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316 天才的な考え!!


 三百十六話  天才的な考え!!



 自室内。 西園寺親子の喧嘩の元凶となったオレは教えてもらった西園寺家の番号を入力して通話ボタンをタップ。

 小さく深呼吸をしながら呼び出し音の鳴っているスマートフォンに耳を当てた。

 そしてそれはすぐにーー……



『ーー……はい、西園寺です』



 流石は西園寺家。 気品溢れる女性の声がスピーカー越しに伝わってくる。

 さぁ……いくぞ!!!!



「あ、えっと……オ……僕、福田と申します初めまして!」


『福田……さん? あの、すみません、私の知り合いに福田さんという苗字の方はいらっしゃらないのですが、番号間違われてると思いますよ』


「あーいや! あってます!! 今お宅の娘さんの希さんがウチに来てまして……」


『!!!!』



 うわあああ、めっちゃ反応してんじゃん。

 さっきまでとは空気が変わって少しピリついた雰囲気に。



『ということは昨夜約1ヶ月ぶりに帰ってきたっていう希のお友達……ですか?』



 ビクゥ!!!



 やはり親子……言葉の奥に燃えたぎる何かを感じるぜ。

 しかしここでオレが引いては関係修復には程遠い。 なんとしてでもここは西園寺母の怒りの矛先を……西園寺から逸らさなくては!!


 

「そ、そうです!」


『失礼ですが、どうしてウチの番号を?』


「それは娘さ……希さんから聞いたんです!」


『それはどうして?』


「えっと……け、今朝お母様と言い合いをして出てきたということを本人から聞きまして、その……このままでは親子関係に大きな亀裂が入ってしまうかもと……!!」



 そう伝えると西園寺母は無言に。

 しかしそれも一瞬のことで、オレに向かって冷静なトーンで『ちょっとご両親とかわっていただけますか?』と尋ねてきた。



 ーー……あれ、案外早かったな。



 この文言は予想してた展開。

 なんせ昔から西園寺に『何か問題を起こしたらパパに迷惑がかかる』と言い聞かせているほどの世間体を気にする性格なんだ。 ならそんな話をしやすい相手……同じ大人じゃないと……とか思ってるんだろな。

 この言葉をいつ言ってくるかにかかってたんだが、これは一気に話が進みそうだ。



「あーすみません、ウチ姉と二人暮らしなもので」



 オレの言葉にスピーカーから戸惑ったような『え?』が聞こえてくる。



『その……ごめんなさい、私の聞き間違いかしら。 えっと……お姉さんと二人暮らし?』


「はいそうです。 それでまぁ姉に代わってもいいのですが……昨日まで入院してた祖母の代わりに帰省して、色々と家事等をしてくれてたので今はその疲労から横になってるんです。 なので出来ればそこはご勘弁願いたいのですが……」


『あ……、そうだったのね。 それは……ごめんなさい』



 ーー……勝った。



 その後も少し話をしていたのだが、どうやら西園寺母曰くオレは家族でどこか旅行に行っていたものだと思っていたらしい。

 なので今朝そんな常識のなっていない同級生の家に行くと言って聞かない西園寺と口論になったとのこと。

 もしオレがそれを伝えてなかったら、今夜西園寺父にも相談して2人で娘を改めて説教する予定だったんだと……危ねぇ危ねぇ。

 そして西園寺母の怒りはだいぶ治まってきてるようでオレがホッと胸をなで下ろしておると、西園寺母が小さく何かを呟く。



『そっか、この子が前に希ちゃんが言ってた……なるほどね』



「え、なんですか?」



『あ、ううんこっちの話よ、気にしないで』


「そうですか」


『それより希ちゃ……娘と代わってくれないかな』


「えっと……それは……」


『大丈夫、お説教するわけじゃないから。 だから亀裂が走ることはないわ安心してちょうだい』


「なら……はい、わかりました。 ちょっと呼んできますね」



 こうしてオレは一旦保留ボタンをタップして西園寺を呼び出しオレの部屋へ。

 西園寺は何がなんだか分かっていないのだろう……顔を真っ赤にしながらオレの後ろについて部屋に入ってくる。



「な、何かな福田くん」


「あのな西園寺、オレ今……」


「ええええええ! そ、そんな……それは流石に早すぎるよ福田くん!!」



 ーー……ハ?



