもそんなに楽しんでるならこれは必要ないかな」と持参していたリュックの中に手を入れ何かを取り出す。



「ん? なんだそれ」


「まだ分からない?」


 

 工藤がゆーっくりとそれを持ち上げると次第にその正体が姿を現し始め……



「ーー……はっ!! それは!!!!」



 オレの目がぎらりと光る。

 まず目に入ってきたそれはおそらくは書籍。 そして左角……そこに【R18】と書かれているのを発見する。



 間違いない……あれはエロ漫画!!!



 オレは体と声を震わせながら「く、くれるのか……!?」と工藤に尋ねた。



「あぁ。 もちろんだ」


「マジか!!!」


「うん。 僕たちにとってエロ漫画は砂漠の中にあるオアシスのようなもの。 そろそろ限界なんじゃないかなと思って買ってきたんだよね」


「こ、こここ心の友よオオオオオ!!!」



 オレは涙を流しながら受け取ると久々の肌色多めの表紙に感動。

 描かれていた女の子の全身を舐め回すように見ながら「懐かしいぜ……」と涙を流す。



「とりあえず森も……いや、ダイキ。 それは早くカバンに入れようか。 他の人に見つかったら僕がヤバいから」


「あ、そうだな! オレ今子供なんだもんな!」



 オレはそれを速攻でランドセルの中へ。

 まさかランドセルの中にエロ漫画が入ってるなんて誰が想像するだろうか。


 

「さんきゅー工藤。 家でじっくり楽しませてもらうよ」


「うん! 困ったことがあればいつでも言ってくれ!」



 工藤には何かお返しをしてあげないとな……そんなことを考えつつも再び工藤とエロ漫画やアニメの話で盛り上がり始めたオレだったのだがオレの新たな性癖を話そうとしていたタイミング……横で誰かが立ち止まり、こちらに視線を向けていることに気づいた。

 視界の隅には赤いランドセル……もしかしてファミレス内で迷子にでもなったのだろうか。

 


「あれ、福田?」



「ーー……え」



 どうしてオレの名を? 誰だろうと思い顔を確認すると、そこにいたのは多田。

 多田がキョトンとした表情でオレと工藤を交互に見つめている。



「え、多田? どうしてここに?」


「あ、ウチ塾がこの辺だからさ。 始まるまでここでよく時間潰してんだよね。 外より安全だし」


 

 あ、あぶねぇ。 気づかなかったらオレの小学生らしからぬギリギリな性癖がバレるところだったぜ。

 オレが心底タイミングの神様に感謝していると、多田が「それで福田、そっちの人は……?」と工藤を指差す。



「え?」


「福田の親戚……って訳でもなさそうだよね。 だれー?」


「あー、この人はなオレの友……」



 ーー……!!



 ここでオレはあることを思いつく。

 もしかして今こそオレは工藤に最大限の恩返しをするタイミングなのかもしれないぜ!!!



「えーと、僕は……」


「いや、ちょっと待ってくれ!!」


 

 オレは自分から自己紹介しようとしていた工藤に待ったをかけながら工藤にアイコンタクト。

 その後多田に視線を移し、自然を装いながら話を切り出した。



「この人はオレの知り合いのお兄さんなんだ。 そうだ、よかったら多田もここで一緒に食べる?」


「え?」


「あれだったらこのお兄さんが食べたいもの奢ってくれるかもしれないけど……」


「え、でも……」



 オレは再度工藤にアイコンタクト。

 すると工藤にも伝わったのだろう。 工藤は目をキラキラと光らせながら多田に頭を下げた。



「うん、そうだよ! 僕はダイキの知り合いの兄なんだ」


「そうなん……ですか?」


「うん! だからさっきダイキも言ってたけどよかったら君も一緒にどう!? お兄さんが食べたいものなんでもご馳走してあげるよ!?」



 大人の男性が食べたいものをなんでもご馳走してくれる。

 普通なら身の危険を感じる状況ではあるがその男性はオレの知り合い……警戒する必要がないと感じたのだろう。 多田は「え、マジですか!? じゃあお願いしまーす!!」とピョンと跳ねながら迷わずオレの隣へと座った。



 さすが子供、ちょろいぜ!!

 そして工藤は……まぁ仕方ないか。 見ず知らずのJSと一緒に食事なんて普通ならあり得ないことだからな。 あまりの興奮で鼻の下が伸びてるぞ。



「はい多田、メニュー表」


「えー!! 本当にいいんですかお兄さん!!」


「お兄……グフォ!! う、うんいいよ!! 好きなものいくらでも頼むといいよ」


「やったー!! じゃあどれにしよっかなー」



 多田がメニュー表に食いついている際、工藤が隙をみてオレに静かに敬礼をしてきたのは印象的だったぜ。



 ◆◇◆◇



「ーー……で、福田とお兄さんはなんの話してたの?」



 多田が料理を注文してしばらく。 多田がオレと工藤を交互に見る。



「ん? それはあれだ、、ね、工藤」


「そ、そうだね。 僕たち、アニメについて話してたんだ」


「へぇー。 どんなの? ウチ、ラブカツしか知らない」



 ーー……なん、だと。



「「ラブカツ知ってるの!!??」」



 オレと工藤が同時に食いつく。

 ちなみにラブカツとはJS向けのアイドルアニメでオレと工藤がかなり熱中していた作品なのだ。 反応しないわけがない!!



「え? うん。 ウチ1話から見てたし。 月宮めろんちゃん好きだよ」

 


 ま、マジかよ。 まさかリアルJSとJS向けアニメの話をすることができるなんて!!

 オレと工藤のテンションは一気に急上昇。 「オレちなみに天空のぞみちゃん!!」やら「僕は月光ユリカちゃま!!」とそれぞれの推しキャラを聞かれてもないのに挨拶のように語り出す。


 そしてそれは多田も同じ境遇だったらしく多田のテンションも少しずつヒートアップ。 「えー! みんな見てなくて話せなかったからウチめっちゃテンション上がるんだけど!! ウチあれ好きだったよ! ムーンライトカップの決勝戦!」と目をキラキラさせながらオレたちの話に乗っかってきたのだった。



「あー! あれな!! 確かに熱かった!!」

「僕もあそこは感動したなー!」



 それからどのくらい語り明かしたのだろう。

 オレたち3人は多田の塾が始まる時間ギリギリまで、延々とラブカツについて語り合ったのだった。



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[良い点] 主人公が実年齢だったら通報待ったなし ファンタジックでファンタスティックでファンサ凄過ぎです
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