 一体どうしたと言うのだろうか。

 西園寺は息を荒げながらその場でヘタリと座り込む。



「ん? 西園寺?」


「そ、そりゃあ私ももちろん興味はあるけどさ、でもまだ私たち小5だし……お姉さんもいるんだよ!?」


「ーー……ハ?」


「そそそ、それでも福田くんが望むのなら私だって嬉しいんだけどさ、でも私もちゃんとした知識とかまだ無いし、上手く出来るかどうかもまだ……」


「あ、えっとな西園寺、オレがお前をここに呼んだのは……」


「う、うんそうだよね分かるよ! 福田くんも男の子なんだもんね! だったら私はもう福田くんの思うがままにーー……!」



「さ・い・お・ん・じーーーー!!!!!!」



「は、はいぃ!」



 オレの大声に西園寺の身体がビクンと反応。

 目を大きく開かせながらオレを見上げる。



「な、なにかな?」


「話が進まん! よーーく聞けい!」



 ◆◇◆◇



 西園寺が黙ったことによりようやく本題へ。

 オレは先ほどまで西園寺母と電話で話していたことを軽く伝える。



「え!? 福田くん、お母さんとお話ししてたの!?」


「そうだ」


「えっと……お母さん変なこと言わなかった!?」


「まぁ……ちょっとは」



「ーー……ギロリ」



 今の言葉が引き金になってしまったのだろう……西園寺の奥底に眠る【首領】が目を覚まして眼光に暴力性が生まれる。

 


 ーー……やっべ。



「ちょ、ちょっと待て西園寺! 別にそんな大したことじゃ無いから気にすんなって! 何もそれが理由でお前を呼んだんじゃねえよ!!」


「そ、そうなの?」


「あぁ! とりあえずほらこれ!」



 オレは保留中のスマートフォンを西園寺に渡す。



「これは?」


「保留中にしてるけど、今西園寺のお母さんと繋がってる。 ちょっと西園寺に代わって欲しいんだってさ」


「ーー……どうして?」


「知るかよ。 でも説教じゃなさそうだからオレは西園寺を呼んだんだ。 だからほら、電話出ろよ」



 そう言うと西園寺はオレからスマートフォンを受け取り画面をジッと見つめる。



「ーー……もし怒って叫んじゃったらごめんね」


「それはやめてくれガチで」


「でも言い合いになったら頭に血が上っちゃうんだもん。 こればっかりはどうしようも無いよ」



 西園寺がうらめしそうにオレに視線を移す。



「いやそこは気合で耐えられないのか?」


「うん。 耐えれてたらそもそも今朝も喧嘩してないもん」


「た、確かに……」



 まぁそれが反抗期ってものなのかもしれないけどさ。

 いやでもそれじゃあオレのさっきまでの行動が水の泡になっちまうじゃねえか。

 一体どうすればこの状況をーー……


 悩み視線を下へ向けると西園寺の黒いスカートから伸びる綺麗な脚が目に入る。

 オレはそれを相変わらずの美脚だよなーと思いながら見つめていたのだが……

 


「!!!!」



 これだあああああああ!!!!!



 名案が浮かび上がったオレは目の前でしゃがみこんでいる西園寺の頭に手をのせる。



「ど、どうしたの福田くん!」


「西園寺、朗報だ。 いい案を思いついた」


「い……いい案?」



 西園寺の問いかけにオレは「うん」と首を縦にふる。



「西園寺、お前はただ普通に会話をすればいい」



 オレの指示に西園寺は頭上にはてなマークを浮かばせながらキョトンと首をかしげる。



「え? でもそれじゃあ普通に喧嘩になっちゃうよ?」


「あぁ。 だからオレは西園寺……お前の口調が鋭くなったと思ったらそのスカートを少しずつ捲っていく」


「え……えええええええええええ!?!?!?!?」



 西園寺が先ほど以上に顔を赤らめながらスマートフォンを持った手でスカートを上から押さえつける。



「ど、どどどどどうして!?」


「そりゃあ決まってんだろ。 それしたらお前のドM心が働いて、怒ることに集中出来なくなるからだ」


「そ、そんな……でも私、今……」


「はい、言い訳聞きませーん。 では通話開始」



 ポチ



 オレは西園寺の言葉を無視して通話ボタンをタップ。

 それにより保留中が解除され、西園寺は慌ててスマートフォンを耳に当てる。



「も……もしもし!?」



 さぁ西園寺……捲られるかどうかのこのドキドキを味わいながら会話するといい!!!

 オレはなんて天才的な考えを思いついてしまったのだろうと自分を絶賛しながら、西園寺をその場で立ち上がらせ……スカートの先を軽くつまんだのだった。

 


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[良い点] ナイスHENTAI!
[良い点] 西園寺ちゃん若干の家出! 久々のドMプレイですなw
[良い点] どうしてそうなったの!? 怒りメーターをドMメーターで上乗せって 少しは普通に恋愛してよ…
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